ブックタイトル実装技術5月号2020年特別編集版

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概要

実装技術5月号2020年特別編集版

301. はじめに 電子回路の基板歩留まりの問題を改善するには、ボイドの検出と測定によるはんだ接合部の品質検査が重要である。従来から、はんだ接合部を検査する方法として、透過X線画像による目視検査が適用されてきた。目視検査は、わずかな像の変化を捉えることができるが、検査員による良否判定のバラツキが大きく、時間の制限から検査箇所も限定されていた。目視検査では、ボイドを正確に検出して測定することは難しく、そのプロセスには時間がかかっていた。 高品質で迅速な検査を実現するために、ボイド検出の自動化の試みがなされてきた1)。しかし、自動化には、X 線画像の2 値化による画像処理手法が一般的であるが、2 値化閾値を適切に設定しなければならず、陰影の異なるボイドを一度に自動検出することができなかった。ビア、メッキまたはビアからの反射、一貫性のない照明、ノイズ等の課題のため、ロバスト性高くボイドを自動検出することは困難であった。 これらの課題に対し、最近では、深層学習を用いたアプローチにより、様々なコンピュータービジョンタスクで卓越した精度が実現されており、特に医用画像を解析処理することで、異常検出や所見疾患推定を行うタスクにおいて顕著である。 近藤ら2)は、U-Net3)を用いて胸部X 線画像から解剖学的構造を領域抽出し、異常検知手法の開発に取り組んでいる。 U-Netとは、2015 年に発表されたセグメンテーションの深層学習を用いたX線画像からのボイド自動検出システムの開発(株)クオルテック / 植木 竜佑図1 U-Net3)の構造