ブックタイトルメカトロニクス5月号2014年
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メカトロニクス5月号2014年
52 MECHATRONICS 2014.5図2‐210 直射型レンズを用いた直下照明方式 2-134)《第61回》2 設計から始めよう(その59)6.直下型 ( ダイレクト) 照明装置(3)直射レンズによる直下型照明方式 発光素子の真上をレンズで被覆して液晶表示板の裏面に重塁されている拡散板を照射する方式は、現在においてバックライトの本命の構造である。その技術進展の推移を特許事件の出願日順に並べてみた(図2-210)。全部で30 件近くあるので、分割して今回はそのうちの数件を眺めよう。 これらの特許明細書の「要約」を先ず読むことにするが、一見しては理解しにくい文言が並ぶ。バックライトは光学技術を応用した分野であるから、光学用語を活用して記述すれば、はるかに簡潔で正確な記述ができるのに、液晶表示装置の分野は電気通信技術者や樹脂成形技術者の仕事のためであろうか、光学用語には親しみが無いようだ。 “射出”と“出射”の誤用は昨今の技術文章では当たり前。“光線”と“光線束”や“光束”、“光度”と“光量”との混用は技術者の判断を混乱させる。“半値半幅”と表現すれば済むところ“最大強度の光が出射される方向から最大強度の半分の値となる光が出射される方向までの角度範囲”と特許明細書の数個所で延々と記述している。極座標で“原点からの動径の長さ”と説明すれば事足りるのを“(レンズの)底面の中心から曲面の任意の地点までの距離”と記してみたり、“動径の傾斜角”を“(レンズの)曲面の境界までの線と底面とのなす角度”と延々と文字列を連ねている。日本規格協会の工業標準「光学用語」にはこれらの用語の説明と記号及び単位が明瞭に記載されているから、この機会に是非とも参考にして活用されたい(図2-211(a))。そして、光源を被覆して射出光線束を四方へ発散させるレンズなのであろうからと、開発の初期には結像光学系で汎用されている発散レンズを照明光学系でもそのまま使用している(図2-210 ①、②)。 画像表示の発展に伴って突如に現れたのは、発光素子に密着させて被覆する直射レンズ(図2-210 ③)。以降、生産市場ではこの特許権が席巻するようになった。この明細書の「詳細な説明」には、発光素子の光度がレンズにより放出光に変換される過程の記述がある(図2-212)。レンズに入射光線の角度と射出光線の角度との対応関係(同図(a))がレンズの拡散特性を示すので、この図に基づいて計算すると、拡散面の照度分布が明細書に記載の通りに求められる(同図(c))。この照度分布曲線の形状は緩やかに見えるが、横軸にレンズの放出角度θを採っているからであって、tan θを用いて拡散板の実際距離に換算すると曲線は先鋭に変わる(同図(d))。そして光線追跡法(同図(b))を用いれば、レンズ表面の形状が描ける(同図(e))。発光素子からの光線束をレンズ表面の唯一面だけで屈折させるので、レンズ表面中央部が窪んだ形状になる。明細書に記述の数値でレンズ射出光線束の包括角度を求めるとほぼ± 40°で、やや狭い。発光素子の個数削減でコストダウンやバックライト構成の薄型化を図るために、現在は放出角度が拡大された性能になっているであろう。 次に特許事件⑥では、発光点を原点とした球極座標の表現を適用しながら、レンズ表面までの距離を動径