ブックタイトル実装技術2月号2021年特別編集版

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概要

実装技術2月号2021年特別編集版

230.5mmピッチBGA基板のトラブルを解決するJTAGハイブリッド検査装置の開発事例検査技術34は、実装密度が低く、テストパッドを配置してプローブピンをコンタクトすることができるため、治具式もしくはフライングプローブ式のインサーキットテスト(ICT)とファンクションテスト(FCT)が最適な電気検査の方法となる。 では、JTAGテストとはどのような仕組みであるか、また、どのような特徴があるか解説する。   JTAGテストの仕組み 近年のBGA基板に対するプローブピンによるアクセスの問題を解決するため、1985 年にJETAG(Joint EuropeanTest Action Group)という次世代の部品パッケージの検査方法を検討する団体が、ヨーロッパの先端企業を中心に立ち上がった(図2)。その後、1986 年には米国の企業が加わり、JTAG(Joint Test Action Group)という団体名に変わり、1990 年にはQFP、BGAパッケージの部品を含む高密度実装基板のテスト手法として「IEEE 1149.1」で規格化された。規格は2013年にアップデートされ、部品の真贋判定のためのECID(Electronic Chip ID)が追加されている。バウンダリスキャンテストのことを、団体名から「JTAGテスト」とも呼ばれている。現在では多くのLSIメーカーがIEEE1149.1に準拠したデバイスを数多く供給しているため、JTAGテストは一般的なテスト手法の1つとなった。JTAGテストは、図3のようにTAP(テスト・アクセス・ポート)である4本のJTAG信号(TD(I テスト・データ・インプット)、TDO(テスト・データ・アウトプット)、TCK(テスト・クロック)、TMS(テスト・モード・セレクト) から部品内部のバウンダリスキャン回路を制御する仕組みである。部品によっては、オプションでTRST(テスト・リセット)を含む5 本の信号を使うこともある。JTAGテスト対応部品には、バウンダリ・スキャン・セルというテスト用の信号を入出力させるための回路が内蔵されており、部品の端子をインサーキットテストのプローブピンのように利用して、電気試験ができる検査手法である。テスト中は内部ロジックが切り離され、パソコンからJTAGテストコントローラを介して、部品の端子をテストプローブ(バーチャルプローブ)として自由に信号を入出力できる。そのため、テスト用のソフトウエア開発やFPGAのテスト用のロジック設計は不要となり、準備コストを大幅に削減できる。   最新のJTAGテストツール JTAGテストツールは、オランダのJTAG Technologies社より最新版の「JTAG ProVision 2020」がリリースした。量産試験だけではなく、図4 のように設計開発時のデバッグ機能、信頼性試験で活用できる機能、故障解析の機能などが増え、ますます使いやすいものになっている。テストアプリケーションは部品ライブラリから自動生成され、テストカバレッジの診断、故障箇所の自動診断機能により、テストの自動化が進んでいる。 JTAGテストは量産検査で使うものというイメージだったが、試作段階の回路デバッグ、環境試験、故障解析など、様々なシーンで活用することができる。アンドールシステムサポート(株)、( 株)ニューリー・土山図4 JTAGテスト ProVision2020図3 JTAGテストの仕組み