ブックタイトル実装技術3月号2019年特別編集版

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概要

実装技術3月号2019年特別編集版

14プリント配線板技術12   はじめに フレキシブル基板と称する配線材料が民生用電子機器に大量に使われるようになったのは、1970年代のことで、用途の半分近くがカメラであった。まだ、デジタルカメラは実用化されていなかったが、カメラの電子化が急速に進められており、カメラ筐体内部の配線といえば、フレキシブル基板抜きでは困難なところまできていた(図1)。 それでも、1980年ごろの世界のフレキシブル基板の生産額合計は200億円程度であった。しかし、1980年代以降の成長は目覚ましく、直近では2兆円近い規模に拡大してきている。つまり、40年間で、約百倍にまで成長したことになる。  この間の成長は、単に量が増えただけではない。高密度化、薄型化、多層化、無接着剤化などの面で継続的に技術開発が行われ、機能は高くなってきている。生産の地域も、北米から日本へ、そして台湾、韓国、さらに中国、東南アジアへと移ってきている。ただし、配線基板としての基本機能には変わりなく、わずかな例外を除けば、導体回路以上のものではなかった。 そのわずかな例外のひとつが、メンブレンスイッチ用の回路モジュールである(図2、図3)。これは、厚膜印刷タイプのフレキシブル基板の特徴をよく活かした回路製品で、1 枚の大型サブストレートの上に、多数のスイッチ機構を搭載することが可能で、1980年代初頭に普及が始まったパーソナルコンピュータのキーボードと電子レンジの操作パネルに全面的に採用されるに至って、新しい産業としての位置を確立した。 その後、メンブレンスイッチは、民生電子機器、産業用電子機器の操作パネルとして応用範囲を広げることになるが、新たな機能をもった電子デバイスとして展開されることはなかった(図4、図5)。   受動部品内蔵回路 プリント基板の実装密度を上げるために、回路の中に受動部品を直に作り込むというアイデアは1980 年代から提案さこれからのフレキシブル基板技術配線基板からエレクトロニクスへ(前編)DKNリサーチLLC / 沼倉 研史図1 フレキシブル基板で配線されたフィルムカメラ図3 厚膜印刷技術で形成された電子レンジのタッチパネル用メンブレンスイッチ図2 厚膜印刷技術で形成されたPCキーボード用メンブレンスイッチ