ブックタイトルメカトロニクス7月号2014年

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概要

メカトロニクス7月号2014年

42 MECHATRONICS 2014.7日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力日中韓三ヵ国環境大臣会合~特にPM2.5について~【第148回】■日中韓三カ国環境大臣会合について(1)その背景 日中韓三ヵ国環境大臣会合注2)は、北東アジアの中核である日本、韓国、中国の三ヵ国の環境大臣が一堂に会し、本地域及び地球環境問題に関する意見交換を行い、協力関係を強化するために企画された。注2) 日中韓三ヵ国環境大臣会合:Tripartite EnvironmentMinisters Meeting among China. Japan and Korea、TEMM、テム)。第1回会合は、1999 年1 月13 日にソウル(韓国)で開催された。 1999年より毎年、三ヵ国の持ち回りで開催し、共同コミュニケを発表している。また、大臣による対話だけでなく、環境教育、環境産業、合同研修などの具体的なプロジェクトも推進されている。 第1回会合(TEMM1)では、三ヵ国における6つの優先環境協力分野を以下のように選び、取り組むことが決定された。 ①環境共同体意識の向上 ②情報交換の活発化 ③環境研究における協力の強化 ④環境産業分野及び環境技術協力の促進 ⑤大気汚染防止及び海洋環境の保全のための  適切な対策の探求 ⑥生物多様性や気候変動などの  地球環境問題への対応 近年、北東アジアは急速な経済発展を遂げているが、今後の成長が期待されていると同時に、環境汚染や自然破壊が表面化し、いかにして持続可能な開発を実現するかということが重要な課題となっている。日本、中国、韓国では経済や社会の状況は大きく異なるが、国家/地域/地球規模で環境問題に対処しなければならないという課題は共通している。 三ヵ国はこの枠組みのなかで、北東アジアの環境管理において主導的な役割を果たすとともに、地球規模での環境改善に寄与することを目指している(図1)。■第16 回日中韓三ヵ国環境大臣会合 第16回日中韓三ヵ国環境大臣会合(TEMM16)は、2014 年4 月28 ~ 29 日に、以下のような次第で開催された。(1)開催場所・韓国・大邱市 EXCO(Daegu Exhibition &Convention Center)(2)主な出席者・日本:石原 伸晃(環境大臣)・中国:李 幹傑(リ・ガンジェ)(環境保護部副部長)・韓国:尹 成奎(ユン・ソンギュ)(環境部長官)(3)同会合の概要 同会合では、三ヵ国の国内環境政策の進捗状況の紹介を行うとともに、大気汚染、黄砂、海洋ゴミ、気候変動、生物多様性、水銀等について率直な意見交換を行い、共同コミュニケを採択した。また、2015 ~2019年に三ヵ国間で以下の分野に優先的に取り組んでいくことに合意した。 ①大気環境改善 ②生物多様性 ③化学物質管理と環境に係る緊急時対応 ④資源循環利用/ 3R /電気電子機器  (E-waste)の越境移動 ⑤気候変動対策 ⑥水及び海洋環境保全 ⑦環境教育 ⑧人々の意識向上及び企業の社会的責任(CSR) ⑨地方環境管理 ⑩グリーン経済への移行 また、会合では、大気汚染問題が最も重要な議題であることで三ヵ国の認識が一致し、活発な意見交換が行われた。その結果、今後の具体的な協力内容に合意するとともに、政策対話を定期的に開催し、協力を発展させていくことで一致した。今回の会合において、大気環境改善を新たに独立した優先分野とするとともに、具体的な協力内容について三ヵ国で合意に至ったことを環境省として高く評価している。  また、今回合意された都市間連携の推進に当たっては、企業や研究機関のサポートも得つつ、我が国の経験や技術を地域の大気汚染の改善に活用していくとのことである。 「水/海洋」の中では、海洋ゴミの問題が重要である。会合でも、我が国から海洋ゴミに係る現状と課題について情報共有を行うことを提案し、韓国/中国から積極的に協力して取り組んでいくとの合意を得られた。 同会合では、各国の環境政策の進展、地球規模及び地域の環境課題及び環境協力に係る三ヵ国共同行動計画の進捗状況等について意見交換を行い、最終日に共同コミュニケを採択した。■同会合の共同コミュニケ 同会合では、各国の環境政策の進展、地球規模及び地域の環境課題及び環境協力に係る三ヵ国共同行動計画の進捗状況等について意見交換を行い、共同コミュニケ2)を採択した。その主な内容は以下の通り。(1)日中韓における環境政策の進展 三大臣は、TEMM15 以降の各国における主要な環境政策の最近の進展について意見交換を行った。三大臣は、韓国による「持続可能な環境福祉の実現と環境からの新しい価値の創造」、中国の「環境法制度の強化と大気汚染対策に重点を置いた新たな成果を達成するための生態文明の推進」、日本の「PM2.5 に関する総合的な取組及び気候変動対策の進展」の3 つ このほど日中韓三ヵ国環境大臣会合が開催され、PM2.5の話題が中心となり各種環境問題が議論されたことが新聞でも大きく取り上げられた。この会合は1999年に第1回が開催されたあと、毎年、日本、中国、韓国の三ヵ国のもち回りで開催され、今回は第16回目となる。最近の日本における環境問題は、途上国の環境問題と密接な関係があり、特に、北東アジアにおける技術移転の一つの問題点として無視できないものとされている。 今回は、日中韓三ヵ国環境大臣会合について、過去の経緯も整理して紹介し、今後の関連情報のフォローアップの参考に供する。<図1>日中韓三ヵ国環境大臣会合の組織図1)<写真1> 千歳市・苫小牧市で開催された「第12回 日中韓三ヵ国環境大臣会合」に係る案内パンフレット注1)注1)第12回の同会合は、2010年5月22~23日に、北海道の千歳市と苫小牧市で開催された。