ブックタイトル実装技術2月号2019年特別編集版
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実装技術2月号2019年特別編集版
27封止材自体に気密性があったとしても、その表面に拡散してきた物質が人体へのコンタミとなる可能性があるため、拡散防止性能のある材質であることが望ましい。⑤ 殺菌方法への耐久性 医療機器は清浄でなければならないため、通常エチレンオキサイド、または蒸気による滅菌が行われる。これらに対する耐久性が必要である。⑥ デバイスとの密着性 封止材とデバイス表面との密着性が悪いと早期に剥離してしまい、剥離部分に体液の浸透が起こり、それに伴う腐食・有害物質の流出が起こる。そのため、長期にわたり剥離の起きない強固な密着性が必要である。⑦ 製造工程における制約 製造がクリーンルームで行われる場合、クリーン環境を汚染する可能性のある材料は制限されることがある。例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂は残存揮発性化合物による汚染、ステンレススチール等は金属汚染の問題がある。またバイオ材料には耐熱性が限定される材料が多く、封止に極端な高温を要求する工程は採用できないこともある。 インプラント材料は大きく、金属・高分子・セラミックの三種類がある。一般に金属は強度・靭性が高く機械加工しやすいが、導電しやすく腐食しやすいため通常はコーティングが必要であり、そのまま封止材としては用いられにくい。高分子はパリレンなど実用化されているものもあるが、無機材料に比べると経年で不安定である。セラミックは耐食性・耐熱性・絶縁性・経時での安定性に優れており硬度が高く、かつ次項で述べるALD技術のように、ナノレベルの成膜が可能であるため、インプラントデバイス封止材として有望視されている。3. ALD技術概要 ALD(Atomic Layer Deposition)法は原子層堆積法と訳され、気相での反応で成膜をするプロセスである点は蒸着やCVDと同様だが、以下の点で他の成膜方法に比図2 A??D??????ス図??べて大きなメリットがある。① 膜質が化学量論比に近く非常に緻密であり、ピンホールフ リー② 素地への密着性が高い③ 複雑な3D形状物やナノスケール表面(高ARトレンチ・ボ イド・ステップ)へも均一に成膜できる④ 再現性の高いプロセスとして膜厚を厳密にコントロールで きる⑤ 比較的低温での成膜が可能 アルミナ(Al2O3)を例にとると、ALD の成膜工程は次のように進行する。まず成膜対象物を入れたチャンバを真空(大凡<1hPa程度)にし、一つ目の原材料(プリカーサと呼ばれる)TMA(トリメチルアルミニウム、(CH3)3Al)ガスをチャンバに導入(パルス)する。TMAは表面のOH 基に解離吸着し、この時副生成物としてメタン(CH4)が発生する。次に、窒素ガスでチャンバーを排気(パージ)し、余剰のTMAと副生成物のCH4をチャンバーから除去する。続いて二つ目の原材料H2Oをチャンバーに導入することで、表面を酸化させメタンを飛ばす。最後に再度窒素ガスで排気する。この4ステップを1サイクルとカウントする(図2)。1.TMA(Trimetyl Aluminium、(CH3)3Al)分子が基板表面の-OH 基と反応・吸着2.余剰TMA 分子と副生成物のメタン分子CH4を窒素ガスパージで排出3.水分子H2OがTMA 分子と反応・吸着4.余剰水分子と副生成物メタン分子を窒素ガスパージで排出