ブックタイトルメカトロニクス11月号2013年

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概要

メカトロニクス11月号2013年

MECHATRONICS 2013.11 494. 内歯歯車(つづき)4. 2 内・外歯歯車対 1枚の内歯歯車と1枚の外歯歯車の組み合わせを考え、これを内・外歯歯車対(うちそとばはぐるまつい)と呼ぶことにする。外歯の方をz1、内歯の方をz2とする。z1 < z2である。双方の歯車について、それぞれ最適な転位係数が定められたとして、これをx1 およびx2とする。このとき、背??をゼロにする心間距離は式(4. 1)によって与えられる。                    (4.1)これによって作図を行なったものを図4. 2に示す。 両歯車の基礎円半径は歯数が決まれば決まるので、両基礎円に接する直線として作用線が定まる。外歯歯車対との違いは、外歯では作用線はベルト掛けに例えれば、たすき掛けの状態であったが、内・外歯歯車対では、平行掛けの状態になることである。両歯車の歯面が接する点(噛合い点)はこの作用線上を移動し、作用線が中心線を切る点が噛合いピッチ点である。作用線は両歯面のインボリュート曲線の共通法線となっており、両歯車の押し合う力はこの方向にはたらく。 心間距離をaとするとき、両歯車の中心から噛合いピッチ点に至る距離rp1、rp2(これを噛合いピッチ円半径という)は、それぞれ下式で与えられる。   (4.2)ただし、ここでrb1、rb2はそれぞれ基礎円半径、αcは工具圧力角(=20 °)である。 上式によって両歯車の噛合いピッチ円半径が求まったので、速比1/uはその逆比として求まる。図4. 2(b)において、噛合いピッチ点Opにおける速度をvとすると、この値は両歯車で一致するから、次式が成り立つ。            (4.3)内・外歯歯車対の場合はω1とω2の回転方向は同方向であるので、マイナスの符号はつかない。 速比は両歯車の歯数のみによって決定される。心間距離にも、転位係数にもよらない。 背??をゼロにする心間距離の値はすでに式(4. 1)に与えた。図4. 2に示した内・外歯歯車対のデータを下記に示す。        (4.4)このとき、( 4.5)となる。噛合い圧力角が工具圧力角よりも小さい値になっていることが注目される。5. 遊星歯車減速機5. 1 構成 外歯歯車対z1、z2を内歯歯車z3の内部に入れた構造の装置を遊星歯車装置(planetary gear mechanism)という(図5. 1)。z1とz3は同心であり、z2はz1とz3の両者と噛合っている。z1を太陽歯車(sun gear)、z2を遊星歯車(planetary gear)という。z3は通常、単に内歯歯車(internal gear)、あるいは内歯車と呼ばれている。 遊星歯車z2は自転を行いながら、同時に公転も行う。自転の回転のみを取り出すことは難しいが、公転の方はキャリア(carrier)と呼ばれる部品によって取り出すことができる。これは、3 個の遊星歯車の回転軸を⊿(デルタ)形あるいはY字形に連結して、その中心から軸を取り出すものであって、これを通常、キャリア軸と呼んでいる。遊星歯車の個数は荷重のバランスを考えて、図示のように3個にすることが多いが、2 個又は1 個にすることも可能である。 z1の軸、z3の軸、キャリア軸、と三つの軸があるので、三つのうちのどれかを固定し、残り二つのいずれかを入力軸に、残りを出力軸に選ぶと、合計6 通りの組み合わせができ、6 種類の速比が得られる。また、いずれの軸も固定しなければ、2 入力1出力の、いわゆる差動歯車装置として用いることもできる。インボリュート歯車の設計牧野オートメーション研究所長 山梨大学名誉教授 牧野 洋第7回図4.2 内・外歯歯車対(a)噛合い状態(b)速比図5.1 遊星歯車減速機(         )