ブックタイトルメカトロニクス3月号2014年

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概要

メカトロニクス3月号2014年

12 MECHATRONICS 2014.3 御社の概要についてお聞かせ下さい高田:当社は、1975 年6 月に東京都足立区にて株式会社周防という社名で創業を開始しました。当時の主な事業は、弱電関連の電気部品や、自動車/バイクパーツなどのプレス加工の下請けを行っていました。その中で、現在当社主力製品となるスライドレールのメインパーツの加工も手掛けていました。 スライドレールは、机の引き出しの横などに取り付けられている直動機構の機械部品で、このスライドレールを取り付けることにより、重い引き出しやユニットを軽い力でしかもスムーズに動かすことが可能になります。当初は、出来上がったメインパーツに取り付けのための穴を加工したり、ストッパの加工を行っていましたが、元々当社は金型の技術に関しても独自の技術をもっていたので、高精度が求められるメインパーツの成形加工にも対応できると考え、それまでメインパーツを調達していた会社に、逆に当社ですべて加工した完成品を購入して頂けるような環境を整えていきました。 1990 年4月には、スライドレールの需要が見込めると判断し、自社ブランドの立ち上げを目的にスカイテクノ株式会社を設立しました。社名の由来は、空いっぱいに自社の技術を広めていきたいという思いから付けたもので、開発/販売はスカイテクノが担当し、製造に関しては周防が担当するというような事業形態にもっていきました。そして、国内を中心に事業を展開していましたが、次第に中国や台湾などからの輸入品と競合するようになり、先を見据えた海外での展開などを視野に入れ、中国、タイ、ベトナムなどで協力会社を 自社独自の金型技術を活かし、コンパクトかつ高荷重に対応した高精度スライドレールを柱に事業展開する株式会社スカイ。国内だけでなく海外にも拠点をもち、ユーザーニーズを活かした製品開発や人材育成に力を入れる同社の概要、技術/製品などについて、専務取締役高田 剛 氏にお話を伺った。株式会社 スカイ専務取締役高田 剛 氏耐衝撃性/安全性に優れた高精度スライドレール~設計から組み立てまで一貫した生産体制を実現~探したり、自社工場をもつことなどを検討していました。しかし、つてや人脈などがまったくなかったため、なかなか思うように進まない状況が続いていました。 そのような中、財団法人中小企業国際人材育成事業団が推進する「東南アジアの優秀な人材に、日本の優れたものづくり技術を学ばせて祖国の工業の発展に繋げていく」といった取り組みを知り、たまたま人材を必要としていたこともあり、1996 年2月にインドネシア研修生を6名受け入れ、それ以降毎年6名ずつ受け入れを行うようになりました。研修期間は2~3 年で、研修が終了すると祖国に帰国するというような状況でした。ただ、帰国しても研修で培った技術を活かせるような仕事が、すぐに見つかるというようなことはなかったようです。そこで、当社も海外の拠点を探していたということもあり、その他にも色々きっかけはありましたが、彼らにインドネシアで会社を立ち上げるので、協力してもらえないかという話しをして、1998 年6月にインドネシアのスラバヤにPT.スカイインドネシアを設立しました。ありがたいことに、当社が受け入れインドネシアに帰国した研修生達のほとんどが勤務してくれました。彼らは、すでに日本で当社の技術だけでなく、品質へのこだわりや管理の仕方、日本語なども習得しているので即戦力となり、今では中心的な立場で会社を盛り立ててくれています。 2000 年4月には、それぞれ独立していたスカイテクノと周防を合併し、株式会社スカイとして新たにスタートを切りました。業務拡張に伴い、工場なども手狭になったことで何度か工場や一部の部署の移転を行ってまいりました。また、インドネシアからの物量も増えてきたため、効率化を図るため、2006 年4 月に現在の所在地である埼玉県加須市に新社屋を建設し、分散していました部署などもすべて移転させました。 その甲斐もあり、スライドレール事業は順調に伸びてはきたものの、スライドレールそのものの市場はそれほど大きくない為、次の事業を育てて行きたいと考え始めました。そのような中、たまたま目にした新聞に太陽電池の製造に関する支援を行う企業の記事が掲載されていたことがきっかけとなり、その企業の工場を視察するなど色々と検討を重ねた結果、独立電源を中心としたニッチな分野での太陽電池モジュール事業に参入していくことになりました。そして2010 年6 月には、PT.スカイインドネシア内に太陽電池モジュール工場を建設しました。 ただ、まだまだスライドレール事業が主体となっていることは確かです。しかし、太陽電池に関しても少しずつではありますが、売り上げは伸びてきています。そのほとんどは、海外メーカー品を何度か試しに使ってはみたものの、品質が安定していないなどの理由で当社製品に切り替えを行って頂いたユーザーからの注文です。 当社製品は、自社のインドネシア工場で、自分たちの目の届く範囲で生産を行っています。日本流の生産/品質管理方法で生産をしていることが、ユーザーに安心して頂けている最大の特徴なのかもしれません。これからは、他社製品との違いももう少し分かり易く説明し、積極的にPRし、事業の進展を図っていこうと思っています。 御社の技術とその技術を活かしたスラ イドレールについてお聞かせ下さい高田:当社は、元々板金やプレス加工が主体だったので、プレス加工に必要とされる金型の技術も自社でもっております。事業拡張にともない金型に関しても自社で行うことになった時には、その金型の技術が活図1 シングルスライドレールの構造図2 ダブルスライドの構造図3 スリーメンバースライドの構造