メカトロニクス3月号2012年 page 13/60
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MECHATRONICS 2012.3 13所 在 地:U R L:事業内容:埼玉県さいたま市http://www.bellnix.co.jp/電源装置、電源システムの開発/設計/製造、など。株式会社 ベルニクス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・....
MECHATRONICS 2012.3 13所 在 地:U R L:事業内容:埼玉県さいたま市http://www.bellnix.co.jp/電源装置、電源システムの開発/設計/製造、など。株式会社 ベルニクス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・進めています。このように、今後も当社独自の技術を活かして、環境保全に対応する独創的な製品の開発を目指していきます。 地域に密着した企業活動を展開されて いるようですが、具体的な内容について お聞かせください鈴木:当社は、2008 年11 月に「さいたま市テクニカルブランド企業」として認証され、2011 年3月には2回目の認証を受けています。この取り組みは、さいたま市が技術の独創性/革新性に優れた市内の研究開発型企業を認証する制度で、認証企業のさらなる競争力向上支援を通じて、さいたま市産業全体の活性化やイメージアップを図る目的で行われています。2011年に、「さいたま市テクニカルブランド企業」である当社が中心となって、「さいたま市電動サイクル開発研究会」を発足し、『子育て世帯向けの電動アシスト自転車』の開発を行いました。なぜ電源メーカーの当社が、電動自転車の開発に携わったのかといいますと、海外の展示会に出展したのがきっかけとなりました。 当社は世界での拡販を目的に2010年11月にドイツのミュンヘンで開催されました世界最大規模の「エレクトロニカ」に出展しました。日本から出展したのは当社とTDKラムダ株式会社の2 社でした。「エレクトロニカ」の会場は、東京ビッグサイトの約2 倍のスペースがあり、当社のブースには説明員と応援の独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)のスタッフもいましたので、私は普段観られない海外の展示会の内容をリサーチするため、カメラをもって会場内の各展示ブースを見学していました。電池コーナーにいくと、どのブースにも電動自転車などが飾ってあり、最初は私自身がほしいと思って観ていたのですが、よくよく考えてみるとこれは日本で商売に繋がるのではないかと思い、写真を撮りながら気になったブースには名刺を渡してコンタクトをとっていきました。帰国後、ある会合で参加されていた、さいたま市の職員の方々やテクニカルブランド認定企業の方々に電動自転車などの写真を見せながら展示会の報告を行った時に、職員の方から「今度、埼玉大学で子供の安全を高めて母親に優しい自転車についての研究会があるので、そこで講義をしてもらえませんか」と頼まれたのです。 さいたま市では、すでにEV自動車の普及にともなう取り組みを行っていますが、さらに環境改善や子供の安全を高め、事故を軽減できる電動自転車の取り組みを模索しているようでした。私もこの講義をきっかけに、自転車についての知識がつくとともに人脈も増えていき、最終的にはさいたま市から『子育て世帯向けの電動アシスト自転車』の開発を依頼されることになったのです。 これが、「さいたま市電動サイクル開発研究会」の発足の経緯で、当社のほかに、有限会社スズパワー、ヴイストン株式会社、財団法人さいたま市産業創造財団との連携で進めています。健康で安全かつ快適な暮らしやすい街づくりに寄与するため、①安全に優れた便利な電動インテリジェント自転車、②環境保全と創造に優れたクリーン充電ステーション、③誰でも手軽に使える自転車共同利用事業、を開発して全国に提案することを目的としています。 昨年、さいたま市が進める次世代自動車やインフラ網の整備促進を目指す「E-KIZUNAプロジェクト」の一環で開催された「第2 回E-KIZUNAサミット・フォーラムinさいたま」において、試作第1 号となる『子育て世帯向けの電動アシスト自転車』(写真5)の公開を行いました。この自転車は、フレームなどに炭素繊維を採用し、軽量化と強度向上を図るとともに、低重心カプセルセィフティチャイルドシートの設置と7個の安全装置により、子供を守れるような仕組みになっています。この安全装置は特許を申請しました(写真6)。 また、試作第2号の開発も進めている状況で、太陽電池やLED 照明など環境に配慮した装備を充実させ、1 回の充電で約50km の走行が可能になっています。さらに、携帯電話の充電や10種類くらいの携帯無線機などが繋がるようにもなっています。この電動自転車は、都市でのシティ・サイクルでの用途と、災害時などでは緊急通信手段として役立てることも可能になり、発電機としても活用できます。それから簡易無線機などが使えるので、地域ごとの状況を把握するための連絡手段として利用できるよう考慮されています。 今後の展開についてお聞かせください鈴木:やはり当社のベースは電源になるので、今後も電源事業が主体となっていきます。技術の幹というのは存在していて、そこから枝が生えていき、枝から種がこぼれるとそこから芽が出て、また幹になっていきます。電動自転車についても、種がこぼれて少しずつ芽を出せばいいと考えています。 当社は、電源屋ではなく技術屋をやりたくて設立した会社です。そのことは当社の社員も理解していると思っています。技術屋として、人のために役立つことをやって行きたいと考えており、その幹となるのがエレクトロニクスになります。当然エレクトロニクスは、製品を開発して軽薄短小を目指しますが、それに加え知能をもたせるという方向にもって行きたいと考えています。それから、今後は電動自転車だけでなくセキュリティーロボットなどの開発も検討しており、そういった最終製品の開発まで携わることによって、自分達が電源についてユーザーの立場でみることができるのです。私は、エンジニアはこれだという枠をつくらないほうがいいと思っています。エレクトロニクスは無限の可能性をもっているので、電源屋ではなく技術屋として何がつくれるのかということを確かめるためのものづくりを、今後も続けて行きたいと考えています。 私は会社をもっと成長させたいと思っていますが、それは会社を大きくするということよりも、どうしたら自分達のつくったものが社会に貢献できるのかといったことを考える、夢があって社員が楽しめる会社に、さらに展開していくことだと考えています。 多様性こそ、強さ 挑戦こそ、成長性 革新を続ける伝統こそ、卓越した夢を創造するとても好きな言葉として座右の銘としています。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真5 『子育て世帯向けの電動アシスト自転車』写真4 ステップダウンDC-DC コンバータ『BSV-nano シリーズ』写真6 『子育て世帯向けの電動アシスト自転車』の概要