メカトロニクス1月号2012年

メカトロニクス1月号2012年 page 53/60

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MECHATRONICS 2012.1 5333以下に反射されるので、反射膜は必要。再帰性反射とはいえ、汎用素材(n ≒ 1.5)では再帰反射角±30°にも広がる計算になる(図2-159)。 頂角90°のコーナープリズムは再帰反射角が0°....

MECHATRONICS 2012.1 5333以下に反射されるので、反射膜は必要。再帰性反射とはいえ、汎用素材(n ≒ 1.5)では再帰反射角±30°にも広がる計算になる(図2-159)。 頂角90°のコーナープリズムは再帰反射角が0°を発揮する高性能である。米国の月面探査ロケット・アポロ11 号(1969 年)、アポロ14 号(1971年2 月)およびアポロ15 号(1971 年8 月)が月面に設置して地球からのレーザ光線を反射し通信に活躍した反射板は、コーナーキューブ集積板である。反射機能性の3 面が相互に直角に接合され、素材の屈折率n0と外界の屈折率n 1とで定義される臨界角Θcが入射角i1 より大きいとき、全反射を起こす(図2-159)。   臨界角:sin Θc= n 1/n0   全反射:入射角i1 >Θcガラスや合成樹脂などの屈折率は約1.5 であるから空気中で臨界角は約42°である。 コーナープリズムでは再帰反射角は広がらないが、照射角が± 5°より傾斜しすぎるとき光線はプリズム反射面から透過してしまうので、照射角の範囲には制限がある。このときプリズム反射面を反射膜で被覆しておくのが好い。ⅴ 光学用語に正しく親しもう 光学技術を学習する最初の課題はこうした反射現象である。もっとも単純な機構であるが、活用される分野は広く、しかし多様な用語で論説されている例がある。当面して面食らうことしばしば。300 年にもわたって先人達が築いて来たこの分野の光学用語を、私たちはまず謙虚に親しむようにしたい(表2-8)。 まだ研究が十分でなかった2000 年頃の私、バックライトの講習会に参加したが、聞きなれない技術用語に直面して戸惑った。放出素子の模様を“回折格子”と表現し、そして放出素子の敷設を“ブレーズ溝状パターンをμm単位以下に加工する”などの事例を教わった。それは“波動光学”の分野だろうと勉強しなおした。しかし導光板は果たして回折格子に類似するものなのだろうか。実際の私は“波動光学”の分野は無視し “幾何光学”を超えて、フライス加工でV 字溝筋などを敷設している。大まかに思考するので“数理光学”と私称している。蓋然的な考察だが、思惑のレールから脱線しないように、用語には留意している。 ちなみに回折は屈折、反射、散乱などによるのではなく、反射性や吸収性/透過性などを異にする媒質が等間隔に配列された構造における光の波動性に起因する現象である。回折格子により発現する“空間的干渉”と、重塁した薄膜による“時間的干渉”とがある。どちらも照射光線の波長に依存した方向へ反射し、その色調も独特なものになる。【参考文献】2-78)レフライト㈱「再帰性反射説明」電子版 アースアイプラッツ㈱「アイテープ」電子版2-79)十条ケミカル㈱「再帰反射とは」電子版 丸紅シーエルエス㈱「再帰反射材について」電子版 日本カーバイト工業㈱「再帰反射シート」電子版 住友スリーエム㈱「スコッチライト」電子版2 設計からはじめよう(その32)表2‐8 反射シートに関係する用語(JIS色に関する用語8105、照明用語Z8113および光学用語Z8120による)図2‐158 再帰反射構造材2‐79)図2‐159 再帰反射素子の機能