ブックタイトル実装技術5月号2018年特別編集版

ページ
27/34

このページは 実装技術5月号2018年特別編集版 の電子ブックに掲載されている27ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

実装技術5月号2018年特別編集版

37 また、空孔の中に水分などが入ると、誘電率が大きくなってしまう。 図2下は、配線間に大きな空洞を作ってk値を2.5以下に下げた例である。 空孔率を大きくすると誘電率は下げられるが、図3に示すよ図4 ポーラス膜の改善図5 エアギャップの作成方法図3 ポーラス膜の空孔率による膜特性の差うに機械的強度が弱くなり、トレードオフの関係である。3. ポーラス膜の製法と問題点 ポーラス膜の製法は、溶液による塗布方法とCVD(ChemicalVapor Deposition)の2 種類がある。 各社ごとに使用する材料やプロセスのノウハウがあって標準的な製法はないと思われるので、以下は一例である。 塗布する材料として、シリカ前躯体と界面活性剤を混合した液をウエハ上に塗布し、数百℃の温度で加熱すると、シリカの薄膜が生成しその中に界面活性剤による空孔ができる。 成膜条件にもよるが、数nm程度の径の空孔ができ、界面活性剤の量を変えるとk の値を変えることができる。 空孔の数が多くしても機械的強度が弱くならないように、対策として有機ケイ素化合物でシリカ骨格を補強したり、焼成温度を上げるなどが行われている。 ポーラス膜の問題点の一部を図4に示す。図4の①Aは、空孔がエッチングした溝の表面に顔を出している場合で、その後、溝の中に銅配線する場合の薄いバリア金属の均一性がなくなる。Bのように空孔が連続していると、ここを水分が侵入してk値を上げてしまって空孔の効果がなくなってしまう。 図4の②は溝の表面から水分やガスが侵入しないようにバリア層を設けた例で、図4 の③は空孔の径を小さくして空孔が連続しても影響がないようにした例である。4. エアギャップの製法 配線の間隔が狭いとその部分にCVDで膜を入れるのが難しく、空洞ができてしまう。 以前は空洞ができないように努力していたが、逆にLow-k化には空洞ができるのがメリットになった。 配線間の狭い部分のk値を下げることができるので、空洞の効果は大きい。 図5は、CVDで空洞ができる様子を表している。すなわち、CVD のガス流がトレンチの底まで垂直に流れていると、図5 の①のようにトレンチ底から順に膜が成長する。 いっぽう、図5 の②のようにひさしのあるようなトレンチの場合はガス流が①は層間膜の寸法に比べて空孔の寸法が大きい。②は側壁からの水分やエッチング時のガスの侵入を防ぐためバリア層を設けた。③は空孔を微細化した