ブックタイトル実装技術8月号2019年特別編集版

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概要

実装技術8月号2019年特別編集版

24はんだ接合技術12   はじめに 昨年12月、京都実装技術研究において手はんだの実演講習会を行った。目的は実際の現場で必要とされる技能を想定したもので、毎年行っているものである。 手はんだは外観観察での良否判定は十分とはいえず、一番品質のばらつきが大きい。 はんだ量も脱着の多いコネクタのような使用条件では盛りはんだを必要とし、またリード線の形状がわかる程度のはんだ量が求められる基板・部品があり、その品質に対するフィレット形状は画一でない。   はんだ付けの概念 ものづくりは単に数値管理で同じものができるわけではない。はんだ付けでは前提となる部品や基板の品質が安定していないため、画一的な作業手順を定めても、希望する高いレベルの品質の実現は難しい。 特に手はんだでは良否判定が難しく、また組み立て後では確認する機会も失われる。① はんだ付けは熱量で管理する  熱量=温度×時間×接触面積×(重力、張力、圧力、など)② フラックスは余熱で劣化する 手はんだではランドの酸化が進み相対的にフラックス効果が不足する   実践的なはんだ付け講習方法 昨年12月の京都府での実演セミナー(スキルアップセミナー)では、使用基板も研究会で作成した6 層ベタ基板で簡単にはんだ付けができるランドから、非常に難しいランド(ベタの6層ランド)まで1枚の基板に設計してあり、ランドホール径やランドの幅も変えているため、こて先がホールランドに十分接触できず、熱がホール内部まで十分に届きにくく、はんだのぬれ不良も引き起こしやすくしてある。 実際の基板では多層基板が多く、内層のパターンへの熱移動がある。また高密度基板ではこて先そのものがランドに届きにくい。 実際の製品トラブルはこのような個所で発生しやすく、熟練の作業者の力が必要となる。 多層基板のフローはんだ上がり不足の修正は難しく、特に部品が基板に密着した状態では、はんだ上がり状態そのものが確認できず、ボイドやはんだ上がり不足に対する修正方法を新たに確立する必要がある。 この基板を用いる趣旨は初心者に短時間で上手なはんだ付けを練習させるのではなく、なぜ簡単にはんだ付けできる個所とはんだ付けしにくい個所があるのか、またどのようにすればはんだ付けが可能なのかを理解させることである。これがはんだ付けを理解させ上達させる近道になる。 筆者はかつて、はじめてはんだこてを持つ新人に対して、マイクロスコープを用いてその日の夕方には0402チップの作業ができるまでに上達させたことがある。 作業手順を画一的に教えるより、はんだ付けの原理を理解させ、かつはんだ付け及び不良の修正作業を動画に撮って自身でその結果を検証させることが、上達と品質を確保する一番の早道である。 上手なはんだ付け作業は数をこなせばよいが、手はんだ付けでは作業と同時にその品質を確認させることが重要であり、不良の確認・修正は作業工程内で終わらせる。作業後の検査工程では手遅れなのである。 図1、図2に示すのは、海外製品の事例である。製品は組み立てられているため、製品の内部の手はんだの品質をすべて確認することは不可能である。 図1は不良事例であるため比較的分りやすいが、良品は判定しにくい。量産現場におけるはんだ付けの基本概念実装技術アドバイザー / 河合 一男、 京都実装技術研究会 / 原田 豊3