ブックタイトルメカトロニクス4月号2014年
- ページ
- 46/56
このページは メカトロニクス4月号2014年 の電子ブックに掲載されている46ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは メカトロニクス4月号2014年 の電子ブックに掲載されている46ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
メカトロニクス4月号2014年
46 MECHATRONICS 2014.4【第131 回】里地里山について(1)~生態系と生物多様性とのかかわり~ ■環境問題における“里地里山”の位置づけ ■“里地里山”について ■里地里山に関係する年表 ■「環境基本計画」における“里地里山”【第132 回】里地里山について(2)~「環境基本計画」、「21 世紀環境立地戦略」等が取り上げた諸問題~ ■「第4 次環境基本計画」で取り上げられた “里地里山”問題 ■「21 世紀環境国地戦略」 ■生物多様性条約第10 回締約国会議 (COP10)での関連イベント ■里地里山保全・活用検討会議【第133 回】里地里山について(3)~里地里山を守るための各種の取り決め~ ■ SATOYAMA イニシアティブ ■里地里山法 ■「生物多様性国家戦略」の策定とその改訂【第134 回】里地里山について(4)~「生物多様性国家戦略2012-2020」~ ■「第5 次戦略」策定の経緯 ■「第5 次戦略」のポイント ■「第5 次戦略」の構成 ■「第5 次戦略」における“里地里山”の記述【第135 回】里地里山について(5)~里地里山を守るための運動~ ■テレビ番組で取り上げられた里地里山 ■鎌倉市における緑保全の市民運動 ■環境省の「里地里山保全再生モデル事業」 ■神奈川県秦野地域における 里地里山保全再生モデル事業【第144 回】里地里山について(6)~現在進行中の里地里山保護運動の実例(その1)~ ■再開発対象となった横浜市の緑地地区 ■開発の対象となった上郷・瀬上地区 ■地元NPO による「上郷開発計画」への問題提起 ■横浜市長に宛てた陳情書 ■ NPO「上郷・瀬上の自然を守る会」 ■都市計画提案制度について日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力里地里山について(7)~現在進行中の里地里山保護運動の実例(その2)~【第145回】■「上郷開発計画」に関する東急建設(株)の 現在の展開( 1)東急建設(株)の再提案 東急建設(株)は2013 年12 月25 日に、「瀬上市民の森」に連なる上郷猿田地区の大規模開発計画を市政記者クラブで公表、早ければ1月早々にも横浜市に都市開発提案制度による開発申請を行うとの方針を示した2)。その発表の概要は以下の通りである。① 2014 年1 月に都市計画提案を行う。②予定地は港南台から南へ約1 キロの32ha。③舞上線を境に北西側を市街地整備エリア、南東側 を自然環境保全エリアとして分ける。④予定地の約7 割(23ha)を緑地として残す。⑤北西側には商業施設(店舗面積約1万平米のホー ムセンター)、医療・福祉施設(約2,700平米のメ ディカルモール)、人口約1,000 人になる住宅 300戸(低・高層住宅)を建設。⑥南東側には雨水調整池、ウェルカムセンター、都市 公園を作り、他に特別緑地保全地区は市に買い取 りを希望。⑦舞上線を拡幅して4車線にする。⑧景観や生物への影響を最小限にする。⑨最短で2016 年10 月に着工。 なお本提案の内容については、横浜市役所ホームページに掲載された以下の資料が参考になる。