メカトロニクス5月号2012年 page 52/60
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52 MECHATRONICS 2012.5面を同時に照射しているが、照射角度の差異によってそれらの割合は徐々に変化してゆく。副光S または反射光R は他斜面に到達したとき、副光S が優先して貫通する。臨界角以上に傾斜すると、副....
52 MECHATRONICS 2012.5面を同時に照射しているが、照射角度の差異によってそれらの割合は徐々に変化してゆく。副光S または反射光R は他斜面に到達したとき、副光S が優先して貫通する。臨界角以上に傾斜すると、副光S の貫通が抑止され、反射光R が残り上面から放出されるようになる。プリズムの頂角Θを種々に変更してみると、この3 種類の光線経路はこのように微妙に変化してゆく(図2-171)。下向きプリズムシートで最も活用される光線束は反射光S であるので、頂角Θはほぼ60°に設定される。 一様な光線束が片斜面を照射したとき、プリズム内部で屈折およびまたは反射して放出された光線束は、やや収縮した配光特性となる。収縮した分だけ、輝度が強くなるとすれば、プリズムを貫通する前後の光線束を比較して角倍率γを算出し、その逆数をかけた数値が相対利得になる。照射光線束F と対応させてこれらの光線束を図示すると、プリズムが光線束に与える機能が明確に理解できる(図2-172)。もちろん照射光線束F は放出の全方向に一様な均等光線ではないから、その配光特性を相乗してこそ放出光線束の配光曲線が得られる。 下向きプリズムシートによる放出光線束には、配光範囲に若干の制限が感じられるときには、プリズムの斜面を平面ではなく、凸面または凹面に修正したら如何であろうか。プリズム素材が屈折率nのとき、入射面はレンズ相当の屈折作用で(n-1)/ n ≒ 1.3 倍に、反射個所は湾曲面鏡相当なので2 倍に、そして射《第37回》2 設計から始めよう(その35)図2-168 下向きプリズムシートの活用2-82) 図2-169 プリズムシートの被覆効果(導光板:12型表面にV字溝筋敷設、シート:下向きプリズム頂角63°、実験1998年9月)5.側射型照明装置(その20)(2)充実型側方照明( エッジライト) 方式(その20)⑮偏角シートii 下向きプリズムシート 光線偏角シートには大別してプリズムが上面に形成されたシートと、下面に敷設されたシートとがある。上向きプリズムシート(特開S60 - 070601)に次いで、下向きプリズムシート(特開H02-17・他)が登場してきた(図2-168)。このとき先行事件との類似・同一性が議論されたが、当該プリズムシートの構成・作用効果は新規な発明であり技術思想はまったく異質なものとして取り扱われて特許査定された。 一般に、導光板は板裏面側に放出素子を敷設した“裏面反射方式”である。照射光線を板端面から誘導し、板内部で多重反射させた後に、板表面から放出させるので、輝度むらが柔らかい。これに対して、板表面側にV 字溝筋などの放出素子を敷設した“表面屈折方式”の場合は、放出量が大きく、輝度のコントラストが強い。 今回はこの表面屈折方式の導光板に、下向きプリズムシートを試用してみた。放出素子が板の表面側に敷設されていても、裏面側の敷設であろうとも、導光板から漏洩する光線束の方向性に、両者の差異はなかった。導光板から放出される光線束は射出角が60°以上に、あたかも板面にへばりつくような格好の配光特性を示している(図2-169 ①②)。この放出光線束を掬い上げて法線方向へ偏角する作用があるのが、下向きプリズムシートだ(図2-168)。 プリズムシートの溝筋を導光板に対して縦( 光軸)方向に直交して配置し、さらに散乱シートを積層して、放出光線束の配光特性を測定してみた。放出光束は、放出面の法線方向に程よく配光されていた(図2-169 ③④)。以前に上向きプリズムシートを試用したときに発現して気懸かりだった側光Side Lobeは、下向きプリズムシートでは見受けられない。プリズムに入射する光線を直ちに捕捉し内部反射させているので、散乱シートを前置する必要がないのも有難い(図2-168)。散乱シートなど光機能性シート類は高価であるから節約したいし、表示パネルの薄型化にもなる。シートが多く重塁されると、透過光線の反射回数が増えて、明るさにも影響してくる。これら諸処の要因を好転させて、上向きプリズムシートより明るさは1.2 倍になると謳われている。 このシートのプリズムには片斜面から光線が入射するので、屈折則や反射則を用いて光線経路を追跡してみよう(図2-170)。片斜面から上面に直接放出される直光M や、片斜面から他斜面へ貫通する副光S、および片斜面から入射し他斜面で内部反射して上面から放出される反射光R の3 種類が存在する現象が分かった。直光M と副光S または反射光R は、斜