ブックタイトル実装技術2月号2019年特別編集版
- ページ
- 20/32
このページは 実装技術2月号2019年特別編集版 の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 実装技術2月号2019年特別編集版 の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
実装技術2月号2019年特別編集版
261. 緒言 エレクトロニクス技術の発展に伴い、電子デバイスを体内に埋め込むことで、新しい形の医療を実現しようというトレンドが近年ますますさかんになっている。無線通信技術やワイヤレス充電技術の進展著しい今日、体内で半永久的に駆動する電子デバイスは、もはや夢物語ではない。そこで問題になるのが、いかにしてデバイスを体内の腐食環境から守るか、また逆に、デバイスが含有する有害物質をいかにして体内に漏洩させないかという封止技術である。 この課題に対し、ALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)という成膜技術により、新しい提案がなされている。本稿ではインプラント型電子メディカルデバイス(以下インプラントデバイス)封止の基本、ALD 技術の特徴、及びALDによるインプラントデバイス封止技術についての最新の研究を述べる。2. インプラントデバイス封止の課題 インプラントデバイスの種類は、心臓ペースメーカー、人工内耳、人工網膜(図1)など多岐にわたる。医療用製品に関する国際規格であるISO10993において、メディカルデバイス全般では、人体との接触箇所(皮膚・粘膜・血液・骨など)や期間(24時間以下、30日以下、半永久的)などの区分があるが、本稿では半永久的なインプラント製品に絞って記述する。 インプラントデバイス封止材に必要とされる主な機能は以下の通りである。① 生体適合性 生体適合性はインプラント材料にとって最重要事項である。人体に対して発がん性など有害な影響をもたらす材質は言うまでもなく不可であるが、一口に「生体適合性がある」と言っても様々な種類がある。例えばチタン合金のように反応性自体が乏しいもの、ハイドロキシアパタイトのように骨成長などの有益な反応をするもの、事前に患者から採取した細胞をin vitroで培養した再移植片などがあるが、これらは一括りに「生体適合性があれば何にでも使える」ということではない。目的とするアプリケーションに沿った適合性を持つ材料を選ぶ必要がある。② 耐腐食性 生体内は恒常的に37℃近傍で血液や塩水などの体液に曝される腐食環境であり、インプラントデバイスの封止材はその環境下で十年以上の長期間腐食に耐える材質であることを要求される。③ 気密封止性 電子デバイスはヒ化ガリウム、銅、鉛など毒性のある物質を含むことが多い。これらがデバイスから漏洩しないような材質で封止する必要がある。また、水蒸気の浸透によってデバイス内部の湿度が上がって結露し、イオンマイグレーションによる不具合の原因になることを防ぐため、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂など、水蒸気が透過する材質も不適である。④ 拡散バリア性 固体内で原子が移動する現象は拡散として知られている。図1 ????????????ンサ????ンタクトレン????????????I????D??T??????????????????????インプラント型電子メディカルデバイスへのALD(原子層堆積)法による生体適合膜封止PICOSUN JAPAN(株) / 八尋 大輔