ブックタイトルメカトロニクス8月号2013年

ページ
52/60

このページは メカトロニクス8月号2013年 の電子ブックに掲載されている52ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

メカトロニクス8月号2013年

52 MECHATRONICS 2013.8《第52回》2 設計から始めよう(その50)表2‐45 フィジカルオプティックス系統企業からの特許一例(その1) 2-115)図2-195 拡散フィルムの開発に関連する企業と特許件数の推移 2-114)5.側射型照明装置(2)充実型側方照明(エッジライト)方式⑯散乱・拡散シートⅳ 回折シート(その11) 最近になって日本で拡散回折シートが知られるようになったのは、米国の企業POCが開発した製品を日本の商社が販売に尽力したからである。かかわっている企業はどちらも大きくはない規模であるが、未来にかける情熱はすごい2-113) 。 1985年に従業員3名が米国カルホルニア州で小規模企業のPOC:Physical Optics Corporationを創立した。そして米国空軍の要求に対応して良質な製品・サービスを提供しつつ、航空電子制御・情報監視・化学薬物検出・光学探知・医療診断など応用技術・情報技術・電子光学技術を集積したシステムや装置を開発し続けている。レンズ拡散板LSD:Light ShapingDiffuserはその過程で誕生した。POCの創立から27年経過した現在では、従業員235名に成長し、その40%近くは技術者であって、博士号保持者が55名も居る。総務/財務/技術/営業を兼務する副社長6名を総括する社長は女性の博士。希有の知的技術集団のようだ。 PCC設立の8年後に、日本の(株)ナバが欧米の光学関連企業の日本事務所を開設し、その中にPOCも誘致している。POC製品を紹介し始めてから8年後に(株)オプチカルソリューションズが分派してLSDの拡販に努力するようになった。一方、1996年ごろからPOC側ではSBIR:small business innovationresearch(中小企業技術革新制度)の支援により数社がPOCから分蜂し始め、その中でLuminit社が2005年に40名の有志により独立した(図-195)。POC社は創業以来、世界に向けた特許数が135件以上となると誇っている。このうち拡散板および近似技術に関係する特許内容の幾つかを抄録し、出願期日の順序に並べてみた(表2-45)。 一覧してまず気づくは同一または類似の事件が多いことだ。84件中に8組もある。米国出願事件と日本出願事件との重複は2組。各国特許権独立の原則があるので、第一国の出願から1年以内で第二国に出願する時に優先権を主張すれば新規性の要件が許容される事例である。他の残りの6組は記述文章が類似のようで、出願内容の差異は明細書を精査してみないと判別できない。全世界の特許制度では先願主義が普遍化しているが、唯一に米国だけが先発明主義firstto-invent systemを貫いている。そのために、発明日の認定が不可欠となるが、出願しなかった他の事件との相違立証は容易ではない。また特許権の付与から17年の特許権存続期間内で、故意に遅延して発表されるサブマリン特許にもおびえる。これらの理由によるのであろうか、出願事件はとりあえず情報開示する状況なのであろう。 特許内容は要旨の文章を瞬読するのであるが、文脈が理解しにくく、説明紹介にやや明瞭を欠いてしまった。技術内容を正確に理解するには原文明細書を精読する必要を感じさせられた。 この一覧表では、拡散板の光拡散機能を液晶表示装置に活用した機材やその製造技術が提示されている。だが、拡散板そのものの発明は見当たらない。1970年代の公知の技術と既に認知されているからであろう(既出図2-184)。一方、この一覧表に記載しなかった事項の中には、映像立体視装置やヘッドマウント表示眼鏡、特殊保安走査器具がある。拡散板の光偏角機能や均等照明機能を活用した技術だ。 最近になって明るい話題がある。拡散板の商品販路開発に尽力しているオプティカルソリューションズの温容ある紹介により、旭化成がLuminit社と包括的