メカトロニクス3月号2013年

メカトロニクス3月号2013年 page 51/60

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概要:
MECHATRONICS 2013.3 51に、農山村における稲わら、里地里山等の利用・管理によって生じる草木質資源等の未利用資源の利用を促進する。”注6)注6)本文の“第2 部 今後の環境政策の具体的な展開、第1 章 重点分野ご....

MECHATRONICS 2013.3 51に、農山村における稲わら、里地里山等の利用・管理によって生じる草木質資源等の未利用資源の利用を促進する。”注6)注6)本文の“第2 部 今後の環境政策の具体的な展開、第1 章 重点分野ごとの環境政策の展開、第6 節 物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組、3. 施策の基本的方向、(3)重点的取組事項、②低炭素社会、自然共生社会づくりとの統合的取組”より。(5)農村・都市郊外部における水環境問題農村・都市郊外部においては、川の流れの保全や回復と、流域の貯留浸透・涵養能力の保全・向上や面源からの負荷の削減を今後とも図る必要がある。このため、里地里山の保全、緑地の保全、緑化、適正な施肥の実施、家畜排せつ物の適正な管理を推進する。水源涵養機能等の農業の多面的機能は、農業の持続的な営みを通じて発揮されることから、水田や畑地の保全を推進し、耕作放棄地の発生を防止する。また、地域住民を含め多様な主体の参画を得て、水田や水路、ため池など農地周りの水環境の保全活動を進めるとともに、環境との調和に配慮しつつ基盤整備を推進する。あわせて、地盤沈下などが発生するおそれのある地域では、継続して監視を行うとともに、地下水利用の適正化や表流水への転換を含めた代替水対策を進める。注7)注7)本文の“第2 部 今後の環境政策の具体的な展開、第1 章 重点分野ごとの環境政策の展開、第7節 水環境保全に関する取組、3. 施策の基本的方向、(3)重点的取組事項、①我が国における水環境の保全、C.農村・都市郊外部”より。(6)自然再生と里地里山の保全 “③自然再生:河川、湿原、干潟、藻場、里山、里地、森林等、生物多様性の保全上重要な役割を果たす自然環境について、自然再生推進法の枠組みを活用し、多様な主体が参加・連携するとともに、科学的知見に基づき長期的な視点で順応的に取り組む。 ④里地里山の保全活用:里地里山等に広がる二次的自然環境の保全と持続的利用を将来にわたって進めていくため、人の生活・生産活動と地域の生物多様性を一体的かつ総合的にとらえ、民間保全活動とも連携しつつ、持続的な管理を行う取組を推進する。里地里山における、特に重要な文化的景観については、重要文化的景観として選定するとともに、地方公共団体が行う保存・活用事業の支援を推進する。”注8)注8)本文の“第2 部 今後の環境政策の具体的な展開、第4 章 環境保全施策の体系、第1節 環境問題の各分野に係る施策、2. 生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組、(2)生物多様性保全と持続可能な利用の観点から見た国土の保全管理、③自然再生、及び④里地里山の保全活用”より。(7)国土管理の理念として “②国土管理の理念を浸透させるための意識啓発と参画の促進: A.森林づくりへの参画の促進:森林づくり活動のフィールドや技術等の提供等を通じて多様な主体による「国民参加の森林づくり」を促進するとともに身近な自然環境である里山林を活用した森林体験活動の機会提供、地域の森林資源の活用や森林の適切な整備・保全に資する「木づかい運動」注9)等を推進する。注9)木づかい運動:日本は京都議定書に基づいて、2012 年までに国内の二酸化炭素(CO2)排出量を1990 年の水準より6%削減することを約束していた。そのうち3.8%を、日本国内の森林によるCO2の吸収量を増やすことで達成しようとしていた。しかし、日本では手入れの行き届かない森林が増え、荒廃が進んでいるため、このままでは京都議定書の二酸化炭素削減目標達成が危ぶまれていた。そのため、林野庁では2005 年度から、国民運動として「木づかい運動」の取り組みを開始した。国産材の積極的な利用を通じて山村を活性化し、CO2を吸収する元気な森林づくりを進めようという狙いである。 B.公園緑地等における意識啓発:公園緑地等において緑地の保全及び緑化に関する普及啓発の取組を展開する。”注10)注10)本文の“第2部 今後の環境政策の具体的な展開、第4章 環境保全施策の体系、第2 節 各種施策の基盤となる施策及び国際的取組に係る施策、4. 地域づくり・人づくりの推進、(1)国土の国民全体による管理の推進と多様な主体による参画の促進、②国土管理の理念を浸透させるための意識啓発と参画の促進”より。■「21世紀環境立国戦略」(1)「21世紀環境立国戦略」策定の経緯 安倍内閣総理大臣は2007年1月26日の施政方針演説において「国内外あげて取り組むべき環境政策の方向を明示し、今後の世界の枠組み作りへ我が国として貢献する上での指針として、『21世紀環境立国戦略』を6月まで策定」するとの方針を打ち出し、環境大臣に策定の指示を下した。 これを受けて、中央環境審議会は同年2月13日に「21世紀環境立国戦略特別部会」を設置し審議を開始した。その結果、5月29日に、中央環境審議会から環境大臣に「21世紀環境立国の策定に向けた提言」(意見具申)がなされた。 政府は、この提言を踏まえ、「21世紀環境立国戦略」を6月1日に閣議決定した。