メカトロニクス3月号2012年 page 12/60
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概要：
12 MECHATRONICS 2012.3 御社の概要についてお聞かせ下さい鈴木：当社は、1978 年6月にミニコンピュータ応用製品の設計開発を目的に、私の弟である鈴木正春が設立しました。設立の経緯としては、当時私は父が設立し....
12 MECHATRONICS 2012.3 御社の概要についてお聞かせ下さい鈴木：当社は、1978 年6月にミニコンピュータ応用製品の設計開発を目的に、私の弟である鈴木正春が設立しました。設立の経緯としては、当時私は父が設立した電源関連の会社で取締役技術部長をしていたのですが、父はすでに私が学生の時に他界しており、会社自体は様々な理由から経営が思わしくありませんでした。そのような状況ですから、父の意思を私と同じエンジニアである弟だけでも受け継いでほしいという気持ちから設立を委ねました。その後、5 年ほどで父の設立した会社がなくなり、その会社から私とエンジニア24 名が弟に委ねた当社に加わっていきました。 1984 年4月に、事業規模拡大と組織強化のため、私が代表取締役社長に就任し、弟は代表取締役副社長に就任しました。会社の登記自体は1978年6月ですが、現在の組織としては1984 年4月がスタートになります。スタート時は、父の設立した会社で取り引きのあった会社の下請け的な仕事を中心に事業を開始しましたが、それでは以前の二の舞になりかねないと考え、自社ブランド製品の開発に力を入れていきました。 1985 年1月には、小型DC-DCコンバータの研究開発に成功し、生産を開始するとともに、当時の主流となっていたコンバータとはまったく異なる手法を採用した当社独自の技術を開発し、TCT 方式という名称で特許を申請しました。この方式を採用したDC-DCコンバータが大手電機メーカーの目に止まり、列車のATCやATSに採用されるようになったことで、「環境に強く 高周波技術を応用するなど先端電源技術で、電源装置、電源システムの開発／設計／製造を行っている株式会社ベルニクス。高い技術力を活かして、ユニークでオリジナリティ溢れるものづくりを展開する同社の概要と、環境保全／市民の健康に貢献する地域に密着した事業展開について、代表取締役社長 鈴木 正太郎 氏にお話しを伺った。株式会社ベルニクス代表取締役社長鈴木 正太郎 氏先端電源技術を駆使したユニークでオリジナリティ溢れるものづくり?地域に貢献する事業を展開?壊れない」といったことが市場に浸透し、当社の信用に繋がっていきました。当時輸入が大半を占めていたDC-DCコンバータの市場で、当社のブランドが浸透する大きなきっかけになったのです。 その後もニッチな分野おいて、常にユニークでオリジナリティ豊かな製品開発を展開し、2008 年2月には「埼玉県知事、渋沢栄一ベンチャードリーム賞」の特別賞を受賞、同年6 月には「元気なモノ作り中小企業300社」に選定されました。また、同年10月には「埼玉県知事、ベンチャー企業ネクストステージ支援事業モデル企業」に指定され、同年11月には、さいたま市長より「さいたま市テクニカルブランド企業」として認証され、2011 年11月には2 回目の認証を受けています。 さらに、2012 年1月25日には、埼玉県が新設した「埼玉県知事賞、第一回渋沢栄一ビジネス大賞」を受賞しました。 御社のコア技術と製品についてお聞か せください鈴木：当社の得意とする独自の技術は、高周波、高電圧、高速スイッチング、電磁気、AD/DA 変換、アナログ／デジタル混在、低ノイズ、絶縁、小型化実装技術になります。製品としては、高周波技術を応用したAC-DCスイッチング電源、高精度高圧電源、高密度面実装構成のDC-DCコンバータなどが挙げられます。 AC-DCスイッチング電源は、低ノイズ（10mVp-p）、多出力電源（1 ?6ch）、高絶縁型（AC3000 ?4600V）などの特徴をもった電源をラインアップしています（写真1）。規格においても、情報処理機器／計測機器／医療規格に対応した製品となっています。 高圧電源は、最新のSMT（表面実装技術）にてデバイス化した画期的な高圧電源モジュール（HIC）です（写真2）。高圧、磁性材料、面実装の複合素材を駆使し、従来製品を約1/6のサイズまで小型化しています。 DC-DCコンバータは、小型、低ノイズ、高絶縁、広い動作温度に対応できる製品です（写真3）。幅広い分野に採用実績があり、鉄道関連では新幹線のATS ／ATCに、航空機関連では機内に搭載されているビデオシステム用電源に、医療関連では超音波診断装置用電源などに採用されています。 また、小型（11×11×3.2mm）、軽量で4Aを出力できるステップダウンDC-DCコンバータ『BSV-nanoシリーズ』（写真4）は、低出力電圧の0.8Vから対応でき、出力電圧の設定精度も±1 ％ typとなっているため、最新のDSP、ASIC のアプリケーションにも対応可能です。同期整流方式による高効率、高速応答、小型パッケージによる省スペースなど、すべての面で従来の常識を超える性能を実現しています。さらにこの製品は、アメリカの技術情報誌「EDN」が主催する「EDNイノベーションアワード2010」の電源部門において、グランプリを受賞しています。 その他にも、マイクロコンピュータと当社の得意とする独自の技術を融合した、次世代のニーズに適合できるデジタル制御プログラマブル電源の研究開発なども写真1 AC-DC スイッチング電源写真2 高圧電源写真3 DC-DCコンバータ