メカトロニクス4月号2013年

メカトロニクス4月号2013年 page 51/60

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MECHATRONICS 2013.4 51開に向けた各国の協力体制を構築する。【「いきものにぎわいプロジェクト」の展開】 COP10開催を契機に生物多様性の重要性について国民の理解を得るための取り組みを展開するとともに、市民....

MECHATRONICS 2013.4 51開に向けた各国の協力体制を構築する。【「いきものにぎわいプロジェクト」の展開】 COP10開催を契機に生物多様性の重要性について国民の理解を得るための取り組みを展開するとともに、市民参加型調査の実施、都道府県レベルでの生物多様性保全戦略の策定などによる「いきものにぎわいプロジェクト」を展開し、国と地方公共団体、そして民間との連携による取り組みを強力に進める。③百年先を見通した我が国の生物多様性の保全【我が国の生物多様性のグランドデザインの提示】 生物多様性保全に携わる多様なセクターが共通のビジョンの下で取り組みを進められるよう、第3 次生物多様性国家戦略において、100 年先の生物多様性の将来像を「グランドデザイン」として提示し、自然と共生する国づくりを進める。【優れた自然環境をつなぐ生態系ネットワーク構想の推進】 将来にわたり保全すべき自然環境や優れた自然条件を有している地域を有機的につなぐ生態系ネットワーク構想を推進する。具体的には、屋台骨としての国立・国定公園の総点検(制度や区域の見直し等)、保護林や緑の回廊の設定、広葉樹林化等多様な森林づくり、多自然川づくり等の取り組みを進め、流域圏を基軸として森林、農地、河川、海洋等を連続した空間として積極的に保全・再生する。また、トキやコウノトリ、ツシマヤマネコ等の野生復帰や外来生物対策の実施など、多様な野生生物を育む空間づくりを進める。【未来に引き継ぐ里地里山】 国土の約4割を占める里地里山地域のうち、未来に引き継ぎたい重要な里地里山について検討を進めるとともに、里地里山保全リーディングプロジェクトの推進を図る。環境教育の場やバイオマスの利用など新たな利活用方策を検討し、都市住民や企業など多様な主体がコモンズ(共有の資源)として管理し、持続的に利用する枠組みを構築する。【農林水産業における生物多様性保全の総合戦略の策定】 農林水産分野における生物多様性保全に向けた取り組みを推進するための総合戦略を策定し、農林水産業の活性化を通じて、国土の生物多様性保全を図る。(2)「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ」の創設 2010年10 月に、愛知県名古屋市で生物多様性条約第10 回締約国会議(COP10)が開催されたが、この「SATOYAMA イニシアティブ」の考え方に基づいた具体的な取組の推進に資するため、, 同会議に期間中に日本の提案により、関係者間の情報共有や共同活動等を促進する場として「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ」注2)が発足した(2010年10 月19日)。注2)SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ:International Partnership for the Satoyama Initiative、IPSI 「SATOYAMA イニシアティブ」の趣旨を考えた上に真剣に取り組んでいる団体は世界中に数多く存在しており、この取り組みを国際的な協力のもとで進めるためにも重要な決定であった。 IPSI のホームページ2)によると“同組織は、世界中の政府、NGO、コミュニティ団体、学術研究機関、国際機関などの様々な団体から構成され(2012 年10 月現在、126 団体)、情報共有や意見交換といった多種多様な活動の場を提供している。IPSIの活動を通して人々が専門的知識を共有し、互いに影響を受け、助け合い、効果的な取り組みを行うことを支援している。”■里地里山法 ここで紹介する「里地里山法」は、正式名称が「地域における多様な主体の連携による生物の多様性の保全のための活動の促進等に関する法律」である(2010 年12 月10 日、法律第72 号)。 「生物多様性基本法」第21 条や、「生物多様性国家戦略2010」第1部第4章第2節(基本戦略)において、多様な主体の連携による保全活動の重要性が示されていることなどを受けて、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催された2010年10月に開会中であった第176国会(臨時会)に、政府より法案が提出され、同年12月に全会一致で可決成立した。 