・都市整備局地域まちづくり課・建築局都市計画課「(横浜市記者発表資料)栄区上郷町において都市計画法第21条の2に基づく都市計画の決定及び変更が提案されました」(2014年1月17日)・東急建設(株):「(仮称)上郷開発事業環境影響評価について、計画の修正に伴う評価書との比較(修正届添付資料)」(2014年1月)(2)市民団体の東急建設(株)に対する反対声明 「上郷開発計画」に関する東急建設(株)の新しい提案(「上郷猿田地区開発計画」)に対し、市民団体「署名の会」、「守る会」および「NPO 瀬上沢基金」は、同日午後、横浜市庁記者クラブで合同記者会見を行い、建設の提案が「瀬上市民の森」に連なる貴重な自然環境を破壊するばかりか、現行の「整備開発保全の方針」に反し、周辺住宅地の居住環境に多大な悪影響を及ぼすなど具体的な問題点をあげ批判、提案の白紙撤回を求めた。以下はその声明文の概要である2-2)。 “「上郷・瀬上の自然を守る会」と「上郷開発から緑地を守る署名の会」はともに、東急建設(株)がこのたび提案する「上郷猿田地区都市計画提案」について、下記の理由で反対を表明します。①都市計画提案制度を利用して、市街化調整区域を 市街化区域に変更した上で行う「都市開発」を容認 したケースは、全国に1件もありません。仮に今 回の提案が認められれば初めての例となり、日本 全国の市街化調整区域の大規模な緑地は、都市開 発の危機にさらされます。横浜市の判断が全国の 注目を集めています。②今回提案される都市計画提案は、現行の整備開発 保全の方針に抵触します。横浜市も神奈川県もそ のように認識していて、現に2012 年3 月に市が 東急建設(株)に示した助言書にもその旨記述され ています。③開発予定地一帯は、自然発生するホタルの生息地 として市内最大の規模を誇っています。ホタルの 他4,000種以上の昆虫類、オオタカを初め猛禽類 や希少価値のある生物や植物の宝庫です。生物多 様性モデル地区ともいえます。④開発予定地には、県内で唯一の古代製鉄遺跡が残 されています。⑤過疎高齢化と人口減少が進む開発予定地一帯で、 自然や文化遺産を壊してまで宅地造成をする必要 は全くありません。貴重な自然は次の世代に繋げ ましょう。⑥ 2012 年4 月から始めた、開発予定地の全面保全 を求める署名数が2013 年12 月現在10 万5 千 筆を上回り、前回2007 年の開発計画に反対した 署名数9万2千筆をはるかに超えています。全面 保全を求める声がいっそう高まっていることを確 実に証明しています(「上郷・瀬上の自然を守る 会」・「上郷開発から緑地を守る署名の会」代表 山 仲章介)”。(3)「上郷開発計画」への行政の対応 横浜市長および横浜市会は、東急建設(株)の「上郷開発計画」の再度の提案をこれから審議することとなる。 その時に、市民団体が関係居住者の10万筆を超えるみどり保全の署名を背景として行っている開発反対の意志表示をどう判断するかが注目されている。■「上郷開発計画」に関係する市民団体 「上郷開発計画」に関係する市民団体は、環境問題に関心をもつ多くの人々にこの問題が理解されるような活動を行っている。(1)「上郷・瀬上の自然を守る会」・「上郷開発から 緑地を守る署名の会」① 組織概要・代表者:山仲章介 前回に本シリーズで紹介した「上郷開発計画」問題は、2008年9月の横浜市都市計画評価委員会の決定で終結したかに見えたが、2012年に再燃し、現在も開発業者、行政、地元NPOの間で討議が継続している。 さらに東急建設(株)は2013年12月25日に、「上郷開発計画」に関する新しい提案を準備中であることを発表し、2014年1月に新しい都市計画提案を行い2016年中の着工を目指すとした1)。 今回は、この提案について、東急建設(株)、市民団体、地方自治体それぞれの立場を公表された資料の範囲で紹介する注1)。 なお、東急建設(株)はこの再提案における計画の名称を「上郷猿田地区(都市)開発計画」と称する場合があるが、それは従来の「上郷開発計画」の再提案しものとして、以下の説明でも使用する。<写真1>10万筆達成のチラシ注1)ちなみに本テーマ「里地里山について」の過去掲載の目次は以下の通り。