ブックタイトル実装技術6月号2018年特別編集版

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概要

実装技術6月号2018年特別編集版

713. 高誘電率膜の採用 ゲート酸化膜を薄くする理由は、ゲート電極とチャンネルとのキャパシタンスを大きくしてチャンネルを流れる電流を大きくするためである。 そこで、このキャパシタンスを大きな値にするため、高誘電率(High-kと呼ばれる)の絶縁膜を用いる検討が行われた。 図4に各種のHigh-k 膜をあげた。初期の頃は、k=7 のSi3N4が用いられたが、さらに、TiO2、Al 2O3、La2O3、ZrO2などが検討され、現在はk=20 程度のHfO2系の材料が一般的に用いられている。 SiO2 のk 値は4 なのでHfO2 はこれの5 倍であるから、5nm の厚さがSiO2 の1nmに相当する。この関係をEOT(Equivalent Oxide Thickness)1nmといっている。 5nm の厚さならトンネル電流の心配はまったくいらない。4. Metal Gate MOSが最初に生産された1970 年頃は、ゲート電極にはアルミニウムが用いられ、イオン注入が一般化されていなかったので、ソースとドレインを拡散で形成した後にゲートを図6 ゲートラストのプロセス図5 ポリシリコンに空乏層ができる図4 各種の誘電体材料のk値とバンドギャップ作成していた。 イオン注入が使えるようになり、ゲートをマスクにしてソースとドレインを形成して相互の位置合わせがセルフアラインできるようになり、1000 ℃のアニールに耐えるようにゲート材はポリシリコンになった。 ところが、ポリシリコンは電極の金属として用いられてきたが、半導体でもあって、電界が掛かると図5 のように空乏層が発生する。 このため、せっかくゲート絶縁膜を薄くして容量を大きくしても、ポリシリコンの空乏層が加わっては容量が減少してしまう。 これを避けるため、ゲート電極を金属にする必要がある。絶縁膜がhigh-kで、電極がMetal Gate 構造を、HK-MGと呼んでおり、LSI の一般的な構造となっている。 ところが、ゲート電極をCuやAlなどの金属にすると、1000℃のアニールに耐えられないし、HfO2膜も結晶化がはじまって面白くない。 そこで、図6 のようなゲートラストと呼ばれるプロセスが用いられている。 すなわち、いったんポリシリコンゲートで、ソースとドレインへのドーピングを行い、ついでポリシリコンを剥離して、HfO2図3 トンネル電流