メカトロクス12月号2011年 page 52/60
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52 MECHATRONICS 2011.12《《第第3322回回》》2 設計から始めよう(その30)表2-6 バックライトを構成するシート類図2-152 導光板からの放出光束(裏面にV字溝筋を敷設した14型/実測事例)図2-153 バックライト....
52 MECHATRONICS 2011.12《《第第3322回回》》2 設計から始めよう(その30)表2-6 バックライトを構成するシート類図2-152 導光板からの放出光束(裏面にV字溝筋を敷設した14型/実測事例)図2-153 バックライト部材の価格構成(12型/1998年)図2-151 シートを積層したバックライトの構造5.側射型照明装置(その15)(2)充実型側方照明( エッジライト) 方式(その15)⑬ 重塁されているシート類ⅰ シートの難解な機能と馴染めない用語 導光板の表面および裏面には多数枚のシート類が積層されている。バックライトを開発し始めて最初に戸惑うのはこれらシート類の数量が非常に多く、そしてその種類の多様性である。液晶表示装置の部材を製造しよう、バックライトも開発しようと心がけて、研究に着手したのは良いとしても、これらのシート類を理解するのに、特に初体験の技術者にとっては多数積載されたシート類が目的とする機能について容易に理解できるものではなかった。 開発を依頼された企業から参考製品を預かったのは好いとして、その機能がとっさには理解できなかった。製品を分解し暫らく手に取りながら只々思案に暮れるばかりの幼稚な私。初心(うぶ)だった1990 年代当時を回想している。ちょうどその頃は液晶装置技術の発展期。開発体験の論文が雑誌に掲載され、技術講習会が多く開催されていた。手当たり次第に乱読し、足しげく講習会にも参加した。会場は多くの参加者で溢れていた。周囲を見渡すと、たいていはプラスチック成形技術者や電気分野の担当者のようであった。無我夢中で何かを得たいと、むさぼり聴講していた。 講義はプラスチック材料や成形技能に関する説明が多かった。光学分野からの解説は皆無であった。聴講者はこれで満足していたのだろうか。部材を開発するために必須の技術を希望していた私には、納得する講義内容ではなかった。導光板のパターン形成に関するノウハウは「企業秘密だから記載しない」とテキストに明記するほど、敢えて論及されなかったのだから、論説者の心情もすさまじい。 技術講習会を受講したり、購入した多数の参考書を閲覧していると、光学技術分野ではなじみがない技術用語に出くわす。私は気になって仕方がない。導光板に敷設した“V 字溝筋”を「ブレーズ溝状パターンをもつ導光板の加工・・・」と講義しているから、ある受講者は「照射光線に回折現象を発現させるためだろう」と解釈していた。回折現象といえば光の波長オーダ、n m単位の超微細な領域の筈だ。レンズ面の研磨加工にはこの微小単位の精度が必要であろうが、プラスチック導光板にこの様な微細な素子を加工し敷設しなければならないのだろうか。バイトで切削加工する領域ならばμm~mm単位でよいだろう。それならば「鋸歯状V 字溝筋」と表現していただきたかった。 バックライトは光学部材の一種である。異分野に立ち入って勉強し始める者にとって、用語の理解は欠かせない。導光板面に印刷して敷設する微細な白色斑点を“ドット”と呼称し、微細半球状の窪みを“ディンプル”と表現しているが、適切な日本語がないものだろうか。工業規格で明記されている用語や慣用されている日本語が存在するのに、敢えて衒学ぶった用語に突き当たると、読者は誤解のままその後の思考を進めてしまう。たとえば光ファイバー内を蛇行して誘導される光線が周囲の壁面で反射するとき、壁面とのなす角度を“全反射角”と表現している資料がある。本当