ブックタイトルメカトロニクス6月号2014年
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メカトロニクス6月号2014年
MECHATRONICS 2014.6 4962 なお特許事件③⑤⑦⑨⑪などの出願人は、1962 年に設立されて合成樹脂の精密成形加工の一貫生産を開始した企業で、その10 年後には成形加工を自動化し、1988 年ごろからはCD 記録用の樹脂レンズを開発・製品化しながら液晶表示装置の光源装置に優秀な技術を発揮している。特許事例のレンズは、内照式サイン用光拡散レンズLight Enhancer Cap R の商品群であって、液晶表示装置向けばかりでなく、住宅や商店の天井照明やサイン演出などの用途に対しても使用されている(電子版による)。【参考文献】2-135)特許電子図書館(IPDL)図2-215 特許事件⑦への補助説明図図2-216 特許事件⑧への補助説明図図2-217 特許事件⑨⑩への補助説明図2 設計からはじめよう(その61)傾斜を空気側(屈折率1)で光線角αに、媒質側(屈折率n)では光線角βに設定すると、屈折則:sin α= n・sin β の関係がある。角度が15°(あるいは20°)以下のとき弧度法(radian)で表すと正弦(tan)も正接(sin)も極めて同値になるので、α =n・βから偏角:δ = α―βが換算できるし、光路計算は簡便化できる。 照射面の照度分布は光線束傾角の対応図からを求められる。発光素子が単独のときの照度分布はいずれも釣鐘型で創成される。そしてこの釣鐘形状を並列連続させて照度分布を均等化させている。( 図2-215(c)、図2-217(c))。レンズの拡散性能が広いからと言って隣接間隔を拡張すると、波打つ照度分布になるし、狭くすると発光素子を増数する必要になる。この特許事件例ではレンズ放出光傾角が74°を固有しているが、隣接間隔は46°相当に設定している。 また、特許事件⑧を略解すると「・・・発光素子の配光特性がランパートの余弦則 A =∫ P(φ)sin(φ)d φ・・・数式(1)に基づくとし、液晶パネルなど平面上でガウス分布 ∫ P(φ)sin(φ)d φ= - A・exp(- r 2/2 σ 2)+ C・・・数式(2)にできる。この条件を満たして、輝線や輝点などが生じることを抑制できる・・・」と記述している。数式(1)はルソー線図(既出図2-211(b)(c))によるもので、数式(2)は統計数学で用いられている正規分布の確率密度関数によるものである。 この数式のままでは苦悩しがちな私は、分布曲線に半値半幅:HWHWの考えを採用すると、 y=A(1/2)^ [{(x - μ)/σ } 2] の数式を創案できた(図2-216(c))。数式の係数や指数の数値は課題に応じて任意に矯正し実態に合致させる。光線束傾角の対応図から算定した照度分布曲線に、この数式は格好よく近似できるのであった。 また発光単位を並列させ隣接間隔距離を種々に変更させた場合の照度分布の変化を試算するとき、段差を設けながら行列表で加算していたのが従来の方法であった。ところがこの数式での偏りμ値を発光素子の隣接間隔に設定して、個別の照度値を累計すると重塁した輝度分布を比較的簡単に算出できた。また指数部分の係数σは曲線の半値幅を表すので、様々に照射範囲を縮小・拡大させると照度分布の変化を簡便に表現できた。拡散レンズの機能を改善し性能を向上させるには、この数式が非常に有益であることを実感できる。