ブックタイトル実装技術4月号2018年特別編集版

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概要

実装技術4月号2018年特別編集版

24製品製造現場を効率化させるシステム・技術12   はじめに 電子材料を含む製造プロセスの大半は異物対策が製品不良率を大きく左右する要因であると認識している。このため、異物対策や維持管理については、具体的な対応策を各社独自に取り入れているのが現状であろう。 外部から持ち込まれる大気中の浮遊塵埃は、クリーンルームのフィルタ機能で除去されるが、各製造装置からの装置内発塵や、梱包・容器からの塵埃の持ち込み、作業者からの発塵など変動要因が多いので、異物対策も一筋縄ではいかないことが多い。 通常、浮遊塵埃はレーザ式パーティクルカウンタを用いて測定されているが、これは主にクリーンルーム作業室空間の清浄度の測定を対象としており、実際には製品に付着した異物の測定を行なっているわけではない。浮遊塵埃が製品上に落下し異物不良の原因となることは事実ではあるが、浮遊塵埃と製品上への落下数との相関性はあまり明確ではない。 この理由の主なものに、製品近傍の気流風速や乱れや、製品の帯電によるクーロン力によるESA(Electrostaticattraction;静電気による異物の吸引)現象などがある。このため、日本空気清浄協会では表面清浄度SPC(Surface Particular Cleanliness、またはSCP:surfacecleanliness by particle concentration)を提唱し1)、その後ISO14644-9(2012)として制定することで指針を示した。 したがって、SPCによる管理の実現には、必ず落下塵埃の測定器が必要となる。通常、無風状態における浮遊塵埃の落下速度は塵埃の大きさに大きく依存し、たとえば10μmではおおむね3 時間、30μmでは20 分と見込まれ、5μm以下では浮遊状態となり、落下に相当な日数を要することが確認されている2)。つまり、製品上への落下塵埃による異物付着数は、塵埃の大きさにより浮遊塵埃と落下塵埃に区別され、時間に依存しながら大きい順に次々に落下する。落下時間は異物の形状により空気抵抗によっても変化する。加えて、気流の流れや、製品の帯電によって大きく変化する。ここに落下塵埃の環境モニタリングの必要性が生じる。 現状では、半導体ウエハ製造プロセスにおいては少なくとも1μm以下の微粒子は管理対象となるが、組立工程や電子材料、食品分野においては管理の対象とはならず、実質的には目視レベル(30μm前後)の粗い粒子を対象としたSPC管理の必要性が高い。これは、高さ1mからの落下時間20分前後となるので、環境モニタリングでは一定時間以内での検出が行なえる。これらの落下塵埃の測定は必要不可欠となる。現在、落下塵埃の測定器は市販されているが、それぞれに特徴がある。 現在の市販品は、2インチもしくは4インチのシリコンウエハが必要で、この表面の落下塵埃のみの測定となることや、画像認識がなされないことから異物の形状情報が得られないなど特徴がある。また、測定器自体はハンドリングできないので、固定装置となり現場ごとへの持ち運びが煩雑である。 今回開発した測定器は、市販品よりも安価で使いやすいことを狙い目とし、「簡易表面異物測定器(『BANDO DEC-20』)」として市場へリリースした。なお、DECとはDustEasy Checkerの略で、20とは最小異物検出サイズとして20μmを目標にしている。   簡易表面異物測定器   (『BANDO DEC-20』)の開発1.『 BANDO DEC-20』の開発コンセプト 表面異物測定器はすでに市販されているが、これらの特徴を踏まえて、以下の開発コンセプトを設定した。 ① 目視レベル以上の異物を測定対象とする ② ハンドリングを可能とし、現場で測定できる ③ 異物の撮像により形状を観察できる ④ 簡単に測定できる ⑤ データの保存が可能で、簡単な統計処理ができる ⑥ 測定被表面の選択性がない  (基本的に平面であれば測定可能)簡易表面異物測定器『 BANDO DEC-20』の開発と応用クリーンサイエンスジャパン / 園田 信夫バンドー化学(株) / 坂本 哲哉、 新居 俊男、 青木 雄一郎、 石田 泰之