ブックタイトル実装技術10月号2020年特別編集版

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概要

実装技術10月号2020年特別編集版

381. はじめに 環境対応や自動運転による急激な自動車の電動化や5GやIoT 化によるeスポーツや超高精細映像配信などのエンターテインメント分野、そしてコロナ渦でのリモート会議の日常化といった電子機器の加速度的な進歩により、世界が大きく変わろうとしている。 それに伴いデータ処理量の増大やデバイスの急速な小型化・高出力化による高発熱密度化により、熱問題が深刻となっている。 熱がデバイスの品質と信頼性に大きく影響することから、熱の攻略がデバイスの高性能化と等しいといっても過言ではない。 デバイスの高放熱化を得るには、設計による熱対策と熱経路部品の高熱伝導化の2点であり、後者では高熱伝導材である銅や窒化アルミなどのセラミックスが用いられている。 しかし、これら単一材料の放熱特性では不十分な用途が出現してきており、さらなる高熱伝導材料が求められている。 当社はこれまで、高熱伝導グラファイトと異種材料とを複合化した熱対策用複合部材『COMPOROID』を開発しており 1)、多様な放熱・熱拡散部材の提供を行っている。 高熱伝導グラファイトは炭素材料の一種であり、その高熱伝導性から放熱材料として注目されている。 本稿では、『COMPOROID』とその適用可能性について説明する。2. 高熱伝導グラファイト1. 特性 表1に当社の高熱伝導グラファイトの特性を示す。熱伝導率が銅の4倍以上でダイヤモンドに匹敵するぐらい高いことが分かる。 これは化学気相成長法により製造することで単結晶に近い結晶性が得られるのと不純物が1ppm以下と極めて低いことに起因する。 アルミよりも軽いのも大きな特徴である。また、その特異な異方性から結晶面と積層面で熱伝導率と熱膨張率が異なる(図1)。2. 伝熱方向のコントロール 当社の高熱伝導グラファイトは積層方向(7W/mK)の厚みは20mm以上形成させることができる。 この積層された面が表面になるように加工すれば幅が20mmで厚み方向に1700W/mKという高熱伝導形状が作製できるのが大きな特徴だ。 表2に伝熱方向のバリエーションを示す。後述する接合技術により高熱伝導方向がXZとYZのプレートを上下に接合することで1300-1500W/mKと等方的に高熱伝導化させることができる。 図2にYZとXYZ(等方的)高熱伝導グラファイトを5W のヒータチップで加熱した時のIR熱画像を示す。結晶方向により伝熱方向が異なることが分かる。(株)サーモグラフィティクス / 俊成 修平次世代熱対策用放熱部材『 COMPOROID』表1 各種放熱材料との特性比較図1 高熱伝導グラファイトブロック