ブックタイトル実装技術3月号2019年特別編集版

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概要

実装技術3月号2019年特別編集版

30JIEPが20周年記念式典を開催 一般社団法人 エレクトロニクス実装学会(JIEP)は、1998 年4月1日、社団法人ハイブリッドマイクロエレクトロニクス協会と社団法人プリント回路学会が合併して発足した。 JIEP設立の目的は、プリント回路学会が狭義のプリント配線板技術からエレクトロニクス製造の中核技術である実装技術への拡大を目指し、セラミック基板のハイブリッドIC 分野を研究対象としたハイブリッドマイクロエレクトロニクス協会と統合することで、エレクトロニクス産業の発展を目指すことであった。設立時、東京杉並区にある回路会館内に事務所を設け、2003 年に関西支部、2005 年に九州支部も設立し活動の場を拡げている。また、2,400 名でスタートした会員数も、10 年前には3,000 名にまで増加したが、現在は個人会員2,104 名、法人会員158 社で活動している。しかし、研究会の数は過去最大規模の26となり、研究開発活動は従来以上に広がっている。それに加え、4月は実装技術の国際会議『ICEP (International Conferenceon Electronics Packaging)』、秋には『MES(マイクロエレクトロニクスシンポジウム)』、3月には『エレクトロニクス実装学会春季講演大会』といった大規模な学会活動も行っている。 今年度、JIEPは20周年を迎え、2018年11月28日に東京工業大学蔵前会館において『創立20 周年記念式典・祝賀パーティ』を開催した。東京工業大学学長で、現在、JIEP の会長でもある益一哉氏による挨拶では、来賓、そして本日の参加者に出席の感謝の意を伝えた後、この20 年の社会や技術の変遷とともにJIEPの活動について話をした(写真1)。 この20 年で世界の人口が59億人から76億人に増加し、都市化が大きく進んでいる。社会生活においては、個人向け携帯電話が世に出始めた時期だったのが、i-modeやW-CDMAによって普及が加速し、今では手のひらサイズのパソコンとなったスマートフォン(スマホ)が手放せなくなっている。わずか20 年で巨大企業となったGoogleが誕生したのも1998 年と、20 年前には創造し難いことが社会で起こり、目覚ましい発展を遂げている。その社会変革を牽引してきたのがエレクトロニクス技術であったと語った。「AIや量子コンピュータ、ディープラーニングといった技術が発展してきたことによって、人間の仕事を取られてしまうのではという危機感や、これらによって社会がどうかわるかといった危惧もされています。しかし、20 年前にインターネットやスマホがこれほど日々の生活において重要なものになると創造した人がほとんどいなかったように、今後20 年がどう発展していくかも分かりません。分からない状況を考えるのではなく、我々が意識をすれば、『白板に我々の描く未来を提示することができる』と考えればよいのではないでしょうか」と提案した。 また、今後の学会活動について、単にプリント基板の上だけでなく、あらゆる所、ものに実装する技術が求められてきているとし、「これまでの20 年を考えれば、今後20年は異常なスピードで進んでいくことでしょう。エレクトロニクスの進展の中で、単に技術の追求だけでなく、環境、あるいは人類共存・共生についても考えていかなければなりません」と述べた。JIEPは、新たな試みとして2019 年春に応用物理学会とシンポジウムを開催する。「これからの20 年、多様性を尊重し得意分野を活かしていくためには、実装技術に特化した学会という特徴を活かしつつも、異なる分野・組織との協調と連携、そして新たなことへのチャレンジが必要です。JIEPは、次の20年の人類のさらなる発展、良い社会を実現するための実装技術の研究開発を協調と挑戦の精神をもって活動していきたい」という抱負で挨拶を終えた。 次に経済産業省商務情報政策局デバイス・情報家電戦略室長の田中伸彦氏が来賓として祝辞を述べた(写真2)。「この20 年、様々な課題を解決してきたのが実装技術であり、“Jisso”という言葉が国際的に通用するようになったように我が国がこの分野で世界をリードし、その牽引役となったのがJIEPでした」と語った。JIEPは、会員の約8割を企業に所属する産業界の人で構成しているため、国際会議だけでなく、一般社団法人日本電子回路工業会(JPCA)とともに毎年6月に共催している『電子機器トータルソリューション展』では、学術的視点での先端的な技術展示にも取り組んできた。パワーエレクトロニクス、車載、ヘルスケア、環境問題といった新しい先端分野を課題として敏感に感じ取って取り組み、そうした技術がIoT 時代になって様々な分野を支える重要な技術となっている。そうしたイノベー実装技術ライター / 太田 幸恵写真1 JIEP会長 益一哉氏