(2)「21世紀環境立国戦略」の概略 地球規模で環境問題が深刻化している状況に対応し、その解決を図るため、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会づくりの取組を統合的に進めていくことにより、持続可能な社会を目指す。 「環境立国・日本」に向けた戦略的取組として、自然共生の智慧や伝統、環境・エネルギー技術、公害克服の経験といった我が国の強みを、環境から拓く経済成長・地域活性化の原動力とすることによって、持続可能な社会の「日本モデル」を構築し、アジア、そして世界の発展と繁栄に貢献するために発信する。 このため、今後1、2年で重点的に着手すべき八つの戦略を以下のように提示している。・戦略1:気候変動問題の克服に向けた国際的リーダーシップ・戦略2:生物多様性の保全による自然の恵みの享受と継承・戦略3:3Rを通じた持続可能な資源循環・戦略4:公害克服の経験と智慧を活かした国際協力・戦略5:環境・エネルギー技術を中核とした経済成長・戦略6:自然の恵みを活かした活力溢れる地域づくり・戦略7:環境を感じ、考え、行動する人づくり・戦略8:環境立国を支える仕組みづくり(3)里地里山について 上記の「戦略2」において“里地里山”に関係した考え方を以下のように明示している。 “自然共生の智慧の再興と発展による自然共生社会づくりを世界に提案するとともに、我が国の生物多様性の総合評価等を行い、将来像を国民に提示し、自然の恵み豊かな美しい国を将来世代に引き継ぐ。①自然共生の智慧の再興・発展 (世界に向けた自然共生社会づくり-SATOYAMAイニシアティブ-の提案) 我が国の自然観や社会・行政のシステムなど自然共生の智慧と伝統を活かしつつ、現代の智慧や技術を統合した自然共生社会づくりを、里地里山を例に世界に発信する。 さらに、社会経済活動において生産性を重視するあまり、生物多様性の喪失が進んでいる地域も世界には見られることから、世界各地にも存在する自然共生の智慧と伝統を現代社会において再興し、さらに発展させて活用することを「SATOYAMAイニシアティブ」と名付けて世界に提案し、世界各地の自然条件と社会条件に適した自然共生社会を実現する(図2)5)。 この“SATOYAMAイニシアティブ”の考え方は、3年後に名古屋市で開催された「生物多様性条約第10回締約国会議において日本より提案され、後述のように「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ」の発足に継承された。■生物多様性条約第10回締約国会議 (COP10)での関連イベント 2010年10月18日から29日まで愛知県名古屋市で開催されたCOP10では、里地里山に関するイベントも多数行われた。 その中に、環境省も主催したイベントには以下のものが含まれており、共催団体のホームページで詳細を知ることができる。・2010年10月19日:「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ発足式典」・2010年10月19日:「生物多様性里山知事サミット~里山・里海の利用・保全と地域活性化~」・2010年10月20日:「里山知事サミット」■里地里山保全・活用検討会議 環境省は、2008年より、里地里山保全・活用検討会議を設置した。その会議の趣旨は以下のように記されている。 “里地里山は、農林業など人と自然の長年の相互作用を通じて形成された自然環境であり、多様な生物の生息環境として、また、地域特有の景観や伝統文化の基盤としても重要な地域です。しかし、過疎化や高齢化などにより人為の働きかけが減少し、景観の荒廃や里山特有の動植物の衰退など生物多様性の劣化が進行しており、保全・再生が急務となっています。 国土のおよそ4割を占める里地里山の保全・再生を進めていくためには、生物多様性の保全をはじめ多様な観点から保全・再生の取組の現状を把握し、その分析を通じてすぐれた手法や仕組みの事例を紹介し、各地の取組を支援していく必要があります。 里地里山保全・活用検討会議では、全国の里地里山における保全再生の取組の調査・分析を行うとともに、里地里山の持続的管理のための社会的枠組みや利活用方策等について検討致します。” 1,2)。(2013.1.14記)<参考資料>1)小田切 力:“ものづくりと地球環境(第52回)= 見直された環境基本計画~環境から拓く新たな豊かさへの道~”メカトロニクスVol.31,No.7,96-99 p(2006.6)2)小田切 力:“ものづくりと地球環境(第84回)=「第三次環境基本計画」の進捗状況~中央環境審議会でまとめられた第2回点検結果~”、メカトロニクス、Vol.34,No.3,78-79p(2009.2)3)小田切 力:“ものづくりと地球環境(第124回)=「第四次環境基本計画」~「安全」を基盤とした「低炭素」・「循環」・「自然共生」の統合~ ”、メカトロニクス、Vol.37,No.7,50-51p(2012.6)4)閣議決定:「21世紀環境立国戦略」(2007.6.1)5)環境省大臣官房政策評価広報課編集:「パンフレット:21世紀環境立国戦略」環境省(2007.6)6)環境省編:「平成23年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」日経印刷、69p(2011.6)7)環境省:「里地里山保全活用行動計画~自然と共に生きるにぎわいの里づくり~」(2010.9.15)<図2>里地SATOYAMAイニシアティブの概念構造6)