ブックタイトル実装技術3月号2021年特別編集版

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概要

実装技術3月号2021年特別編集版

421. はじめに 社会は、いまや日本政府がデジタル庁を新設したように、従来の情報技術(IT:Information technology)から世界の縦横に展開するITを情報コミュニケーション技術(ICT:Information Communication Technology)に移行し、「IT の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念を具現する本格的なデジタル・トランスフォーメーション(DX)化しつつある。 経済産業省が平成30 年12月に発表した「DX推進ガイドライン Ver.1.0」によると、「DX(デジタルトランスフォーメーション)は企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する」とされる。 さて、我々の社会における建物、ビル、橋、道路といった構造物から自動車、鉄道、船舶、飛行といった乗り物など、人間かつくったものを人工物(Artifact)という。我々の身のまわりはこの人工物とその反語である自然物に囲まれて、暮らしている。とくに、都市生活では人工物と密接に関係しているため、道路の陥没、トンネルの落下、新幹線の台車のひび割れ、旅客機の圧力隔壁の損傷などなど、人工物の時間経過による劣化等で人身への事故なども、ここ近年増加して、大きな問題になっている。 こうした状況の中で、本稿では、まず、アコースティック・エミッション(AcousticEmission、以下AEと略す)の人工物・インフラへの適用、非破壊検査とAEについて述べる。 つぎに、次回以降、従来のアナログ式のAEセンサをデジタル式の音響コム型アコースティック・エミッション(AE)センサの開発とそのインフラへの適用について述べる。具体的には、まず、 AE その非破壊検査における位置付けとその意義、AEとはなにかといった、 AE の概要、そして、そこでの従来型AEの問題点、最後にと従来の十円玉の円筒形圧電素子を用いたAEセンサとは全く異なる画期的なカンチレバのアレイ形状の筆者らが開発したニオブ酸リチウム(LiNbO3)) や水晶を用いた音響コム(櫛)型デジタル式アコースティック・エミッション・センサ開発の概要について紹介する。2. AEの人工物・インフラへの適用 ( 人工物の維持・継続の安心・安全ための  ヘルス・モニタリングに必要なAE) 図1はAE のインフラへの適用(人工物の維持・継続のためデジタル式音響コム型アコースティック・エミッション(AE)センサの開発とそのインフラへの適用について第1回 AEの人工物・インフラへの適用と非破壊検査について(株)武藤技術研究所 / 武藤 一夫図1 アコースティック・エミッション(AE)センサの期待される活用例