ブックタイトルメカトロニクス10月号2013年

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概要

メカトロニクス10月号2013年

10 MECHATRONICS 2013.10 御社の概要についてお聞かせ下さい勝浦:当社は、2005 年5月に設立し、今期が9 期目になります。私は、元々大手繊維メーカーに勤務をしており、役職定年を迎えるまでの数年間は、主に家庭用浄水器に関する事業に携わっていました。きれいな飲み水をつくるための家庭用浄水器が事業領域だったのですが、その中で私自身、事業領域をもっと広げていく必要があると常々考えていました。例えば、災害用やアウトドアなど様々な用途できれいな飲み水は必要とされます。また、海外などでもきれいな飲み水を必要とする地域の状況を公益財団法人日本ユニセフ協会が報告しています。そういった所に、事業を展開していく必要があると考えていました。 そのような時に、外部から「自転車を使って水をきれいにしませんか」という内容のアイデアがもち込まれました。元々、災害用で手動式や足でポンプを踏んだりするような浄水器は世に出ていましたが、自転車を使った浄水器というのは私の知るかぎりまだ世には出ていませんでした。実際に、アイデアをもち込まれた方々と試行錯誤を繰り返しながら共同で試作品を2 台つくりましたが、そこで私は役職定年となり、その後の事業化については後任の方に引き継ぐ形となりました。その後、どのような経緯でそうなったかは分かりませんが、結果的には事業化には至りませんでした。 それを受け、自転車のアイデアをもち込まれた方々が私のところに「このアイデアをどうにか世に出す方法 自転車一体型浄水装置を柱に、災害用浄水器・洗浄装置の開発/製造/販売などを行う日本ベーシック株式会社。最近では、国内だけでなくバングラデシュを拠点にした水ビジネスを展開する同社の概要と製品などについて、代表取締役 勝浦 雄一 氏にお話しを伺った。日本ベーシック株式会社代表取締役勝浦 雄一 氏自転車を利用した浄水装置で水ビジネスを展開~災害時だけなく様々なシーンで「安全/安心な“飲み水”」を提供~はないだろうか」といった内容の相談に来られたのです。その当時、私は別の会社に再就職をしていたのですが、その会社で事業化を進めるには会社の事業内容からちょっと畑違いになってしまうため、よくよく考えた末に再就職した会社を退社して、自転車のアイデアをもち込まれた方々と一緒に新たな会社を立ち上げることにしたのが、当社設立のきっかけになっています。自転車のアイデアをもち込まれた方々は6人いらっしゃったのですが、その方々に当社の株主になって頂くことで会社設立の資金を出して頂き、役員をお願いしている方もいらっしゃいますが、実質会社の経営などに関しては私一人で行っています。 私自身、20 年ほど水に関する事業などに携わっていたため、当社ではその経験を活かして自転車を利用した浄水装置を開発するなど「安心/安全な“飲み水”」を提供するための事業展開を進めています。 御社の自転車を利用した浄水装置の概 要と事業展開についてお聞かせ下さい勝浦:当社の開発した自転車一体型浄水装置『シクロクリーン』は、自転車を漕ぐだけで1 時間に150 人分(一人当たり1日2?として)の飲料水をつくり出すことができ、川崎ものづくりブランド推進協議会が主催する「川崎ものづくりブランド」にも認定された製品です(写真1)。この製品には、1μm 以上の異物を除去するプレフィルタと農薬や臭いを除去するハイブリッド活性炭フィルタ、細菌を通さない精密濾過(MF)フィルタが搭載され、自転車を漕ぐだけでプールや河川などから、毎分5?の無菌で安全な飲料水をつくり出すことができます(図1)。ビルやマンションの受水槽、浅井戸、学校/幼稚園のプール、沢/河川、魚が生息する池/泉水/貯留雨水などが主な水源となります。 また、原動力となる自転車は、大手自転車メーカーと共同で開発したものを採用しており、一般の自転車とは異なる仕組みになっています。ハブの部分に浄水装置用のギアが一つ付いており、このハブを使用して大手自転車メーカーのほうでタイヤを組んでもらい、組み上がった自転車に今度は当社のほうで浄水装置を設置しています。ただ最近では、自転車によってこのハブを後付けできるタイプもあるようなので、当社独自で対応できるような研究開発も進めている状況です。 そして事業については、国内では防災用としての用途で展開しており、災害時の避難場所に指定されている学校/公民館/公園、山村など災害時に道路/電気/水道などのインフラ被害により孤立が予想される地域の役所や消防団、災害時に最低限必要な安全水確保が必要な医療機関や老人ホーム、多くの従業員を抱えている工場、リゾートホテルや温泉ホテルなど多数のお客様が滞在する施設、といった所に常設をお勧めしています。 さらに海外では、日常必要とされる飲料水を提供するため、バングラデシュを拠点として事業展開を行っており、製品自体も基本的には現地で組み立てを行っています。バングラデシュには、当社の水工場があ写真1 自転車一体型浄水装置『シクロクリーン』図1 『シクロクリーン』の概略フロー図