ブックタイトルメカトロニクス1月号2014年
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メカトロニクス1月号2014年
MECHATRONICS 2014.1 47注)日本産業洗浄協議会:JICC、Japan Industrial Conference onCleaning■ VOC 排出抑制の目標と達成結果(1)VOC 排出量の2000 年度推計値 環境省によれば、2000 年度のわが国での総排出量は約185万トンと推計され、うち約9割に当たる約150万トンが固定発生源、つまり工場等の事業所からの発生とされている。 環境省2000 年度の(財)環境科学情報センターへの委託調査に基づき、固定発生源を分類し、VOCの排出削減目標の基準値となる2000 年度の排出量を図2 のように推計している7)。(2)VOC 排出量の2010 年度の達成値 その結果、2010 年度のVOC 総排出量は2000年度に対して44%削減された(図3)。 それを踏まえて、2012 年4月に環境大臣中央環境審議会に「今後のVOC の排出抑制対策の在り方について」について諮問が行われた。■今後のVOC 排出抑制対策について 産構審WGは、事業者及びその業界団体による自主的取組の実施方法を定めた指針の策定及び業種別のフォローアップを行ってきたが、その結果、自主的取組による2010 年度のVOC 排出量は2000 年度比データ役56%となり、目標値を大きく上回った(図3は2011年度の結果で45%の削減となった)。 このため、大気汚染防止法の6 年見直しの際には、産業界に対して新たな削減目標を課す必要のない旨、環境省に要請していくことで委員の了承が得られた。 上記諮問に対して、中央環境審議会は2012 年12月に答申を行い、“法規制と自主的取組を組み合わせた現行のVOC 排出抑制制度はそのまま継続すること”となった。(以下次号)(2013.11.17記)<参考資料>1)環境省:「第3次環境基本計画」(2006 年4 月7 日閣議決定)2)環境省:「第4次環境基本計画」(2012年4月17日閣議決定)3)中央環境審議会:「揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制のあり方について(意見具申)」(2004年2月3日)4)(一社)産業環境管理協会ホームページ5)環境省・日本産業洗浄協議会・(株)旭リサーチセンター編集:「VOC 排出抑制:産業洗浄における自主的取組マニュアル」(2007 年3月)6)環境省・日本産業洗浄協議会・(株)旭リサーチセンター編集:「VOC 排出抑制:産業洗浄現場におけるVOC 対策事例集」(2008 年3月)7)経済産業省:「揮発性有機化合物(VOC)排出削減に係るこれまでの取組について」(2013 年11月8日)かしながら複雑な環境問題に迅速かつ柔軟に対処するような場合などに効果が期待される。⑤情報敵手法:(略)⑥手続的手法:(略)(2)「ポリシーミックス」の必要性 上記の6種類の環境政策手法の解説の後に、複数の政策手法を組み合わせることの重要性について、以下のように触れている。 “新たな政策実現手法を開発することとともに、これらの多様な政策手法の中から政策目的の性質や特性を勘案しつつ、適切なものを選択し、ポリシーミックスの観点から政策を適切に組み合わせて政策パッケージを形成し、相乗的な効果を発揮させていくことが不可欠である。”(3)「ベストミックス」のもつ意義 「ベストミックス」は、以下のように法規制と事業者の自主的取組とを適切に組み合せたことが特徴である。①一定規模よりおおきいものを法規制の対象施設(外形裾切り基準)として都道府県への届出を義務づける。② VOC 排出の対象施設に対して、排出口における排出濃度基準の遵守を義務づける。③ VOC 排出の対象施設より規模のちいさいところは、事業者の自主的な排出削減の取組みに任せる。(4)VOC の排出抑制の目標と時期 中央環境審議会が大気汚染防止法の改正について行った「(意見具申)揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制の在り方について」3)の中では、VOC の排出抑制の目標と時期について、以下のように記されている。 “VOCから浮遊粒子状物質や光化学オキシダントが生成される過程には、多くの化学反応や環境中の条件が関与するため、VOC とこれらの生成物との関係を定量的に把握する場合には、一定の不確実性が内在することは避けられないが、今回の検討においては、現時点で科学的に最善のシミュレーションモデルを用いてVOC の排出量削減効果を算定した。・・・(これによると)VOC の排出総量を3 割程度削減すれば、浮遊粒子状物質及び光化学オキシダントによる大気汚染が相当程度改善すると評価できることから、固定発生源から排出されるVOC の削減については、現状(2002 年度)の排出量から3割程度削減することが一つの目標と考えられる。上記目標の達成期限については、・・・自動車NOx・PM法基本方針に定める浮遊粒子状物質の環境基準のおおむね達成という目標を勘案して、2010 年度を目途とするのが適当である。”■目標達成のためのベストミックス制度 自主的取組の結果を把握するためには、客観的な検証の仕組みが必要であり、期限を定めた削減目標値を達成するためにも、以下のようにいろいろな工夫がこらされた。(1)事業者の自主的取組への参加 自主的取組に参加する意志のある企業は、事業形態に応じて適当な事業団体の自主行動計画に参加を表明する。 その企業は、自社内の事業所に調整を行い、それらを集計して、① 2000年度の基準排出量、②直近年度の排出量、③ 2008年度の排出量の中間目標、④2010 年度の最終排出量の目標値を業界団体に報告する。 業界団体は、会員企業のうち自主的取組に参加を表明した企業からの報告書を集計し、業界団体としての自主行動計画を策定し、経済産業省に提出する。 業界団体から出された自主行動計画は、毎年11月に開催される「産業構造審議会 環境部会 産業と環境小委員会。化学・バイオ部会 リスク環境小委員会 産業環境リスク対策合同ワーキンググループ」(「産構審WG」)に提出され、審議される。 自主行動計画を提出した後は、各社が適切な削減計画を実行し、その実績を年に1回、業界団体に報告する。業界団体は、自主的取組参加企業の削減実績を集計し、経済産業省に報告する。 業界団体から出された自主的取組排出削減実績報告は、毎年11月に開催される産構審WGに提出され、審議される。 自主的取組に参加している企業、団体等は以下の通りである(2011 年度)。・VOC 自主的取組参加の業界団体:41・企業数:8,257社・VOC 自主的取組支援団体:2団体 (一般社団法人)産業環境管理協会 日本産業洗浄協議会(2)(一社)産業環境管理協会の支援活動 産業環境管理協会は、VOC の自主的取組への企業の参加拡充を図るため、「VOC自主的取組支援ボード」を2007 年10 月に開設した。それは業界団体に所属していない企業の自主的取組の成果をまとめ、あるいは自主的取組への参加を事前検討する企業の支援を行うものである。 同協会は、支援ボードを通じて、排出量と削減計画の報告を受けた企業のデータを集計して、「産業環境管理協会の自主行動計画」として経済産業省に報告する(図1)4)。(3)日本産業洗浄協議会(JICC)注)の支援活動 JICC は、モノづくりに係わる企業の洗浄現場がVOC排出抑制対策を自主的に行うときに必要な各種情報を取りまとめると同時に、洗浄工程における各種排出抑制効果を実験で確認しつつ、自主的取組のためのマニュアルを編集した。またこのマニュアルに基づいて中小企業の洗浄現場を訪問し、実地指導を行って、排出抑制対策の事例集を編集した5,6)。<<図2>わが国の2000年度VOC排出量推計7) 図3>わが国の2011年度VOC排出量推計7)(国内固定発生源)その他 9%その他 7%粘着剤・剥離剤 4%洗浄用シンナー 4%燃料(蒸発ガス) 12%塗料 37%燃料(蒸発ガス) 20%塗装接着剤 5% 38%工業用洗浄剤 6%印刷インキ 9%化学品 10%ドライクリーニング溶剤 4%ドライクリーニング溶剤 3%ラミネート用接着剤 3%排出量約141.1万トン平成12年度排出量約78.3万トン平成23年度洗浄用シンナー 4%食料品等(発酵) 4%印刷インキ 5%接着剤 5%工業用洗浄剤 6%化学品 6%出典:環境省(平成22年3月)(注)四捨五入の関係で、合計が100%になりません。出典:環境省 平成24年度VOC排出インベントリ検討会報告書より