ブックタイトル実装技術6月号2020年特別編集版
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実装技術6月号2020年特別編集版
461. はじめに 当社ではこのたび、めっき(エレクトロフォーミング)による一体形成による中空構造体製造(Hollow Structure Plate)=『HOSPLATE』の薄型ベーパーチャンバーを開発した。 本稿では、その特性と利点、用途についてご紹介する。2. ベーパーチャンバー(VC)とは ベーパーチャンバー(VC)とは、平板状の金属板を貼り合わせた中空構造体の内部に純水などの液体を入れ、実装されたICが発熱するとその内部作動液が蒸発と凝縮を繰り返し、これによって温度上昇が抑制される、という電子部品である。3. 従来の製造方法とその問題点 VCの製造にあたっては、中空内部に、毛細管現象によって内部液を均等に分散させるための「ウイック」と呼ばれる微細構造体(焼結銅粉、銅メッシュ、エッチングによる構造体など)が必要である。そして、これまでの製造では、銅板を溶接するなどして箱型を形成するという方法がとられていたが、以下のような問題点があった。?銅板の厚みが薄くなると溶接工程が難しくなる?総厚が薄くなると貼り合わせ部の信頼性に不安がでる?薄くなることにより中空内部のウィックの形成も難しくなる?現状のVC の総厚は最薄製品でも0.35mm 程度である?三次元構造体に対応することが不可能である4.『HOSPLATE』とは何か 当社が開発した『HOSPLATE』とは、めっき(エレクトロフォーミング)による一体形成による中空構造体製造HollowStructure Plate (中空構造板)を略した名称である。すなわち、めっきによる一体形成(エレクトロフォーミング)により箱型を形成する、というもので、以下のような利点を有する。?総厚0.2mm以下の超薄型ベーパーチャンバーの製造が 可能?ウィックとしてのテクスチャー、銅メッシュ、銅繊維なども同 時に形成可能である?めっきによる一体形成のため貼り合わせの繋ぎ目もないた め信頼性が高い?めっき厚みを薄くすることで総厚を抑えた上で中空部の容 積を増やすことにより放熱効果を上げることが可能?中空内部への補強用のピラーも同時に形成可能?立体形状(三次元形状)にも対応可能?薄さ、大きさ、形状などに関して設計の自由度が高い 図1として、『HOSPLATE』の断面図を示しながら、その工程を説明すると、以下のようになる。① 任意の型の母材を用意するエレクトロフォーミング製法による「 超薄型ベーパーチャンバー『HOSPLATE』」(株)旭電化研究所 / 溝口 昌範図1 『HOSPLATE』の断面図