ブックタイトル実装技術8月号2020年特別編集版
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実装技術8月号2020年特別編集版
29量産現場における鉛フリーはんだ付けの熱量のコントロールはんだ接合技術 ここ数年は挿入コネクタのリフロー化の相談を受けることが多くなってきていたが、最近は電源基板などの多様な挿入部品の基板に関しての相談も増えている。 まず、依頼された基板を簡単な実験でその可能性を調べ実際の量産時を想定して条件を幅広く設定する必要がある。 初めての工法を取り入れる時に特に注意すべきは、初期においては必ずばらつきが発生するが、それで工法を否定的に捉えることである。既存の工法によるばらつきに関してはあまり注視されず、修正はあたりまえと見過ごされても未知のものに対しては不安や否定が先にくるためである。 新しいことに対しての評価には迷いが生じるが、その方法の善し悪しより成功した場合の結果を評価することが基本であり、既存と同じ評価以上でかつ発展性あればよい。考慮すべきは、初期段階での品質の安定性である。最終的にははんだのフラックスの熱反応特性も品質安定化に必要条件になるが、意外と検討対象から抜け落ちたり、指定はんだ以外は検討対象から外されるのが普通である(図3)。 同じプロファイルでも、メーカーによりフラックスの熱反応が異なり、接合品質にも差が出る。ディスクリートピンのホール内部はホール表面よって熱量が低くなり、熱反応(ぬれ性)が不足する可能性がある。判定が難しいが、量産時の現場でのばらつきを評価・判定する基準はフラックス残渣の状態である。 特にホール内の不良は検査方法が難しく、位置によってはX線観察も出来にくくなるため、はんだの印刷は基板上面(部品面)に印刷し、溶融はんだがホール内に流れ込むようにすることで基板裏側のリード周りのフラックス残渣の状態での判定が良い。簡単な検査方法で良否判定できることが重要である。 部品リード面の印刷時はホール内部へのぬれ込みの状態とフラックスの飛散・はんだボールへの対応が必要で、印刷形状・広さ、及び厚みを考慮する(図4、図5)。河合 一男図5 目視では見分けにくく、マイクロスコープなどでの観察が必要である( 観察機材:(株)ハイロックス製デジタルマイクロスコープ『RH-2000』)図4図3