ブックタイトル実装技術3月号2021年特別編集版
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実装技術3月号2021年特別編集版
23モノコック厚膜印刷回路“三次元配線のための新しい回路技術”プリント配線板技術2 モノコック厚膜印刷回路の構成と加工プロセスは単純である。図1、図2に示されたように、まず、厚手のPETフィルムのような熱成形ができるプラスチックシートを用意し(必要な形状に、あらかじめ裁断しておく。)、その上にスクリーン印刷プロセスで電子回路を形成する。片面回路だけでなく、両面ビアホール回路、多層回路の形成も可能である(図3、図4)。導体用には導電性の高い銀インクが使われることが多い。ただ、銀インクはマイグレーションが大きいので、これを抑えるために、カーボンインクを重ね印刷する。必要に応じて、この上に絶縁保護層を印刷する。回路には、 熱成形プロセスで高温にさらされるので、高温で伸縮性がある導体インクを選択することが望ましい。 次いで、回路全体を予備加熱した上で、金型の中に入れ、圧力をかけて所定の形状に成形する。完成品の形状が単純であれば、金型も単純になるが、細かい凹凸があるような場合には、ブロー成形、真空成形などの技術を使う。最終的に冷却し、金型から外すと出来上がりである(図5) この後、部品実装が行われるが、通常のはんだ付けプロセスは使えない。代わりに、導電性接着剤を使ったプロセスで部品実装が行われている。3次元の立体実装になるので、通常のプリント基板用実装装置では対応できないが、近年進歩が目覚ましい3次元接着剤用ディスペンサと、3次元部品搭載装置を使えば、チップ部品のSMT実装が可能である。図6の例では、熱成形したPETフィルム回路のディンプル部の底に、個別部品のLEDを直に実装している。 モノコック厚膜印刷回路の特徴 モノコック厚膜印刷回路の基本的な構成から、次のような長所を挙げることができる。?フレキシブル基板を使わずに3 次元配線を形成できるの で、 電子機器内の配線に使うスペースを最小限に抑えるこ とができるDKNリサーチ図5 熱成形したモノコック印刷回路(両面ビアホール構造)図3 モノコック印刷回路の両面ビアホール構成と加工プロセス図4 両面ビアホール構成のモノコック厚膜印刷回路 図6 導電性接着剤によるLEDチップ部品の表面実装