ブックタイトル実装技術5月号2020年特別編集版
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実装技術5月号2020年特別編集版
17新たな環境規制がもたらす産業界へのインパクト環境関連技術 4 環境規制の進展 化学物質に関して、使用を制限する規制が主に欧州から始まって、結果的にはその規制はグローバル規模で影響し、各国で同様に採用して規制するようになった。その主な規制の経緯を時系列に紹介する。1. 包装材の規制 梱包などに使用される包装材の増加により、その廃棄問題が浮上し、焼却処分や埋め立て処分をする場合に有害物質を含有しない方が好ましく、4物質を対象に規制をかけることになった。それが1994 年12 月20日に採択された指令で、包装廃棄物による環境汚染の防止と抑制を目指し、EU加盟国に使用済み包装廃棄物の再利用、リカバリー、リサイクルの目標レベルを設定した(表1)。 規制対象物質は「鉛(Pb)」、「水銀(Hg)」、「カドミウム(Cd)」、「六価クロム(Cr+6)」で、総量は、600ppm(施行2 年後)→250ppm(施行3年後)→100ppm(施行5年後)という、段階的な規制となった。EU域内市場に流通する全ての包装物と使用・廃棄される場所やその素材にかかわらず、全ての包装廃棄物に対して適用された。 なお、「鉛」、「水銀」、「カドミウム」に関しては、1979 年、国連欧州委員会の「長距離越境大気汚染条約」に基づき1998年、「重金属議定書」にも採択され、2003 年に発効している。2. 製品含有化学物質規制 最終製品を認証する場合に有害なポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)、塩素パラフィンなどの難燃剤などの規制を実施したのがドイツのBlueAngelや北欧のNordic Swanなどであり、複写機、プリンタ、ファックスなどのOA機器に対して1993 年?1998 年に実施した。認証機関が独自に規制した物質が最終製品に使用されていないかを確認する手法として導入された。 製品に含有する化学物質に関して対象となる物質は、包装廃棄物指令で規定された「鉛」、「水銀」、「カドミウム」、「六価クロム」の種類が指定された。これらが「廃自動車指令(ELV)」、「廃電気電子機器の使用制限指令(RoHS)」などへと適用されていき、RoHS指令ではPBB、PBDEの特定臭素系難燃剤が追加された。 さらに、改正RoHS指令では、更に4 種類のフタル酸エステル系が追加され合計10種類が対象となり、新たに追加された4 物質に関しては2019 年7月から施行された。 製品に含有する有害物質を管理する時代となり、欧州から始まったRoHS指令は各国に影響を及ぼし、日本のJ-Moss、中国版RoHS、韓国版RoHS等へと進展した。これは電気電子機器に対して展開されていった。限られた分野から全分野に適用したのがREACH規則であり、特に高懸念物質が0.1 %以上、含有する場合には配慮が必要となる。(1) OECDのリスクリダクション 経済協力開発機構(OECD)が1991年より環境に悪影響の可能性のある物質として5 物質をあげたのが、以下の物質であった。 ① 特定臭素系難燃剤 (PBB、PBDE、TBBA(テトラブロモビスフェノールA)) ② 鉛 ③ 水銀 ④ カドミウム ⑤ 塩化メチレン特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構写真1 フロン対策と実装(本誌1992年9月号) 表1 包装廃棄物指令の段階的規制年 度4物質の総和の閾値1994年 包装廃棄物に関する理事会指令(閾値なし)199 年(施行2年後) 鉛 + 水銀 + カドミウム + 六価クロム > 600ppm1997年(施行3年後) 鉛 + 水銀 + カドミウム + 六価クロム > 250ppm1999年(施行5年後) 鉛 + 水銀 + カドミウム + 六価クロム > 100 ppm