ブックタイトル実装技術5月号2021年特別編集版

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概要

実装技術5月号2021年特別編集版

折率σ は1 以下になる場合はあります(図3)。 しかし、屈折率がマイナスになることはありません(図4)。 屈折率がマイナス時なるためには透磁率(μ)か誘電率(ε)のどちらかがマイナスの値をもつ必要があります。 こんな物質は、少なくとの現在のところ存在しないはずです。 もし、そよような物質が存在するならば、相対性理論の「真空中の光よりも早いものは存在しない」を否定してしまいます。 「メタマテリアル」が一躍世界的な研究テーマとなり、20年が過ぎ、当初の「メタマテリアルの現象は実現するのか?」から、「実現できる」へ、「研究」から「実際への応用」へと段階が進んできました。2. 伝送線路モデル メタマテリアルの性質を考えるため、伝送線路の等価回路モデルを考えてみましょう。 無損失の伝送線路は直列にL成分、並列にC成分が均等に分布しています(図5)。 実際には微小なR 成分も直列、並列に分布しています。 このR 成分が「損失」に相当します(図6)。LとCは信号の位相を変化させます。 伝送線路ではLとC の分布がマッチしているので電流と電圧の位相差は生じませんが、電流と電圧が同位相のまま、少しづつ遅れが生じます。 この位相遅れが伝搬遅延になります(図7)。 もしこれが逆に直列にC 成分、並列にL 成分が均等に分布した回路を考えると(図8)、信号は位相進みながら伝搬します(図9)。 つまりレシーバー側の信号がドライバー側の信号より位相が進んでいることになります。 つまり、レシーバからドライバーに信号が伝搬する現象が発生します。 一般に電界、磁界、電力の方向を示すのにフレミングの右手系の法則なっています(図10)。 しかし図8のような電力の移動は左手系の世界になっています(図11)。 「因果律」が逆転し、ドライバ信号より、レシーバー信号の方が位相が早い、「光速より早く」信号が伝搬する現象が発生します。 実世界の物質ではこのようなことは起こり得ません。 しかし「メタマテリアル」ではこのような現象が観測されるというのです。 実際の伝送線路では図6のように配線にはL成分が現れ配線に流れる電流の変化によって磁界が発生します。また、配線と周囲の電位差により、電界が発生し、近隣の配線や隣り合ったプレーン層の間に容量(C 成分)をもちます(図12)。前田真一の最新実装技術 あれこれ塾図5 伝送線路モデル図9 信号伝搬と位相が逆転図12 配線に流れる電流が発生させる電界と磁界図10 フレミングの右手の法則図11 左手系モデル図4 マイナスの屈折率図8 L、Cが逆転したモデル図7 信号伝搬と位相図6 損失のある伝送損失モデル53