メカトロニクス2月2013年

メカトロニクス2月2013年 page 10/60

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概要:
10 MECHATRONICS 2013.2 御社の概要についてお聞かせ下さい奥田:当社は1963 年4月に、電熱ヒータ、電熱機器の製造/販売を目的に設立しました。起業の経緯としては、私は工業高校を卒業後、あるヒータメーカに一年....

10 MECHATRONICS 2013.2 御社の概要についてお聞かせ下さい奥田:当社は1963 年4月に、電熱ヒータ、電熱機器の製造/販売を目的に設立しました。起業の経緯としては、私は工業高校を卒業後、あるヒータメーカに一年ほど勤めたのですが、その時に縁あって高蔵工業株式会社(以下、高蔵工業)の高橋社長と出会えたのがきっかけになりました。高蔵工業は砥石を製造する会社で、砥石を製造する過程で焼成炉を使用し、その焼成炉にヒータを多く使用する関係で私に声をかけて下さいました。資本などの援助もして頂き、高橋社長が代表取締役を兼任する形で、ヒータを製造する当社を立ち上げることになりました。 起業当時は、名古屋市中区にある高蔵工業の関連会社のビルの一室をお借りして、昼間は営業活動を中心に行い、夜や休日となる土日を利用してヒータをつくる生活をすべて一人で行っていました。また、ヒータに関する知識もそれほどあったわけではなかったので、お客様に育てていただいたというか、叱られて勉強していったという感じでした。このような状態が2~3 年続きましたが、今思えば、当時はお客様の喜んで頂ける顔を見ることで大変だったと感じることも全然苦にもなりませんでした。その後、3人ほど新卒の学生さんに来てもらい、1967 年8月に現在の所在地である春日井市出川町に春日井工場を完成させました。1988 年4月には、本社も現在地に移転し、それと同じくして高橋社長が引退されるということで、私が代表取締役に就任いたしました。そして、1996 年4月に新社屋を完成させ、現在では従業員も30 人ほどになっています。 開発に関しては、現在もすべて私が担当しています。今まで、お客様に育ててもらった経験が当社のノウハウとして培われており、そのノウハウを活かしながら製品開発を進めています。 当社の扱うヒータは、暖房器具などで使用するようなものではなく、例えばデジタルカメラのレンズをつくる金型とか、テレビのバックライトをつくる装置などの熱源となる小さな部品で、様々な産業分野で使用されている製品です。 御社の技術についてお聞かせ下さい奥田:始めは、世間一般にあるような製品をつくりながら価格競争を行っていましたが、やはりそれだけでは会社として生き残っていけませんし、生き残っていくた 繊維/陶磁器/プラスチック/自動車/電子部品/半導体などの分野で、ヒータ関連の開発/製造/販売を行っている三洋熱工業株式会社。ユーザーの声に耳を傾けながら、自らオリジナリティー溢れる製品開発を行う代表取締役奥田 勝彦 氏に同社の概要や技術、製品などについてお話しを伺った。三洋熱工業株式会社代表取締役奥 田 勝 彦 氏1,100℃で使用可能なヒータなど多彩なオリジナル製品で事業展開~ユーザーに喜ばれる製品開発を目指して~めには今までにないようなオリジナル製品を生み出すことと、お客様に喜ばれるようなものづくりやサービスを提供することが必要であると考えていました。そのような時に、お客様から「金型の温度分布が悪くて製品の不良が多く出る。金型を均一にするにはどうしたらいいだろう」といった問題をお聞きしました。私は、放熱量の違いが原因の一つであると考え、均等になるように温度を補うことで金型全体の温度分布が良くなり、製品の不良も改善されると思いました。 そういったニーズをヒントに、均熱型カートリッジヒータという今までにないようなタイプのヒータを開発しました。この製品が、当社のオリジナル製品の第一号になり、この技術がコア技術の一つにもなっています。 また、ヒータの表面温度は大体800℃が限界とされていますが、「もう少し高い温度の製品はできないだろうか」といったお客様のニーズをお聞きして、「どうして800 ℃が限界なのだろう」というところに着目しました。その原因を解明するのに数年掛かりましたが、解明するとともにその原因を回避するための研究を行い、ヒータ表面温度が1,100 ℃まで使用可能な高温シーズヒータを開発しました。この製品に活かされている技術は、アメリカ/中国/台湾/日本で特許を取得しています。さらに、あと何年かかるか分かりませんが、1,300 ℃まで使用可能なヒータに進化させる取り組みも進めています。 御社の注力されている製品について お聞かせ下さい奥田:まずは、均熱型カートリッジヒータについて紹介します(写真1)。このヒータは、ワークの型状、大きさおよび放熱量に対してヒータ各部のワット密度を変えることにより、ワークの温度分布が一定±1%になるように設計されています。 特徴としては、①温度分布を自由に設計することができる、②ワークの温度分布を均一にできるため、製品の均一化が図れる、③同じ長さのヒータで有効発熱部が長くなるので、装置および金型の小型化が図れる、などが挙げられます。主な仕様としては、外形寸法:φ6.5 / 8 / 10 / 12 / 14 / 15 / 16 / 20、長さ:30~3,000m/m、寸法公差:(外径)-0.02 /-0.08・(長さ)125m/mまで0 /-1.5、125m/m 以上±1.5m/m・(歪み)ヒータの長さ300m/mに対して0.2m/m 以下、容量公差:±7 %、リード線長さ:250m/m、になっています。ヒータの形状は、S / F/HP /RS /C / TH /P / L /MLD /HT 型を用意しています。ヒータの外径、長さ、電圧、電気容量、リード線長さなど、標準品仕様以外でもご要望に応じて製作することが可能です。 次に、ヒータ表面温度が1,100 ℃まで使用可能な高温型シーズヒータ『STS-1100』について紹介します(写真2)。このヒータは、品質向上の可能性を根本から問い直し、電熱ヒータの理想像を求めて新たな発想で開発した次世代型のヒータです。このヒータを使用されることで、装置の簡素化が図れ、省エネ/省資源/環境負荷の軽減に貢献できます。構造としては、金属パイプの中心にコイル状の発熱線を通して周囲に高純度のマグネシア(Mgo)を充填し、圧縮加工を施した完全に一体化したヒータです(図1)。 特徴としては、①炉内温度1,100℃で使用可能、②熱効率がよく経済的、③温度制御が容易、④温度分布調整ができる、⑤曲げ加工が可能、⑥耐震性および機写真1 均熱型カートリッジヒータ写真2 高温型シーズヒータ『STS-1100』