ブックタイトル実装技術3月号2019年特別編集版
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実装技術3月号2019年特別編集版
15これからのフレキシブル基板技術 配線基板からエレクトロニクスへ(前編)プリント配線板技術れ、実際の量産回路に組み込む試みもなされていた。具体的には、多層プリント基板の製造工程の中に、抵抗、コンデンサ、コイルを形成するプロセスを組み込み、RFモジュールなどを一括して作り、モジュールの小型化とコストダウンをまとめて実現しようとしたものである。 当初は硬質多層プリント基板での試みであったが、やがて、フレキシブル基板にも広がった。2000 年代に入ると、個人用携帯電話が世界的レベルで普及しはじめ、そのアンテナモジュールとして大きな市場が期待された。残念ながら、このようなコンセプトの回路モジュールが大きく広がることはなかった(図6)。作り込む受動部品の数が増えるにしたがって製造工程での歩留まりは悪くなり、コスダウン効果があまり出なかったためである。 フレキシブル太陽電池 21世紀に入ると、環境問題に対する意識が高まり、太陽光発電技術の開発が広く行われることになった。その中で、フレキシブル太陽電池への期待が高まった。フレキシブル基板で培われたRTR(ロール・ツー・ロール)製造技術を駆使すれば、大幅なコストダウンが可能と考えられたためである。このために、日米欧の各国で20を超える大型プロジェクトが立ち上げられ、実用化へむけて各メーカーがしのぎを削ることになった(図7)。 残念ながら、一部を除いて、これらのプロジェクトが商用レベルで実用化されることはなかった。従来技術であるシリコンウエーハーベースの太陽電池のコストダウンのペースがあまりにも速く、大規模発電用としては、ほとんど採用されなかったためである。量としては小さいが、軍用、航空機用などの特殊用途では、採用が広がっている。このような用途では、コストよりも、フレキシビリティ、軽量化などが優先されるためである。沼倉 研史図5 トイレットに使われているメンブレンスイッチ図4 炊飯器の操作パネルに使われるメンブレンスイッチ図7 スクリーン印刷で製作された色素増感型フレキシブル太陽電池(ペクセル・テクノロジー)図6 厚膜印刷で受動部品を形成したフレキシブルセンサモジュール3