ブックタイトル実装技術7月号2020年特別編集版

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概要

実装技術7月号2020年特別編集版

これあれ塾前田真一の最新実装技術連 載第112回 配線の抵抗による損失0. コロナの5Gへの影響 ちょっと寄り道。 昨年、アメリカや韓国で5G通信サービスが始まりましたが、今年3月には、日本でもNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが5Gサービスを開始しました。 当初の目論見では、7月の東京オリンピック開催に合わせて、オリンピック会場や人口密集地域に集中的に5Gサービスエリアを展開して5G の普及を図る予定でした。 しかし、5Gサービス開始と同時に流行し始めたコロナウイルスにより、日本の5Gスタートは散々なものになりました。 オリンピックは来年に延期になり、更に開催が中止される可能性も高まっています。 また、「3密」を避けるため、重点的に「密集」する場所に設置された5Gサービスエリアでは、5Gサービスが受け難くなっています。 今回のコロナウイルスは「新型コロナ・ウイルス」と呼ばれているように2 番目のサーズ・ウイルス(SARS-CoV2)です。最初のサーズ・ウイルス(SARS-CoV)は2002 年に出現しました。その後にもMERS・ウイルス(MERS-CoV)が2012 年に流行しました。 インフルエンザでもいくつかの型があるよううに、今回の新型コロナウイルスでもS型とL 型があることがわかっていますが、このほかにもまだあるのか、今後新しい型が発生することは十分考えられます。  新型コロナウイルスの2 次流行、3次流行は必ず来ると言われています。特に、ビジネスなど、国際的な人の移動が再開されると同時に、涼しくなる秋以降の流行はウイルスの新しい型が出現されることも予想され、警戒されています。 このような状態で、人々の感染に対する恐怖心や、経済の大きな落ち込みにより、5G 通信の今後の展望や各社の戦略にも大きな変更が必要とされています。 これはすでに1 年以上にわたって5G通信サービスを行っているアメリカでも同じで、今回の「新型コロナ・ウイルス禍」が5G通信の普及に及ぼす影響については、雑誌などで議論されています。 昨年、アメリカや韓国で5G 通信が開始されたときには、サービスエリアがが狭く、ほんの限られた地域でしか5Gが受けられないにもかかわらず、サービスエリア外でも5G 対応スマホが予想を上回る売り上げになりました。 戦略的には、大都市の人口密集エリアでの5Gサービスを集中させ、できるだけ多くの人に5Gサービスを滝園させ、それらの人々からソーシャルメディアへの実施体験やメディアでの発信を利用しました。 たとえばアメリカではニューヨーク、シカゴ、ロサンジェルスの中心部などから5Gサービスが開始されました。さらにボストンなど他の都市に対して5Gサービス開始予定時期を示しました。 「今後、サービスエリアが広がるのだから、買い替えに際して5G対応にしよう」需要です。 それに対して、日本では最悪のタイミングで5G 通信サービスが始まりました。 ほとんど5G のサービスが受けられない日本では5G 機能のない廉価版のiPhone SEは売れても高価な5G対応きの出足は鈍くなっています。 スタートアップ時に限られた通信インフラを人口密集地域に展開して、できるだけ多くのユーザーにサービスを展開する世界的な共通の戦略を日本でも取りました。 たとえばNTTドコモでは乗降客の多い駅や、札幌ドーム、東京スタジアム、名古屋ドームなどスタジアムがサービスエリアです。 しかし、現在、すべてのスタジアムは閉鎖されて、しばらくは無観客、駅周辺でもなるべく密集を避けるようにすることが勧められています。これでは5G 通信を多くの人が利用できるわけはありません。 今回の新型コロナの流行は、人々の疫病に対する考えかた、行動原理を変え、今後数年間にわたって、3密を避ける行動が多くなると思われます。 今回の出勤自粛により、自宅でも会社にいるのと同じ仕事が可能なばかりか、在宅勤務の方が生産性が上がる業務も多くありました。 もちろん、出社しなければできない業務も多くありますが、工夫次第で出社しなくても良い業務はたくさんあります。 アメリカでは国土が広く、会社や拠点が分散しているため、ソフト開発や設計ばかりではなく、営業、会議、セミナー(Webimnar)、教育など、オンラインでの業務が以前からよく行われてきました。 生産性の向上の加えて、オフイスを小さくすることによるオフイスの賃貸料の削減、通勤手当の削減など会社経費のメリットも多く、今後も在宅勤務が広がる動きが急です。 こうなると駅や繁華街、スタジアムなど人口密集施設の利用客も減り、人口密集地域を選んで5Gサービスを行うビジネスモデルの効率は予定より大幅に落ちます。 また、設備工事の中断による遅れ、企業収益の悪化、オリンピックを始めとする大きなイベントの延期や中止、個人収入の減少など50