ブックタイトルメカトロニクス6月号2014年

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概要

メカトロニクス6月号2014年

48 MECHATRONICS 2014.6図2-214 直射型レンズを用いた直下照明方式(次回につづく)2-135)《第62回》2 設計から始めよう(その60)6.直下型 ( ダイレクト) 照明装置(3)直射レンズによる直下型照明方式 直射レンズを発光素子に被覆して液晶表示装置を背面から照射する直下型照明方式について調査するために、特許出願期日を追いながら前回から継続して特許文献を精査してゆこう。 前回に掲載した特許事件③④⑤は、今回も同一企業から特許事件⑦⑨⑪が出願登録されている。発光素子の表面にレンズを被覆して光線束を拡散する構造に関する技術であって、レンズの形状が表面中央に窪みがあるのが特徴。独特なM字形断面が愛らしい。初回の出願(既出図2-210 ③)が為されてから3 年後、このレンズを製造し液晶表示装置に実装する生産するうちに、発光素子からの発熱をレンズ裏面から発散放熱する工夫や基板への取り付け構造など、改良改善すべき事項を特許出願として追加している(図2-214)。 拡散レンズ構成を設計するとき求めるべき最も大切な要因は、発光素子からの光線の入射角θ 1 とレンズから放出する光線の射出角θ 5 との対応関係である(図2-215(b)、図2-217(b))。この光線束傾角の対応関係から、レンズの形状や液晶表示面の背後に設置した拡散板への照度分布などすべてが決定される。 特許事件⑦⑨⑪ではこの対応関係に基づき かつ光線の屈折則を導入して、光線束の入射角θ1と射出角θ 5 とを独立変数に設定し、レンズ表面の接線傾斜角θ 3 を従属関数で表現している(図2-215(a)、図2-217(a))。この関係式からレンズ形状を描出する手法は特許書に記述されていないが、おそらく直角座標で求める算法なのであろう。この事例ではレンズの片面が平面または球面で既定とし、他の一面だけについて計算を進めればよいのだが、それでも少々難儀な算法ではある。 これに対して特許事件⑧では、レンズの表裏両面の形状を同時に算定するために、発光素子を原点Oとし、レンズ裏面照射点P3 までの距離を動径R1 に設定した極座標を用い、光線経路を追跡する解析手法を活用しており、好感が持てる。 発光素子Oからレンズ裏面P3に照射した光線束R1には、レンズ媒質の屈折率nに対応した光路差⊿R1が与えられて光路は屈折する。レンズ内を通過した光線束R2はレンズ表面P4に当たり、再び屈折して偏角する(図2-214⑧)。レンズ内面と外面との2個所で光線を屈折させるので、光線の偏角は円滑さがある。ただ特許図では、照射光線束R1と透過光線束R2とが照射点P3で接続されていない。この2つの経路を連係させて1本の光路として形成させたほうが理解しやすいし、光線束を正確に追跡できるであろう(図2-216(a))。 光線が屈折する現象を、光線方向に対する境界面の