メカトロニクス7月号2012年 page 51/60
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概要:
MECHATRONICS 2012.7 51いし社会の持続可能性など従来の経済指標では捉えきれない点についてその価値を保全ないし高めていくこと、我が国が享受することができる様々な生態系サービスや太陽光・地熱・水等の価値を適....
MECHATRONICS 2012.7 51いし社会の持続可能性など従来の経済指標では捉えきれない点についてその価値を保全ないし高めていくこと、我が国が享受することができる様々な生態系サービスや太陽光・地熱・水等の価値を適切に評価・保全し、その持続可能な利用を図っていくこと、大量流通の仕組みを見直し、地域の未利用資源の活用(地産地消など)を一層進めること、などに留意すべきではないか。②環境と経済その他の政策領域との統合 環境保全と経済その他の分野との密接不可分の関わりが一層明確になっていることを踏まえて、国家の基本的な運営にとって不可欠なものとして、環境と経済を中心とした他分野との統合的な取り組みを進めることを示す必要があるのではないか。 その際、環境保全による経済成長に関しては、環境技術の輸出を例とする対外的な取り組みと国内のあらゆる経済活動に環境配慮の視点を織り込むという対内的な取り組みの双方に留意すべきではないか。③環境分野における国際戦略 これまで我が国は、環境先進国として知見や技術の移転を主眼とする国際環境協力を推進してきたが、新興国の出現など途上国の躍進によるニーズの変化、環境関連産業の海外市場への展開、環境制約の中で経済成長するグリーン成長を模索する動きの主流化、資源や食料等の日本の持続可能性を維持する生活基盤が諸外国に依存している点、環境問題が政治・外交における大きな課題となっていることなどを踏まえて、長期的な視野に立って、地球環境全体の利益と国益の双方の観点から、国際的な戦略を構築する必要があるのではないか。④様々な主体の参加と協働 環境問題を解決するためには様々な主体の参加と協働が必要であり、各主体間のつながりを強化するための条件整備の促進、情報利用者のニーズに応じた情報提供のための取り組みの充実、問題の本質や取り組みの方法を自ら考え、解決する能力を身につけ、自ら進んで環境問題に取り組む人材を育てるための環境教育や意識啓発の重要性を示すべきではないか。⑤重点分野政策プログラムおよび全体の構成等 重点分野政策プログラムについては、環境基本計画と分野ごとの基本計画等との関係および分野相互の関係を整理し、社会経済の変化や新たな環境問題に柔軟に対応するために、「環境保全施策の体系」(第二部第2章)と合わせて構成を再検討すべきではないか。 また、総論にあたる第一部と各論にあたる第二部の関係性が明確になるよう留意すべきではないか。⑥実効性の確保 長期的・戦略的に環境問題への取り組みを進めるうえで、その進捗状況を適切に把握するためには、各分野において解決すべき課題をより具体的に記載することが必要ではないか。 また、施策の検討に際して、昨今の環境政策をめぐる状況や厳しい財政状況を踏まえて、多様な課題に的確に取り組むために、費用対効果等に留意しながら政策手法を選択すべきことを示すことが必要ではないか。■「第四次環境基本計画」策定に向けた 中間とりまとめ 中央環境審議会総合政策部会が、「第四次環境基本計画」の見直しを開始した(3月7日)直後、思いも掛けずに東日本大震災が発生したが、2011 年7 月28日の第62回総合政策部会では、「第四次環境基本計画」策定に向けた中間とりまとめが検討された。 中央環境審議会総合政策部会は、この「中間とりまとめ)」を公表し、その後の答申案の作成に向けた審議の参考とするため、8 月9 日から9 月7 日まで、広く国民の意見を募集することとした6)。 以下は、その案文の冒頭の部分である7)。 “環境基本計画は、環境の保全に関する施策の総合的かつ長期的な施策の大綱を定めるものであり、環境基本法に基づき、これまでに3回(1994年、2000年、2006年)策定された。直近の第三次計画においては、「環境・経済・社会の統合的向上」などの環境政策の展開の方向とともに、10の重点分野政策プログラム、目標・指標による進行管理などを定めている。 本年3月、第四次計画の策定に向けて検討を開始したところ、同月11 日に発生した東日本大震災は、多くの死亡・行方不明者の発生に加え、住宅・工場の被災や電力不足による経済活動の停滞、原子力発電所事故によって放射性物質が一般環境に放出し、住民が避難するという状況を招くなど、我が国の社会経済に大きな影響を与えている。多くの国民が、自然のもつ圧倒的な力に対し、人間の社会やシステムの脆弱性など、その力の限界を改めて認識することとなり、大量の資源・エネルギーを消費する今日の社会のあり方を見つめ直すとともに、自然との関わり方を含めて、社会を持続可能なものへと見直していく必要性を改めて意識するなど、国民の間に大きな価値観や意識の変化が生じている。こうした変化は、今後の環境政策のあり方にも大きな変革をもたらすものとなっている。 また、第三次計画の策定から5年が経過した。毎年行ってきた第三次計画の点検結果等によると、環境保全に係る施策に一定の進展が見られる一方で、気候変動問題や資源の枯渇、生物多様性の損失など地球規模での環境制約の限界がますます明らかになり、数多くの課題が未だ解決されていない。