ブックタイトルメカトロニクス6月号2014年
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メカトロニクス6月号2014年
MECHATRONICS 2014.6 13所 在 地:U R L:事業内容:愛知県豊田市http://www.kamo.co.jp機械要素部品の開発/製造/販売、など。加茂精工株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・を行っていけるような、組織や環境づくりを目指していくことが大きな課題となっています。 当社の技術部には、開発部門と設計部門があり、現状はその二つの部門が連携して製品開発に携わっていますが、営業部に集まるユーザーニーズの声や製造部における現場の声なども活かしていくことで、会社全体での製品開発という選択肢もあると思います。また、TCG の開発以降新技術を取り入れた新製品の研究は行われておらず、ここ10 年ほどはTCGやボール減速機のバリエーションを増やすような取り組みを進めていましたが、組織や環境づくりを目指すことにより、今後は新技術を含めた新製品開発にも力を入れることができるようになっていきます。もちろん、ユーザーニーズを活かした従来製品の改良やバリエーションを増やすような取り組みは引き続き行っていきますが、それに新製品開発も含めていくことで、新たな事業展開のスタイルが生まれてくると考えています。 御社の3本柱となる製品群の特徴など についてお聞かせ下さい今瀬:まず一つ目は、現在当社の主力となるTCGシリーズを紹介します。この製品の機構は、基本的には従来のラック&ピニオンと同じですが、噛み合いの一方を自転するローラにかえ、他方の歯をローラに対応したトロコイド歯車にして、一定の予圧をかけた状態で転がり接触する構造となっています。また、常時複数歯が噛み合う歯形を設定することができるので、正逆方向のバックラッシをゼロにすることが可能になります。さらに、歯底部は転がり運動に矛盾しない理論的な歯形修正を施してローラとの密着を防止しているため、歯面に沿った円滑なローラ回転が可能となり、騒音や振動を低減させます。 TCGシリーズには、直線上にトロコイド歯形を配置した高性能ラック『CRK(カムラック)』(写真1)、カムラックと同様なトロコイド歯形を円周に配置した高性能ギア『RGN(カムリング)』(写真2)、トロコイド歯形と噛み合うローラを両側でベアリング支持することにより、ノンバックラッシで高精度な位置決めと軽快な回転-回転、回転-直線運動伝達を可能にする『RPN(ローラピニオン)』(写真3)をラインアップしています。そして、それぞれの製品で様々なバリエーションを用意しています。 次に紹介するのは、ボール減速機(HPR)になります。ボール減速機は、主としてバックラッシをゼロにするために考案されたもので、「歯車間に、転動体であるスチールボールを介在させて常に転がり接触によって動力を伝達する」、「歯車間に予圧(プリロード)を与え、バックラッシをゼロにする」、という構造を実現したものになります。つまり、バックラッシをゼロにしても摩擦が増大することなく軽快に動力伝達ができる構造ということです。基本的なこの考え方は、ボールベアリングやボールねじ、あるいはリニアガイドなどですでに実現され、効果を発揮しています。 当社のボール減速機は、全シリーズ“ノンバックラッシ”を実現し、精密な位置決めを可能にします。主なシリーズには、出力軸の支持にクロスローラベアリングを採用し、薄型化と省スペースの要求に応えた『JFR(同心軸薄型減速機)』(写真4)、噛み合い部にスチールボールを使用し、ノンバックラッシを可能にした『CBR(直交軸減速機)』(写真5)、ローラピ二オンセットタイプで、設計、組付けの工程を簡素化するTCGローラピ二オン用ノンバックラッシボール減速機『SFP(TCG用減速機)』(写真6)などをラインアップしています。また、TCGシリーズと同様に、それぞれの製品で様々なバリエーションを用意しています。 そして、最後に紹介するのはインデックス(IDX)になります。当社のインデックスは、エアを使用するエアインデックスとボールを使用したカム式インデックスの2種類を用意しています。 基本形となる『MD』は、エアシリンダの感覚で使用可能な回転軸タイプの空圧式間欠割出機器です(写真7)。内部のカム機構により確実な位置決めが可能で、本体外形が小さく、駆動部の省スペース化に貢献できます。ボールを使用したカム式インデックスの『PDBシリーズ』は、独自のボールカム方式により、ノンバックラッシを実現、カム溝には運動性能が高い変形正弦曲線を採用し、インダクションモータを使用しながらも滑らかな加減速運転を可能にするコストパフォーマンスに優れた電動式割出機器です(写真8)。また、PDBシリーズの精度、剛性を高めたPISシリーズもラインアップしています。 今後の展開についてお聞かせ下さい今瀬:基本的には、ものづくりメーカーとしての立場は変えていくつもりはありませんが、やはり会社の規模も少しずつ大きくなっているので、事業の幅も広げていかなくてはいけません。ただ、新しい事業を始めるにしてもそうすぐには画期的なものが出てくるとは思えないので、まずは既存の技術を活かせることから始めていきたいと考えています。 現状では、TCGやボール減速機単体での機械要素の部分での事業展開が主流になっていますが、これを単体だけでなくユニット化などにしていくことで、事業の幅を広げていきます。そうすることにより、付加価値もついてきますし、今ある技術も活かすことができます。また、当社は機械要素をつくるノウハウしかありませんが、周辺を広げていくことで、装置をつくるノウハウや設計/組み立てなどの技術力も向上していくと思います。 それから、先ほども少しお話ししましたが、製品開発における社内の組織や環境づくりを目指すとともに、当社の技術と他社の技術を融合して新製品の開発も進めていきたいと考えています。他社の技術に関しては、すでに特許の期限が切れてオープンになっているものを活用していくつもりですが、他社とのコラボレーションも視野に入れて検討していきます。 また、海外展開についても力を入れていきたいと考えています。現状では、韓国に現地法人があるので輸出の大半は韓国になりますが、アメリカ、ヨーロッパ、台湾、中国にも代理店などを通じて輸出を行っています。中国市場に関しては、もう少しボリュームが増えてきたら現地法人化も検討していきます。製品についても、今まではハイテクな専用機向けに採用されるケースが多く、価格的にも高価になっていましたが、最近では廉価版の販売も開始しており、今後は産業分野の標準機などに採用されるような取り組みを目指していきます。 私自身、まだ若いですし社長に就任して日も浅いですが、日本のものづくりの良さを少しでも世に発信していけたらと考えています。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真5 CBR(直交軸減速機) 写真7 MD(空圧式間欠割出機器)写真8 PDB(電動式間欠割出機器)写真4 JFR(同心軸薄型減速機) 写真6 SFP(TCG用減速機)