主務大臣は、環境大臣、農林水産大臣及び国土交通大臣。主務大臣は「地域連携保全活動の促進に関する基本方針(地域連携保全活動基本方針)」を定める。市町村は、地域連携保全活動基本方針に基づき、地域で保全活動を行おうとする特定非営利活動法人等と連携して「地域連携保全活動計画」を策定することができる。この計画の策定や実施を推進するために「地域連携保全活動協議会」や「地域連携保全活動支援センター」の組織や体制整備に関する規定もある。こうした地域連携保全活動は、特に里地里山地域等の生物多様性保全について効果を発揮することが期待されていることから、この法律を「里地里山法」と略称している。          ■「生物多様性国家戦略」の策定とその改訂 生物多様性条約において締約国が策定する生物多様性の保全と持続可能な利用に関する国家的な戦略であり、生物多様性基本法において政府による策定を義務づけている。対象空間は陸上と同時に海洋も含み、日本のみならず関連するアジア諸国も含む。1995年に最初の生物多様性国家戦略が策定され、数度の改正を経ているが、最新のものは2012 年9月28日に「生物多様性国家戦略 2012-2020」として閣議決定された。以下はその策定と、その後の数回にわたる改訂の経緯である。・1992 年6 月5 日:環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)が開催され「生物多様性条約」を採択。 同条約の第6条に、行動計画(Biodiversity ActionPlan、BAP)を定めることが求められている。・1993 年5 月28 日:日本が生物多様性条約を締結(18 番目の締結国)。・1995 年10 月31 日:日本版BAP として「生物多様性国家戦略」を策定。5 年後を目処に見直しを行うことを盛り込む(以後、これを「第1次戦略」と呼ぶ)(写真3)3)。・2002 年3 月27 日:「新・生物多様性国家戦略」(第2 次戦略)を決定(写真4)注3)。注3)同改訂版は、①保全の強化 - 生物種の絶滅・外来種問題・里山の荒廃・湿地の減少への対応、②失われた自然環境の再生、③「持続可能な利用」を行うための社会的仕組みの整備を3 つの柱としていた。・2007年11月27日:「第3次生物多様性国家戦略」(第3 次戦略)を閣議決定(写真5)。・2008年6月6日:「生物多様性基本法」を公布。・2010 年3 月16 日:「生物多様性基本法」に基づく初めての国家戦略となる「生物多様性国家戦略2010」(第4 次戦略)を閣議決定(写真6)。・2012 年9 月28 日:「生物多様性国家戦略2012-2020 ~豊かな自然共生社会の実現に向けたロードマップ~」(第5 次戦略)を閣議決定(写真7)。(2013.2.25記)<参考資料>1)「21世紀環境立国戦略」について・環境省大臣官房政策評価広報課編集:「パンフレット:21世紀環境立国戦略」環境省(2007.6)・閣議決定:「21世紀環境立国戦略」(2007.6.1)2)IPSIのホームページhttp://satoyama-initiative.org/ipsi_members3)環境庁自然保護局編:「生物多様性国家戦略~多様な生物との共生をめざして~」大蔵省印刷局(1996.5)4)環境省編:「新・生物多様性国家戦略?自然の保全と再生のための基本計画」ぎょうせい(2002.9)5)環境省自然環境局編集:「パンフレット:いのちは支えあう:生物多様性国家戦略2010」環境省(2010.4)6)環境省編:「第3次生物多様性国家戦略~人と自然が共生する「いきものにぎわいの国づくり」をめざあして~」ビオシティ(2008.4)7)環境省編:「パンフレット:いのちは支えあう~生物多様性国家戦略2010~」(2010.5)8)環境省自然環境局編集:「パンフレット:豊かな自然共生社会の実現に向けて:生物多様性国家戦略2012-2020」環境省(2012.9)9)環境省報道発表:「生物多様性国家戦略2012-2020」の閣議決定について(お知らせ)(2012.9.28)<写真3>「生物多様性国家戦略」(第1次戦略)の表紙3)<写真4>「新生物多様性国家戦略」(第2次戦略)の表紙4)<写真5>「第3次新生物多様性国家戦略」の表紙6)<写真6> 「パンフレット:いのちは支えあう=生物多様性国家戦略2010」の表紙7)<写真7> 「パンフレット:生物多様性国家戦略2012-2020」の表紙8)