また、環境問題に取り組むに当たって考慮すべき内外の社会経済の状況も大きく変化している。 第四次計画の策定に当たっては、東日本大震災がもたらした今日の社会的状況を踏まえ、また、2012年に開催されるリオ+ 20なども視野に入れつつ、今日の環境に関する状況・課題を幅広くかつ的確に把握し、長期的な視野に立って我が国の環境政策の方向性を提示することとする。■「第四次環境基本計画(案)」の公表、 意見募集、答申案の提出、閣議決定(1)案の公表と意見募集 中央環境審議会総合政策部会は、2012 年3 月2日に、「第四次環境基本計画(案)」を作成したとして、同案を公表すると同時に、3月2日から3月21日までの間本案について広く国民の意見を募集した8)。(2)答申案の提出、閣議決定 2012 年4 月18日に開催された第68回中央環境審議会総合政策部会において、第四次計画となる新しい環境基本計画の答申案が取りまとめられた9)。答申書は、鈴木基之中央環境審議会長より細野環境大臣に手交され、4 月27日に「第四次環境基本計画」が閣議決定された10)。■「第四次環境基本計画」の概要 「第四次環境基本計画」は、表1 のような目次構成であり、以下はそのポイントである。(1)目指すべき持続可能な社会の姿 環境行政の究極目標である持続可能な社会を、低炭素社会、循環型社会、自然共生型社会の各分野を統合的に達成することに加え、その基盤として、「安全」が確保として確保される社会であると位置づけた。(2)持続可能な社会を実現する上で重視すべき方向 今後の環境政策の展開の方向として。以下の4 つの方向性を示している。①政策領域の統合による持続可能な社会の構築②国際情勢に的確に対応した戦略をもった取り組みの強化③持続可能な社会の基盤となる国土・自然の維持・形成④地域をはじめ様々な場における多様な主体による行動と参画・協働の推進(3)9 つの優先的に取り組む重点分野 前項の方向性を踏まえて、重点分野ごとの環境政策の展開を、2 種類の重点分野に分類される合計9 種類の政策プログラムに分けて、“第2 部 今後の環境政策の具体的な展開、第1章 重点分野ごとの環境政策の展開”で、取りあげている。(2012.5.6 記)<参考資料>1)環境省:「(報道発表)第四次環境基本計画の策定に関する中央環境審議会の答申について(お知らせ)」(20112.4.19)2)環境省:「(報道発表)第四次環境基本計画の閣議決定について(お知らせ)」(2012.4.27)3)小田切力:「ものづくりと地球環境(52)見直された環境基本計画 ~環境から拓く新たなゆたかさへの道~」メカトロニクス, Vol.31, No.7.p96-99(2006.7)4)環境省編:「環境基本計画~環境から拓く新たなゆたかさへの道 = 平成18年4 月閣議決定 第3 次計画 =」(株)ぎょうせい(2006.7)5)中央環境審議会総合政策部会(第57 回)資料(1-2):「第3次環境基本計画の見直しについて」(2011.3.7)6)環境省:「(報道発表)第四次環境基本計画策定に向けた中間とりまとめの公表及び中間とりまとめに関する意見の募集について(お知らせ)」(2011.8.9)7)中央環境審議会総合政策部会(第62回):「(資料)第四次環境基本計画策定に向けた考え方(計画策定に向けた他中間取りまとめ)」(2011.7.28)8)環境省:「(報道発表)第四次環境基本計画(案)の公表及び本案に対する意見の募集について(お知らせ)」(2012.3.2)9)環境省:「(報道発表)第四次環境基本計画の策定に関する中央環境審議会の答申について(お知らせ)」(2012.4.19)10)環境省:「(報道発表)第四次環境基本計画の閣議決定について(お知らせ)」(2012.4.27)<表1>「第4次環境基本計画」の目次「第4次環境基本計画」の目次はじめに第1部 環境の状況と環境政策の展開の方向第1章 環境の状況及び環境政策の課題と 目指すべき持続可能な社会の姿 第1節 環境と社会経済の状況 第2節 今後の環境政策の課題と目指すべき 持続可能な社会の姿第2部 今後の環境政策の具体的な展開第1章 重点分野ごとの環境政策の展開 第1節 経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベ ーションの推進 第2節 国際情勢に的確に対応した戦略的取組の推進 第3節 持続可能な社会を実現するための地域づくり・ 人つくり、基盤整備の推進 第4節 地球温暖化に関する取組 第5節 生物多様性の保全及び持続可能な利用に 関する取組 第6節 物質循環の確保と循環型社会の構築のための取組 第7節 水環境保全に関する取組 第8節 大気環境保全に関する取組 第9節 包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組第2章 東日本大震災からの復旧・復興に際して 環境の面から配慮すべき事項第3章 放射性物質による環境汚染からの回復等第4章 環境保全施策の体系 第1節 環境問題の各分野に係る施策 第2節 各種施策の基盤となる施策及び国際的取組に 係る施策第3部 計画の効果的実施 第1節 政府をはじめとする各主体による環境配慮と 連携の強化 第2節 財政措置等 第3節 各種計画との連携 第4節 指標等による計画の進捗状況の点検 第5節 計画の弾力的対応と見直し