ブックタイトル実装技術9月号2020年特別編集版
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実装技術9月号2020年特別編集版
31力、光、振動、さらには電磁波など、周囲の環境を人工的に再現し、環境因子が製品に及ぼす影響を分析・評価することで、その耐久性や信頼性を確認する試験が「環境試験」であり、自動車やスマートフォンなどあらゆる工業製品の開発や品質評価において、環境試験器が用いられている。 今回の紹介する取り組みでは、Qualmark社製(現・ESPECNORTH AMERICA)のHALT 試験装置を使用した。 Qualmark 社は2015 年にエスペックグループに加わり、2018 年にESPEC NORTH AMERICAと合併した。日本国内における製品に関するお問い合わせ、サポートはエスペック(株)が行っている。3. HALTとは HALT(Highly Accelerated Limit Test)は、製品化プロセスの初期段階である開発と設計において、短期間で製品の弱点を検出するための試験システムである。1980年代に米国で発案され、欧米を中心に航空機、自動車、電気製品部品の信頼性評価に採用されている。近年、HALTによる信頼性評価は欧米企業のみならずアジアにも拡大してきており、今後日本でも拡大していくことが予測されている。 HALT 試験装置は、図3 のように用途に合わせて、さまざまな製品が用意されている(https://www.espec.co.jp/products/qualmark/products.html)。 HALTは、製品の信頼性予測(寿命予測)を行うものではなく、製品仕様を超える「強いストレス」を製品に与え、製品の稼働限界と破壊限界を見つけるものである。図4のように、製品の弱点を短期間で検出し、改善改良を繰り返すことで製品の信頼性を向上させることができる。 「強いストレス」とは急速温度変化による温度ストレスと6自由度振動による振動ストレスであり、それらのストレス試験を組み合わせた5つのステップ(①低温ステップ試験、②高温ステップ試験、③温度急変サイクル試験、④振動ステップ試験、⑤温度急変と振動の複合試験)で構成されている。4. BGAはんだ接合部の信頼性評価の課題 電子機器の小型化と高性能化に伴い、BGAパッケージ部品の小型化が進んでいる。製品基板の検査は、不良品の市場流出を防ぐことと製品寿命を担保するための品質保証が重要となっている。BGA部品において、はんだ接合部の信頼性評価試験が行われ、製品の品質保証が行われている。 従来はデイジーチェーン接続と呼ばれる配線設計された評価専用のBGA部品をメーカーから入手して、評価専用の基板を用意する必要があった。 図5に示すデイジーチェーンの場合には、BGA のはんだ接合部を複数連続して繋ぎ、4チャンネルあるデイジーチェーンの抵抗値を測定することにより、抵抗値の変化でBGA のはんだ接合状態を確認することができる。図3 HALT 試験装置(Qualmark社ホームページより)https://www.espec.co.jp/products/qualmark/products.html 図5 BGA部品のデイジーチェーン図4 製品改善への4つのステップ