ブックタイトル実装技術12月号2018年
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実装技術12月号2018年
前田真一の最新実装技術 あれこれ塾 当然、これらの初期設備投資は何年かで製品価格による回収がされなければなりません。 ランニングコストとしては、人工照明や水循環装置のための電気代と、温度コントロールのための暖房費が大きなものとなります。 ランニングコストでは、太陽光を利用する分、ハウス型工場の方が安くなります。 日本では、電気料金や暖房燃料が高く、ランニングコストが高いので植物工場の採算性が厳しいく、新規参入が増えると共に、撤退するケースも多くあります。しかし、2009 年から、10 年ほどの経験を積み、経営や規模、付加価値の付け方などのノウハウが積み重なり、徐々に収益性が上がって規定ます。 今後は、地球規模の気候変動による台風や大雨などの自然災害が増えるとみられ、自然災害に強い食物工場の優位性が増してくるものと思われます。 海外では、電気代や太陽光発電設備、暖房燃料が安い国では、生産コストが低くできます。 また、国土が狭い、砂漠が多いなど野菜を輸入に頼って農産物が高い国などでも野菜工場優位です。南極や宇宙など、植物工場がが唯一の生産手段な場合もあります。???? ????工????の?? ??o????A??の???? 野菜工場の価格優位性を上げるためには、LED の発光効率をあげたり、価格を下げたりするコストダウンだけでなく、工場の生産性を上げる方法が有効です。 工場の生産性を上げるには、生産の自動化、ロボット化による生産コストを下げる方法が一つです。 もともと、植物工場では、ラックを使ったり決められたところに苗を植えたりと、種まき、育苗、成長、収穫、収穫後の残りの根や茎などの処分など、すべてロボットや自動装置を使って、生産の効率化が可能です。 また、自然の天候に左右されずに生産性を向上するために環境を制御しているのですから、生産性を上げるための日照時間、光源の波長、温度コントロール、CO2濃度、肥料の種類と濃度、水流、受粉、空気の流れなど植物の種類ごとに最適制御をすれば、まだまだ生産性は向上します。 これは、たとえば同じレタスでも寒冷地向けの種類と高地用の種類など、種類によって、最適生産条件も出荷価格も違います。 多くの種類の野菜を最大の収益性を得られるように環境をコントロールするためには、CO2センサや温度センサ、肥料の濃度センサ、風量センサ、植物の育成センサなど多くのセンサによるIoTにより工場内、各場所の条件と植物の生育の状況を把握する必要があります(図12)。 それと同時にAIを使って植物の生育のための最適条件を求め、きめ細かい工場内の環境コントロールが必要です。 これは、工場内ラックや場所ごとに細かい調整が必要で、このためにはきめ細かい考慮調整、温度調整、肥料の濃度調整などが必要になります。 今後、植物工場はToIネットワークを張り巡らし、AIでコントロールするハイテク工場になる必要があります。 現在、「植物工場」の生産品はレタスなど、葉物野菜をはじめとし、トマトなど、ある程度価格が高い野菜が主になっています。 しかし、今後、世界的な異常気象が進み、露地栽培の生産性が減少した場合、世界的な食料不足が発生する可能性があります。 将来に備えて、穀物など主食植物をどのようにして生産を安定させるかなど、新しい型の植物工場やIoTとAIを使った生産の安定化と生産性の向上が必要な時代が迫ってきています。 たとえば、NTT 西日本と植物工場を運営する(株)スプレッドが植物工場におけるA・I IoTに関する共同実験を開始しています。 今後、農業はITC、IoT、AIなど最先端エレクトロニクス産業との結びつきがますます必要になってきます。<参考資料>1)高辻正基「完全制御型植物工場の現状」、植物環 境工学、J.SHITA、22(1): 2-7、2010■マエダ シンイチKEI Systems。日米で、高速システムの開発/解析コンサルティングを手がける。図11 宇宙ステーションの植物工場(NASA) 図12 葉に埋め込む植物内の水分センサ(MIT)55