メカトロニクス3月号2013年

メカトロニクス3月号2013年 page 50/60

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概要:
50 MECHATRONICS 2013.3日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力里地里山について(2)~「環境基本計画」「, 21世紀環境立地戦略」等が取り上げた諸問題~【第132回】 国際的にも“....

50 MECHATRONICS 2013.3日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力里地里山について(2)~「環境基本計画」「, 21世紀環境立地戦略」等が取り上げた諸問題~【第132回】 国際的にも“satoyama”として紹介されている“里地里山”問題が、最近の地球環境問題の中で、特に自然環境保全、生物多様性の諸問題の中で取り上げられている。この“里地里山”の言葉で表されている諸問題を調べる手がかりとして、関係情報と参考文献を前号で紹介した。 今回はその続報として、日本政府が環境問題に取り組む基本的な施策を明文化した「環境基本計画」および「21世紀環境立国戦略」等の中で、“里地里山”問題がどのように取り上げられているかを紹介する。なお「環境基本計画」は、現在は第4次まで改訂版が発表されており、本シリーズでも過去に取り上げているので参照されたい1,2,3)注1)。■「第4次環境基本計画」で取り上げられた “里地里山”問題 “里地里山”問題は、1994年に発表された「第1次環境基本計画」以来、その改訂版でくり返し取り上げられている。ここでは、「第4次環境基本計画」(2012年)の本文中から、“里地里山”に関するいくつかのトピックスを紹介する。(1)“里地里山”が曝されている危機 “・・・第1の危機(人間活動や開発による危機)については過去の開発・改変による影響が継続しており、第2の危機(自然に対する人間の働きかけの縮小・撤退による危機)については、里地里山等の利用・管理の縮小が進行し、危機が継続している。また、第3の危機(人間により持ちこまれたものによる危機)のうち、外来種の影響は顕著であり、一部の外来種の定着・拡大が懸念されている。・・・”注2)注2)本文の“第1 部 環境の状況と環境政策の課題の方向、第1 章 境の状況及び環境政策の課題と目指すべき持続可能な社会の姿、第1節 環境と社会経済の状況、(1)環境に関する状況、D.自然環境・生物多様性に関する状況”より。(2)目指す持続可能な社会における“里地里山”  “平成19年6月に策定された「21世紀環境立国戦略」では、今日の社会が地球規模での環境問題である「地球温暖化の危機」、「資源の浪費による危機」、「生態系の危機」の三つの危機に直面しており、それぞれの危機から脱却し、人間社会の発展と繁栄を確保していくためには、「低炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生社会」を構築することが、持続可能な社会を実現するために必要であるとした。また、これら三つの社会は独立しているものではなく、相互に関係していることから、それらに向けた取組を統合的に展開していくことが不可欠であるとした(図1)4)。 また一方で、地域においても、郊外部における無秩序な開発や自動車利用の増大、森林や里地里山等における適切な管理の不足等の問題があり、こうした問題に起因する環境問題の解決も持続可能な社会を構築する上で欠かせない。”注3)(なお、「21世紀環境立国戦略」については、章を改めて後段で紹介する。注3)本文の“第1 部 環境の状況と環境政策の課題の方向、第1章 環境の状況及び環境政策の課題と目指すべき持続可能な社会の姿、第2節 今後の環境政策の課題と目指すべき持続可能な社会の姿、(2)目指すべき持続可能な社会の姿”より。(3)より良い環境のための社会づくりとより良い社会のための環境づくり “少子高齢化は、農産漁村地域のみならず都市においても、財政面も含め、環境保全の担い手不足を引き起こしている。このような状況で、森林や里地里山といった土地の管理について、行政を含めた所有者等による取組だけでは十分でない場合、地域住民やNPO等が所有者等を補完するような公共的な役割を担い、国民全体による管理を行っていくことにより環境を保全していく必要がある。また、交通・社会インフラ等を地域の特徴や少子高齢化等の状況の変化に合わせて変えていくことで、より良い社会を構築し、環境の観点から持続可能な社会を実現する必要がある。その際には、地域に存在する人材や組織・ネットワーク、文化等の資源をいかしていく必要がある。 こうした中で人と人、組織間でのつながり、地域コミュニティが活性化し、これによって一人一人が地元とのつながりや充実感を感じるようにしていくことも、より良い社会を形成する上で重要である。”注4)注4)本文の“第1 部 環境の状況と環境政策の課題の方向、第2 章 今後の環境施策の展開の方向、(1)環境政策の統合による持続可能な社会の構築”より。(4)低炭素社会、自然共生社会づくりとの統合的取組 “A.3R注5)の取組が進めば、廃棄物の焼却量や埋立量が減少し、廃棄物部門由来の温室効果ガスの排出量もこれにより減少する。このことを十分踏まえ、低炭素社会の取組への貢献を図る観点からも3Rの取組を進め、廃棄物部門由来の温室効果ガス排出量のより一層の低減を図る。注5)3R:リデュース(Reduce):廃棄物等の発生抑制、リユース(Reuse):再使用、リサイクル(Recycle):再生利用の3つの頭文字をとったもの。 また、バイオマス系循環資源等の原燃料への再資源化や廃棄物発電等への活用を進め、化石燃料由来の温室効果ガスの排出を抑制する。B.化石系資源や鉱物資源の投入量の抑制は、資源採取に伴う生物の生息・生育環境の損失の防止につながる。また、自然界での再生可能なバイオマス系循環資源を活用することで、農地・森林の保全や里地里山固有の生態系の保全が図られる。 このことを十分踏まえ、化石系資源や鉱物資源の効率的な使用や持続可能な農林漁業の推進を行うととも<写真1>「パンフレット:21世紀環境立国戦略」の表紙5)<図1>持続可能な社会に向けた統合的な取組4)【前月号】里地里山について(1)~生態系と生物多様性とのかかわり~■環境問題における“里地里山”の位置づけ■“里地里山”について (1)“里地里山”という言葉 (2)“里山”という用語の普及 (3)“里地里山”の英語表現■里地里山に関係する年表■「環境基本計画」における“里地里山”【今月号】里地里山について(2)~生態系と生物多様性とのかかわり~■「第4次環境基本計画」で取り上げられた “里地里山”問題 (1)“里地里山”が曝されている危機 (2)目指す持続可能な社会における“里地里山” (3)より良い環境のための社会づくりと   より良い社会のための環境づくり (4)低炭素社会、自然共生社会づくりとの統合的取組 (5)農村・都市郊外部における水環境問題 (6)自然再生と里地里山の保全 (7)国土管理の理念として■「21世紀環境立国戦略」 (1)「21 世紀環境立国戦略」策定の経緯 (2)「21 世紀環境立国戦略」の概略 (3)里地里山について■生物多様性条約第10回締約国会議 (COP10)での関連イベント■里地里山保全・活用検討会議【次号の予定】■ SATOYAMAイニシアティブ (1)日本からの提唱 (2)「SATOYAMA イニシアティブ   国際パートナーシップ」の創設■里地里山法■「生物多様性国家戦略」 (1)「生物多様性国家戦略」の閣議決定とその改訂 (2)「生物多様性国家戦略 2010」 (3)「生物多様性国家戦略」改訂の経緯注1)ちなみに前月号からの目次は以下の通り。