ブックタイトル実装技術3月号2021年特別編集版

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概要

実装技術3月号2021年特別編集版

43のヘルス・モニタリングに必要なAE)例である。同図に示すようにプラント、設備の保全監視、構造物劣化監視自動車、自然防災環境監視、農業気象監視、都市・公共設備の省エネルギー監視、高齢者見守り・ヘルスケア・緊急事故の安否確認など安全・安心にむけた支援、災害や異常の予測、早期発見を実現し、人工物の維持・継続のためのヘルス・モニタリングにも用いられている。 AEセンシング技術(詳細は後述する)は1970 年代から破壊予知、保全などの目的で、例えば、石油タンク、LPGタンク、原子炉やロケットなどの高圧力容器の耐圧試験における破壊予知あるいは欠陥部の位置評定、各種材料の塑性変形中のリアル・タイム・モニタリングなど各種分野において注目され始め、現在では次説で説明する非破壊試験法にはなくてはならない技術になっている。 近年では、AEセンシング技術はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等の新素材の材料評価、複合材構造物の劣化等を検知するための測定手段としての適用も始まっている。また、発電用のタービンやモータなどの回転機器稼動中の監視や保全或いはものづくりの現場で使われるCNC 工作機械における軸受の初期破損や余寿命の推定、機械加工や金型加工における工具欠損、加工状態の検出、さらに自動車、鉄道車両、飛行機、トンネル、橋梁、高速道路等の建築構造物などをIn Situ(※ 1)かつ非破壊で実現可能とするものである。 さて、各種金属材料の塑性変形中の材料モニタリング材料中を伝搬してきたAE の検出は、材料表面に取り付けたAEセンサによって行うが、従来のAE センサはアナログ式で、PZTのような圧電材料を用いたものが主であり、共振型では特定の共振点のみを付与したセンサ構造となっているため幅広い周波数特性を解析することが困難であるという問題がある。(※ 1) in situ(イン・サイチュ)とは、ラテン語で「本来の場所にて」という意味で,種々の学問で「その場」という意味で用いられる。3. 非破壊試験とAEについて 日本工業規格JIS Z2300:2009 非破壊試験用語によれば、非破壊試験は英語でNon-Destructive Testingといい、NDTと略され、その意味は「材料、製品、構造物などの人工部といった試験対象物を傷つけたり、分離したり、破壊したりすることなしに欠陥の有無とその状態、あるいは対象物の性質、状態、内部構造などを知るために行う試験方法」である。ここで、非破壊検査とは非破壊試験の結果から、規格などによる基準に従って合否を判定する方法で、略語は NDI( Non-Destructive Inspection)を用いる。また、非破壊評価とは、非破壊試験で得られた指示を、試験体の性質又は使用性能の面から総合的に解析・評価することで、略語は NDE (Non-Destructive Evaluation) を用いる。 非破壊試験の適用分野としては、素材からの加工工程及び完成時の製品の検査、設備の建設時の検査などが挙げられる。この試験法によって、次のような効果が得られる。 ① 製品や設備の信頼性を高めて寿命を長くすること ② 保守検査の一環として、使用中の設備などを長期期間有   効に活用すること ③ 廃棄物を少なくして自然環境を維持すること このように、非破壊試験は社会の安全を確保するための技術の一つであり、今後ますますその重要性が高まる。また、その主な目的は次の3点に要約されよう。① 製造技術の改良、② 製造コストの低減、③ 信頼性の向上。 非破壊検査の適用分野として、安全性、健全性が確保される必要のあるあらゆる構造物、製品、材料、例えば、原子力・火力発電所、石油精製、石油化学、ガスなどのプラント、あるいは自動車、鉄道車両、飛行機、船、ロケットなどの輸送関係、ビル等の建物、橋、道路、などの社会インフラ、さらに鋼板等の資材や種々の工業製品など多くの分野で使われている。 さて、図2は非破壊試験の分類を示す。その主だった原理図2 非破壊試験の分類(非破壊検査(株)提供)