ブックタイトル実装技術6月号2018年特別編集版

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概要

実装技術6月号2018年特別編集版

581. はじめに PC、デジタルTV、携帯電話などデジタル家電にはFPD(Flat panel display)が必須部品として搭載されており、その根幹を成す電子部品・材料には有機フィルムやセラミック基板、回路基板などには数多くの電気機能材料が用いられている。FPDの動向として、小型化、薄型化が引き続き進んでいるが、この実現には、高度な製造技術が必要で、高歩留まりや高品質を前提としながらも、安定した生産性が求められている。これらの製造工程において、異物の付着は製品歩留まりを大きく左右することから、きわめて高い除塵技術への要求が高まっている。特に、シートや基板の薄型化に伴い、管理の対象となる異物の大きさも目視レベルの30μmから、20μm 前後まで厳しくなるいっぽう、1mmレベルの粗大な屑までが対象となっているなかでも、皮膚、人毛、頭髪などの人体発塵源、装置機構部から発塵源、大気浮遊塵埃やもち込み部品・部材からの付着塵埃などの外乱要因のすべても除去対象となっており、Class100、1000、10000(Fed.std209D)でのクリーン化技術が必然的に求められている。 このなかで、異物対策のニーズが高い偏光板(Polarizingplate)やFPC(Flexible printed circuits:フレキシブル回路基板)、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics:低温同時焼成セラミックス、多層基板)、MLCC(Multi-layerCeramic Capacitor:積層セラミックチップコンデンサ)などのグリーンシート(Green Sheet:焼成前シート)について、スクリーン印刷工程回りの除塵に注目して、BANDO MDEC(Micro Dust Electric cleaner:電気除塵装置、以下MDECと略記)を開発した。この分野での除塵装置はすでに「粘着ローラタイプ」の装置が汎用されているが、同じローラ方式でもMDECローラは粘着タイプとは異なり、非粘着性ウレタン弾性体に電気的にクーロン力を発生させて除塵する業界初(2016 年4月、当社調べ)の装置である。 MDECは開発当初1)、この非粘着性ウレタン弾性体ローラを軸に構成されていたが、市場での高い除塵能力の要求に対応するために、その後いくつもの改良を加えた結果、フィジカルアシストローラ(Physical assist roller)を新たに搭載することで、高機能で高除塵効果を有する電気除塵装置の開発が実現できた。 これにより、 ① 薄膜シートのローラへの巻き込み防止② 被除塵物質の回収③ 上下両面の同時除塵④ 被除塵物質の再付着防止が、可能となった。 本稿では、本装置の構造について簡単に説明し、フィジカルアシストローラの効果や薄膜シートのローラへの巻き込み防止、除塵効果についても述べる。2. MDECとは1. MDEC開発のコンセプト 図1にMDEC 開発のコンセプトについて示す。製造ラインにおける除塵装置は粘着ローラが主流であるが、これに対新型電気除塵装置BANDO MDECの開発と応用クリーンサイエンスジャパン / 園田 信夫バンドー化学(株) / 坂本 哲哉、 青木 雄一郎、 三橋 浩図1 MDEC開発のコンセプト