ブックタイトル実装技術10月号2020年特別編集版
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実装技術10月号2020年特別編集版
19たかがコンデンサ、されどコンデンサ電子部品Q=CVと表現され、この時の係数Cを静電容量と呼んでいる。静電容量Cはコンデンサの電気を蓄えることができる能力を表し、電極の面積S、電極間の距離dおよび絶縁体の誘電率εによって決まる(図4)。 電圧が加圧されている二枚の電極間に絶縁体(誘電体)を挿入すると絶縁体の内部に分極という状態が生じる。分極とは絶縁体を構成する分子の極性が電界により正負極が整然と整列する状態をいう(図5)。この状態がコンデンサに電気が蓄えられた状態となる。放電すると分極は消滅し絶縁体の分子の極性は元に戻る。充電時間の単純な計算は下の式のように電流の定義より求まる。 電流の定義より、Q:電荷、:I 電流、V:電圧、C:静電容量、t:時間として、 Q = I ・ t 上述したコンデンサの電荷の式は、 Q = C ・ Vであるから、時間は以下の式で求められる。 t = V ・ C I 図6にグラフを示す。コンデンサは電気を蓄えるだけでなく、直流電流に対しては絶縁体として、電流をせき止め、交流電流に対しては導体として機能することがもう一つの主要な役割である。厳密にいうと、交流電流に対しても絶縁体であるため電流は流さないのであるが、交流は極が変化するために、蓄電、放電を繰り返し見かけ上電流が流れたように見えるのである。これを変位電流と呼ぶ。この機能は高周波を利用している通信機器にとって重要な機能である。 弱電系のコンデンサ容量の単位はF(ファラド)を用いるが、通常使用されるのは微小な容量が多く、接頭字にμ(マイクロ10-6)、n(ナノ 10-9)、p(ピコ 10-12)を用いてμFなどと表現している。NPO法人 サーキットネットワーク図3 コンデンサの原理図6 コンデンサの充電図5 分極図4 コンデンサの構造と静電容量