ブックタイトルメカトロニクス8月号2014年

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概要

メカトロニクス8月号2014年

MECHATRONICS 2014.8 11所 在 地:U R L:事業内容:兵庫県尼崎市http://www.nipron.co.jpスイッチング電源およびノンストップ電源とその周辺装置などの開発/製造/販売。株式会社 ニプロン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・めていき、その後はモジュール化やファンレス/小型化などに派生しています。 モジュール化された製品は、『GBM(グリーンベストミックス)電源』と呼ばれる製品群で、主に蓄電システムなどに適した電源システムになっています(写真1)。この製品は、基本的にセミカスタム仕様となっており、お客様の仕様に合わせて電源部が抜き差しできる構造になっています。その電源部に差し込むパワー基板の枚数やソフトウエアにより、昇圧/降圧/電力量/双方向動作/MPPT 制御/監視機能などシステムに合わせてフレキシブルにコントロールでき、20~50kW 程度までの大容量に対応するといった特徴をもっています。現在、リチウムイオン電池の蓄電市場では大容量化が進んでおり、ビルなどでも蓄電システムを備えるケースが増えたり、また今までは太陽光発電で得たエネルギーを消費したり販売したりする考え方が、非常時のために貯蓄しておくという考え方に変ってきているため、GBM 電源に関する問い合わせが増えてきています。 それから、ファンレス/小型化を目指した製品は、『ストコン(String たじゅぶう Converter)』と呼ばれる太陽光発電用の小型DC-DC 昇圧コンバータになります(写真2)。この製品は、鳥の糞や落ち葉などによる局所的な陰りやソーラパネルの設置枚数にばらつきがあっても、低い電圧のストリングをしっかり昇圧して最大限電力を得ることができます(写真3、4)。寿命部品である電解コンデンサやファンを不要にすることで、実力25 年以上の長寿命化を可能にし、屋外設置が可能なIP44構造といった特徴をもっています。現在、サンプル出荷を開始している段階で、発売時期としては今年の夏頃を目処にしています。 このような形で、現在製品ラインアップの幅を広げながら、事業展開を進めている状況です。 「グリーンパワー電源」に関する製品開 発で苦労された事などありましたらお 聞かせ下さい廣岡:私はソフトウエア担当なので、ハードウエアに関しては聞いた話になりますが、GBM 電源に関しては、セミカスタム仕様ということでハードウエアの部分ではカスタマイズしやすいように、多重化するための差し込みをいくつかに分けるという所で苦労したと聞いています。元々は、多重化しても大丈夫な構造にはなっていたようですが、それぞれ別々でパワーが動くため、それをうまく同期させたりして全体的に制御できるような環境にしていかないと、当然ばらつきも出やすくなってくるので、その部分が非常にやり難かったようです。 ソフトウエアに関しては、システムを構想することが苦労した部分になります。制御系自体が、それぞれカスタマイズすることをあらかじめ想定しておかなくてはいけないため、制御する所とそれから全体に統括する所の2種類を用意し、カスタマイズする所をある程度限定するような形にもっていき、なおかつ統括する所自身で外部との接続をすべて行う仕組みづくりが非常に大変な作業でした。私自身、リチウムイオン電池の制御方法がメーカーによって異なるとは思っていなかったので、苦労はしましたが、その分思惑以上の多種多様な制御方法にフレキシブルに対応できる製品になっています。 ストコンに関しては、小型化と放熱性も考えなくてはいけなかったため、ハードウエアにおける苦労はあったと聞いています。特に、屋外設置を想定しているため、電源的には熱に対する対策が必要不可欠になってきます。それは、電源内の寿命部品である電解コンデンサやファンが、高温環境では寿命が短くなってしまうからです。そのため、電解コンデンサやファンを使わないタイプの製品を開発し、パワーコンディショナと同様の25 年もしくはそれ以上の寿命を実現しています。ここが、非常に苦労した部分でもあり、他社との大きな違いにもなっています。さらに、電解コンデンサを使わないことが、小型化にも繋がってきています。 ソフトウエアに関しては、常に安定した出力電力が得られるような独自手法のMPPT制御を開発しており、この部分で非常に苦労しました。また、太陽光パネルなどの異常を即座に検知する電力/故障監視機能を開発するなど、現在も太陽光発電に関する様々なニーズに対して、カスタマイズを繰り返しながら成長を遂げており、形はできましたがまだ開発を行っている状況なので、もう少し苦労も続くと思います。 今後の展開についてお聞かせ下さい大西:このグリーンパワー電源に関する事業は、現在当社の一大プロジェクトとなっており、3年後に40億円という販売目標を掲げています。まずは、この目標を達成するために全社一丸となって進めていきます。現状は、ようやく製品が出揃った段階なので売り上げ的にもまだまだですが、例えばストコンであれば電力/故障監視システムを搭載した接続箱の形で提案したり、GBM電源であれば蓄電池と組み合したラックの形で提案したりなど、製品単体だけでなくソリューション的な販売戦略で事業展開を進め、少しでも早く目標を達成したいと考えています。廣岡:製品開発の方では、ストコン/ GBM 電源とも一応製品ラインアップが出揃いましたので、今後はそれぞれのカスタマイズ性を活かした色々な方向性を模索していきたいと考えています。例えばストコンは、先ほど太陽光発電用のお話をしましたが、燃料電池や風力発電にも応用が利く仕組みになっているので、それらのソリューションに適用するような展開を進めていきます。ハードウエアは、一段落ついている感じではありますが、これからはソフトウエアの方が忙しくなってくると思います。カスタマイズに対応する中で、逆にハードウエアより先行して「こういった製品やあのような製品ができないだろうか」というような、企画的な考え方を充実させていき、さらなる製品ラインアップの充実に繋げていきたいと考えています。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真3 電柱による陰り発生時(ストコンなし) 写真4 電柱による陰り発生時(ストコンあり)