ブックタイトルメカトロニクス12月号2013年

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概要

メカトロニクス12月号2013年

52 MECHATRONICS 2013.12図2-199  反射型液晶表示装置にホログラムを用いた構成例《第56回》2 設計から始めよう(その54)5.側射型照明装置(2)充実型側方照明( エッジライト) 方式⑯散乱・拡散シートⅳ 拡散シート(その4) 拡散板に関する特許事件例を前回から引継いで見てゆこう。今回は2000 年後半以降の出願事件である(表2-47)。それぞれの技術内容は担当課題で誠意を注いだ技術分野が記載されている。直接関係する技術者にとって非常に有益な情報であることには違いないが、他の分野の開発者にあっても含蓄ある教訓をもたらしてくれる。種々の要素の固有特性を直接課題に活用してこそ有効な特性を発揮して価値ある技術に育ち、有効な特許権利ともなる。 これらの資料を一瞥し、特許価値ある技術の要素だけに魅了されて、その要素を直ちに自己の課題に取り込もうとする所謂お調子者が一方で居るようである。つまりその人々の思考過程は逆であって、特定要素を採用すれば難題が解決すると楽観し、自己の発想だと吹聴しているのを私の周囲でも垣間見られる。 多くの現物を体得し、それらの確実な固有特性を熟知し、そして自己の当面の課題を解決するとき必要な特性の思い当たり、漸くにして当該要素を見出してこそ、適切な技術に育つというものだ。他者の吹聴に惑わされることなく、信頼できる情報は特許技術を検索するのが最良である。しかし検索手段を選びながら検索世界を遊歩するのは、時として余りにも広すぎる。 今回掲載のなかで、反射型液晶表示装置にホログラム反射板を採用した事例に注目させられた( 図2-199)。反射型液晶表示装置とはバックライトやフロントライトを使用しないで、照射される外光だけで液晶表示画面を看視するディスプレイである。携帯電話の表示画面や小型の情報機器に適用される例が多い。この反射型液晶表示装置は、構造が簡単で消費電力が少ない利点があるが、色の彩度が低くまた当然ながら暗所では見えにくい短所がある。 反射型液晶画面を観視するには、画面表面から採取した外光を液晶層に透過させ、背後に配置した反射板に照射させ、その反射光を液晶層に再度透過させて観察者に到達させる。この反射板が表示部材内部にあるのか、表示部材の背後に配置されているのかによって、内部反射型と外部反射型とがある。 従来は単なる反射素子を敷いていたが、2000 年に入る頃から体積位相型ホログラムや表面形成型ホログラムが用いられるようになった。しかし単調な構造のホログラムを用いたのでは、特有な回折現象で反射光線の角度や色度が限定されてしまう難点が感じられた。この発明はそれらを是正するために、反射材となるホログラムを感光材料に多重露光する方法で作製し、かつその反射素子を液晶部材内のどこに配置すべきかに、工夫を凝らしている。光の挙動を熟知してこそ具体化できる技術知識水準であろう。【参考文献】2-118) 特許電子図書館(IPDL)電子版 2 設計からはじめよう(その55)