ブックタイトル実装技術6月号2021年特別編集版
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実装技術6月号2021年特別編集版
241プリント配線板製造の動向を探る12 まえがき 世界の歴史を数十年、百年のスケールで見ると、比較的変化の少ない平和、平穏な時代と激動の時代が交互している。激動期の最たるものが戦争と革命である。日本では江戸末期?明治時代と第二次大戦後の復興?高度成長期の時代は激動期であった。この時期に従来の社会構造、秩序、価値観のすべてがひっくり返り、全く新しい社会に変わっていく。 日本は第二次世界大戦に敗れ、昭和20 年(1945年)、アメリカの軍政下に置かれた。日本は焼け跡から復興に向けて懸命に働き、朝鮮戦争の特需もあって、戦後10年で戦前のピークにまで回復し、その後も10数年にわたり日本経済は高度成長をつづけた。 有線、無線の通信機は戦前から軍用、インフラ向けに使われていた。当時の能動素子の主役は真空管である。アメリカでは戦前から家電製品の使用がはじまっていたが、日本の庶民にはどれも高嶺の花だった。戦後の経済復興で庶民の暮らしが上向いてくると、技術的には知られていても経済的な理由で手が届かなかったさまざまな電気製品が庶民、家庭まで届くようになった。そこにトランジスタ、IC(集積回路)の発明、プリント配線板の普及が加わって全く新しい電気製品がつぎつぎに開発されてブームとなった。こうしてエレクトロニクスが一大産業として急成長し、日本経済の高度成長に大きく貢献した。 筆者は旧制中学2 年で終戦を迎え、以降、戦後の復興、高度成長を目の当たりにし、高度成長の終わり、成熟にいたる過程をプリント配線板製造の現場から見てきた。 以下、本稿ではこの熱気にあふれ、かつ波乱に満ちた時代の日本経済、プリント配線板の時代を振り返り、いくつかのエピソードも含めて紹介する。 戦後の主な出来事、 世相と登場する電子機器プリント配線板の、黎明期から今日まで(その1)小林 正図1 家電テイクオフの時代と電子機器の構成