ブックタイトルメカトロニクス9月号2014年

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概要

メカトロニクス9月号2014年

42 MECHATRONICS 2014.9日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力「2014年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」~我が国が歩むグリーン経済の道~【第150回】■同白書の副題の趣旨 今回の環境白書の副題については、石原伸晃環境大臣の名前で記された冒頭の“刊行に当たって”において以下のような説明が付されている。 “昨年秋以降にIPCCが公表した一連の報告書では、人間の活動により地球温暖化が進行していることが改めて確認されました。地球温暖化は島しょ国をはじめとして国家の存亡に大きな影を落とす問題であり、まさに「今そこにある危機」と言えます。 私たちは、次世代の人々のためにも、地球温暖化対策を一層強化していかなければなりません。また、生物多様性の保全や廃棄物の発生抑制などの喫緊の課題にも対応していかなければなりません。地球環境は人類生存の基盤となるものですが、時として人間の経済活動に伴う負荷が地球環境に悪影響を及ぼすことがあります。そのため、環境保全と経済活動とを融合させることが重要であり、持続可能な環境と経済発展の同時達成を目指すグリーン経済を推進することで、これらの課題を解決していくことが必要です。 本年の環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書は、このような視点から「我が国が歩むグリーン経済の道」をテーマとして掲げました。特に環境技術の開発を進め、これを国内外に展開することにより地球環境の保全に貢献する取組や、必要な環境対策の資金を金融メカニズムを通じて確保し、適切に投入していく環境金融の取組に焦点を当て、具体的な事例とともに紹介しています。”■白書の全体構成 同白書は、3種類の関連基本法に基づいて作成されるものであり、その3種類の法律について、“昨年度(2013年度)の状況報告”を2部に分けて記述し、次いで“新年度(2014 年度)に計画している施策の説明”を記述している(表1)。 この3種類の白書の2013年度の状況報告は、第1部と第2部の2つに分かれ、今回取り上げる「グリーン経済」は第1部で触れられている。 環境省のホームページに掲載された同白書を紹介する“報道発表”には、同白書のテーマとメッセージを要約して図示した資料が図1のように紹介されている。■“グリーン経済”の位置付け(1)“グリーン経済”とは 同白書には環境問題に関する用語辞典として「語句説明」が2004年度版より付録として巻末に付されるようになった。2016年度版では、全部で544項目の用語が全21ページに掲載されている。“グリーン経済”がその“語句説明”に登場したのは2013年版からであり、以下のように説明されている。 “グリーン経済:環境問題に伴うリスクと生態系の損失を軽減しながら、人間の生活の質を改善し社会の不平等を解消するための経済のあり方。”(2)本白書における“グリーン経済”の位置付け 本環境白書の副題として記された“グリーン経済”の位置付けは、本文の冒頭に記された“はじめに”において、その大半を費やして以下のように説明されている。 “昨年(2013年)9月に「気候変動に関する政府間パネル」(以下「IPCCという。)の第1作業部会報告書がIPCC総会で採択されました。報告書では、人間による影響が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高いと指摘されています。 また、気候変動を抑制するには、温室効果ガス排出量の大幅かつ持続的な削減が必要であるとの指摘もされています。さらに、世界の平均地上気温の上昇に伴って、今世紀末までに一部の地域で極端な降雨がより強く、頻繁となる可能性が非常に高いとの指摘もされています。 我が国では、昨年多くの異常気象が発生し、夏季には記録的な猛暑と度重なる集中豪雨を経験しています。フィリピンでは11 月に発生した台風第30号が猛烈な勢力を保ったまま上陸し、多くの尊い人命を奪っています。一方、生物多様性条約事務局が2010年にまとめた「地球規模生物多様性概況第3版」注1)では、生物多様性の主要構成要素である生態系、種、遺伝子のすべてにおいて生物多様性の損失が継続していることが報告されました。このまま損失が継続すれば、生物多様性の劇的な損失と広範な生態系サービス(自然の恵み)の低下が生じる危険性が高いとしており、人類が過去1万年にわたって依存してきた比較的安定した環境条件が来世紀以降は続かなくなるおそれもあることを指摘しています。(中略)注1)「地球規模生物多様性概況第3版」:Global BiodiversityOutlook(GBO3)。GBOは生物多様性条約事務局が地球規模の生物多様性の状況を評価した報告書。その第3版「GB03」は、生物多様性条約第14回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA14、ナイロビ、2010年5月10~21日)が開催された際に、初日に発表された3)。 そのような意味で、私たち人類が目指すべき社会は、温室効果ガスの発生を極力抑制した低炭素社会であり、地球上の生物多様性が保全された自然共生社会、また健全な物質循環の確保された循環型社会でなければなりません。またその実現のためには、私たち一人ひとりが地球環境の現状を認識し、さまざまな場面で環境問題について主体的に考え、行動を起こして 「2014年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」は、2014年6月6日(金)に閣議決定され、同日の国会提出を経て公表された1()以下、“同白書”あるいは“同環境白書”と略すことがある)。 今回の白書について、環境省の報道発表では、“我が国が歩むグリーン経済の道」をテーマとし、東日本大震災の被災地における環境回復のための取組に加え、地球温暖化をはじめとする環境問題への対応と、経済成長の両立を目指すグリーン経済の重要性について示すとともに、これを実現する環境技術や環境金融等の取組を紹介している。”と記されている2)。 今回は、本白書の中から、副題となったテーマである“我が国が歩むグリーン経済の道”に関連したトピックスを重点的に紹介する。<図1>「2014年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」のテーマとメッセージ2)<表1>「2014年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」の目次<写真1> 2014年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」の表紙1)2013 年度 環境の状況2013 年度 循環型社会の形成の状況2013 年度 生物多様性の状況第1 部 総合的な施策等に関する報告 はじめに 第1章 地球環境の現状と持続可能な社会の構築     に向けて 第2 章 被災地の回復と未来への取組 第3 章 グリーン経済の取組の重要性     ~金融と技術の活用 むすび第2 部 各分野の施策等に関する報告 第1 章 低炭素社会の構築 第2 章 生物多様性の保全及び持続可能な利用     ~豊かな自然共生社会の実現に向けて 第3 章 循環型社会の構築に向けて 第4 章 大気環境、水環境、土壌環境等の保全 第5 章 化学物質の環境リスクの評価・管理 第6 章 各種施策の基盤、各主体の参加及び     国際協力に係る施策2014 年度 環境の保全に関する施策2014 年度 循環型社会の形成に関する施策2014 年度 生物多様性の保全及び持続可能な利用      に関する施策 第1 章 低炭素社会の構築 第2 章 生物多様性の保全及び持続可能な利用     ~豊かな自然共生社会の実現に向けて 第3 章 循環型社会の形成 第4 章 大気環境、水環境、土壌環境等の保全 第5 章 化学物質の環境リスクの評価・管理 第6 章 各種施策の基盤、各主体の参加及び     国際協力に係る施策 資料