ブックタイトルメカトロニクス10月号2013年
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メカトロニクス10月号2013年
MECHATRONICS 2013.10 11所 在 地:U R L:事業内容:神奈川県川崎市http://www.nipponbasic.ecnet.jp/災害用浄水器・洗浄装置の開発/製造/販売、など。日本ベーシック株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・り、現地で組み立てた『シクロクリーン』を使用して飲料水をつくり(写真2)、現地の協力会社のブランドで販売を行っています。これは、独立行政法人国際協力機構(JICA)の採択を受けたBOP(Base of thePyramid)ビジネスの一環として行っており、当社は、貧困層による貧困層のための水ビジネスの構築を進めています。 このように、『シクロクリーン』の技術は、当社のコアとなっており、この技術はその他当社オリジナル製品の災害用浄水器や浄水装置などにも応用されています。 『シクロクリーン』の技術を応用した災 害用浄水器/浄水装置についてお聞か せ下さい勝浦:まずは、移動に便利なキャスタ付きトランクケース型の緊急用浄水器『シクロクリーンポータブルシリーズ』を紹介します(写真3)。この製品は、活性炭、不織布、中空糸膜を内蔵したフィルタを搭載し、手廻しハンドルを回すだけで、河川/池/プールの水などから無菌で安全な塩素殺菌処理まで施した飲料水を、毎分3.0~3.6?(1 時間に約200?)つくることができます。また、コミュニティの規模に応じて、毎分1.5~1.8?(1 時間に約100?)の飲料水がつくれる軽量タイプも用意しています。 次に、普段は家庭用浄水器、断水時には災害用浄水器に早変りする1台2役の常災兼備浄水器『シクロクリーンプロミネント』という製品を紹介します(写真4)。この製品は、0.04μmの高性能中空糸膜フィルタが、O-157や大腸菌/レジオネラ菌/クリプトスポリジウムを完全除去し、地震などの災害で断水したときも、専用手押しポンプで風呂の残り湯やプールの水から飲み水が作れる1台2役の浄水器です(風呂水は浴用剤の入っていないものに限る)。流し台の横に置く「キッチン据え置き型」と流し台の下に据え付ける「アンダーシンク型」の2タイプをラインアップし、キッチン据え置き型は、家庭用浄水器に不可欠な原水/シャワー/浄水の3段切り替えタイプになっています。アンダーシンク型は、ほとんどのメーカーのアンダーシンク型と互換性があり、2回目からは本体の交換は不要で内部カートリッジだけの交換となり、経済的なランニングコストを実現します。 そして最近では、シクロクリーンプロミネントシリーズとして、小型ながら大腸菌/レジオネラ菌/クリプトスポリジウムまで除去する高い浄水能力をもつアタッシュケース収納型の緊急用浄水器『シクロクリーンプロミネントBOX』も新たに開発しました(写真5)。この製品は、優れた機動性で災害や断水時などに飲料水を確保します。シクロクリーンプロミネントと同様に、専用の手押しポンプでお風呂の残り湯やプールの水から飲み水をつくることができ、家庭のみならず、小規模の自治会やマンションの管理組合、災害避難指定場所、企業、幼稚園/保育園の災害対策装備としても使用することができます(風呂水は浴用剤の入っていないものに限る)。 それから、淡水以外にも海水や塩水(汽水)を浄水して生活用飲料水をつくり出すことができる災害用海水淡水化装置『Desaliclean』を紹介します(写真6)。この製品は、浄水能力により「2501(最大約100?/時間)」「9000(最大約400~500?/時間)」の2タイプをラインアップしています。キャスタ付きで、2501タイプはリヤカーにも載せられる50kg の軽量コンパクトサイズになっており、海水淡水化プラントと同等の設備を凝縮しています。電気に頼ることなく大量の飲料水をつくることができ、水汚染が著しい地域に対応するため、砒素まで除去できる高性能装置になっています。 これらの製品は、主に国内では災害用として販売していますが、最近では研究開発に関連する所からも問い合わせなどがきている状況です。 今後の展開についてお聞かせ下さい勝浦:一つ目は、当社のコアとなる『シクロクリーン』の生産コストを下げるための取り組みを進めていきます。先程も少し説明しましたが、今までは大手自転車メーカーに協力して頂いた製造工程を、今後は当社独自で行えるようにするための研究開発を行っていきます。また、国内と海外ではそれぞれ異なる部品やパーツなどを使用して製造したり、製品自体の性能面でも必要に応じて変更するなど、それぞれ使用する場所や環境において目線を変えて生産コストの削減に取り組んでいきたいと考えています。 それから二つ目として、バングラデシュにある当社の水工場をさらに進化させていく取り組みを進めていきます。これにより、さらなる水事業を展開しながら、アジアにおけるBOPビジネスの拠点として確立させていきたいと考えています。そのために当社は、“ 三本の矢”に例えて三つの取り組みを進めています。 まず第一の矢は、アジアの都市生活者でも安全/安心な飲料水を得られていない人々が大勢存在するという現実を踏まえ、当社の水工場で製造した飲料水をガロンボトルに詰めて低価格で提供していく「都市ボトル飲料水販売システム」の展開を進めています。 次に第二の矢は、この安全/安心な飲料水の提供を、都市部から離れた無電化地域でも提供できるような取り組みを進めています。そういった地域には、当社の水工場から輸送コストなどを掛けて運ぶのではなく、現地に「無電源対応小型浄水システム」の設置を行っていきます。このシステムは、当社が中心となり川崎市のいくつかの企業に協力して頂き、“かわさきモデル”というネーミングでシステムを構成しています。システムの内容は、濁度が高い原水処理のための凝集沈殿装置とメンテナンスフリーの砂ろ過装置、そして『シクロクリーン』といった装置を20フィートコンテナの中に収納したパッケージ型になっており、ソーラパネルの電源を利用して1日に1,500 人分の安全/安心な飲料水をつくることができます。 そして第三の矢は、無電源対応小型浄水システム内にも設置している凝集沈殿装置にスポットを当て、この部分だけを車に搭載してため池や河川などの水源を浄化する「車載型急速凝集式ため池/河川水源浄化システム」の開発を進めていきます。このシステムは、濁水水源を生活用水に浄化するだけでなく、浄化過程で出た汚泥を農業土壌などに再利用していく取り組みです。 これらの取り組みは、たまたま起点のあったバングラデシュにおいて展開していますが、今後はアジアのその他の地域でも展開できるようにそれぞれの完成度を高めていきます。 このように、当社は今後も水に関連するソリューションを追いかけていきたいと考えています。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真4 常災兼備浄水器『シクロクリーンプロミネント』写真6 災害用海水淡水化装置『Desaliclean』写真3 キャスタ付きトランクケース型緊急用浄水器写真2 バングラデシュの水工場内にある浄水室『シクロクリーンポータブルシリーズ』写真5 アタッシュケース収納型緊急用浄水器『シクロクリーンプロミネントBOX』